YouTubeなどで「ソニック解説」と検索すれば、ソニックシリーズに関する解説動画が数多く出ていきますよね。
しかし自分から言わせると、解説動画の9割は解説になっておらず、違和感どころか風評被害の危機すら感じる次第です。
前提定義として、ここでいう解説動画とは、
- シリーズの歴史
- キャラクター紹介
- 作品解説
- 初心者向け解説
- おすすめ紹介
これらの動画のことだと思ってください。
刺激的なタイトルのため、ソニック解説を作る当事者、そのファンの人たちから怒られそうでありますが、問題点を認識させるため、意図的にこのような表現にしています。
当記事は当事者たちを煽(あお)りや全否定、バッシングしたいわけではなく、
CHECK!
情報発信者はプロ・趣味関係なく、どう意識をしなければならないのか。一番伝えたいのはここなのをご留意いただければと思いますし、「9割は解説ではない」という表現をあえて使っているのはなぜか、問題の本質を見てもらえれば幸いです。
ソニックに愛がなければ、ソニック解説動画を作りたいとはならないからね。それ自体は素晴らしい意欲だよ。
個人の見解です
ほかの意見もご参照ください
ソニック解説動画の何が問題?
問題点をまとめると…
結論を申し上げると、
- 海外展開ソニックを取り上げない
- リテラシーの問題
- 解説の本質を理解していない
この3点が、9割のソニック解説動画に見られがちな特徴になりますので、以下から詳しく掘り下げていきます。
海外展開ソニックを取り上げない
ほとんどのソニック解説動画は海外展開のソニックを取り上げることは少なく、日本展開のソニックしか語らない場合が目立ちます。
本当に不自然なぐらい取り上げない。海外ソニックを知ったら死ぬ呪いにでもかかっているのかと勘ぐるほどだよ。
たとえばソニック映像作品の話題だとソニックX、かろうじてソニックOVA、トゥーン、プライムが話題になるぐらいです。
しかしソニックの映像作品は過去にも、
- Adventure of Sonic the Hedgehog
- Sonic the Headgehog 1993
- Sonic Underground
上記のような作品は存在しますし、これらはソニックチームが深く関わっていないものの、海外ファンの中ではカルト的に人気がある作品です。
特にSonic1993とUndergroundが人気だよね。サリー姫やソニア、裸足のソニックは海外二次創作でよく見かける。
Sonic Underground showed both Sonic and Sonia without shoes, with toes. pic.twitter.com/vMd01UBZ4J
— Lesbiandrea 🏳️🌈🏳️⚧️ Wide Awake (@FeoUltima) February 29, 2020
コミック版もIDW版だけではなく、アーチー版・英国コミック版なども存在し、そこに登場したキャラクターMOD(改造データ)が作られるぐらい人気があります。
スカージやフリートウェイ・スーパーソニックとかね。IDW版だとミスターティンカー(記憶喪失になって優しくなったエッグマン)がすごく好きだった……
ソニックは日本生まれの海外コンテンツ
自身も海外作品をすべてを把握しているわけではありません。しかし実際に観たり調べると、なぜ海外ファンにとって、上記作品が強く心に残っているかを把握できます。
ソニックは日本生まれの海外コンテンツであり、言ってしまえば海外展開のソニックを踏まえないソニック解説というのは、
あんこが入っていないあんパンで、あんパンを語るようなもの。
そのぐらい不自然なんですね。
ソニックはオワコンという偏見・誤解
日本だとソニックはオワコン(終わったコンテンツ)と言う人もいますけれど、繰り返すようにソニックは日本生まれの海外コンテンツです。
上の動画を見れば、ソニックがオワコンと言う人は日本展開しか見ていない、視野が狭い意見だとわかるはず。
映画ソニックは映画マリオに抜かれるまで「ゲーム原作映画で歴代北米興行収入1位」でしたし、新作発表のときは会場から歓声が上がるほどですからね。
2000年代中期や2010年代は、ゲームのクオリティやメディア展開が満足されなかったため、北米人気が地に落ちかけたこともありましたけれど、映画ソニックを起点に返り咲いた形です。
特にソニックブランドを解説するならこれらを前提に構成し、国内展開でしかソニックを見ていない人の偏見・誤解を解く部分も述べないといけないですね。
解説動画は偏見や誤解を解くことも大切な役目だと思うよ。
映画『Sonic the Hedgehog 2』(邦題『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』)全世界興行収入4億ドル(544億円)を突破|PR TIMES
海外のソニックはカルチャー
なぜ海外(特にアメリカ)でソニックが今でも大人気なのかといえば、熱狂的なケモナー(獣人)文化もそうですが、
- 初代から海外マーケティングに注力
- 海外のメディア露出を徹底
- アメリカの子供たちに刺さる性格を調査
このようにメガドライブ普及のため徹底的な戦略をとった結果であり、一方でメガドライブがうまく普及せず、マーケティングも重視しなかった日本では、そこそこの知名度になりました。
海外限定のアニメやCMなど、日本では知られていないメディア展開・ゲーム作品も数多く、海外のソニックはただのゲームではない、マリオやポケモンと同じカルチャー(文化)です。
ソニックシリーズは歴史が長い作品ですからすべて観ろとは言いませんけど、知らないのと知っているのとでは大きく違います。
日本だと「キャラは知ってる」「マリオのおまけ」程度だけど、海外だとマリオと同格レベル。
セガの名機 メガドライブの軌跡④ 世界での成功と日本での苦戦|ミライのアイデア
中 裕司がアツく語った『ソニック』『大魔界村』そしてメガドラ愛。幻のメガドラタイトルのお披露目も!?【ゲームセンターCX放送作家の「いまさらメガドラ計画」】第2回|電ファミニコゲーマー
リテラシーの問題
リテラシー
=読解・情報探索力
簡単に言えば「リサーチ不足」であり、上述した海外ソニック事情の問題を差し引いても、リサーチ不足な部分が見られます。
- ブーストソニックの2Dスクロール面
- ソニックの性格(ケンポンソニックなど)
- ストーリーはあっさり気味(薄味)
などといった事象が述べられるとき、言及やいちゃもんをつけるだけで、「なぜそうなのか」を一切語っていない場合が多いんですね。
調べずに語ることがありえない
これって、無料公開の開発者インタビューや海外ファンの解説動画などで理由や意図が言及され、ある程度は察することができるレベルです。
Correction, Ken and I wrote a million drafts for each game. Each draft got a ton of character and story notes from Sega/Sonic Team. Every word we wrote, every character trait, and every story point was given to us by them or based on the Sonic Game Bible. We had very little say. https://t.co/HxpTofK4eo
— Warren Graff (@warrengraff) January 13, 2024
『ソニック フリーライダーズ』と『ソニック カラーズ』に見る、世界的人気シリーズの可能性はさらに広がる 【E3 2010】|ファミ通.com
「ソニック ロストワールド」プロデューサーの飯塚 隆氏にインタビュー。初心者でも楽しめるさまざまなアプローチで“これからのソニック”を提示した作品に|4gamer
Sonic Colours Producer, Takashi Iizuka – Interview|SPOnG.com
Ken Pontac|IMDb
Ken Pontac|Wikipedia
Takashi Iizuka Wants to ‘Connect’ the Sonic Universes and Create a ‘Unified Sonic Experience’ – Sonic Stadium Interview|The Sonic Studium
上記は一例ですが、ゲーム系・海外サイト、YouTubeなどを探せば宝のように出てきます。
ケン・ポンタック氏ってMADWORLDの脚本も担当していたのか……など、調べていくとわかったり、点と点が線になるのが面白い。
大人のソニック事情
上記の情報源を踏まえて書くならば、
なぜブーストソニックに2Dスクロール面を入れているの?
ブーストソニックに2Dスクロール面を入れているのは、ブーストで障害物を避けるだけではただのレースゲームになってしまい、アクション性を取り入れるためという懸念からです。
海外ではクラシックソニックのほうが熱心なファンは多く、2Dに加えてクラシックソニックの世界観じみていたのは、そういった層にもアピールしたかったのかもしれません。
海外のクラシック人気は本当にスゴい。モダンだとアドベンチャー2人気がトップクラスだけど。
ソニックの性格が変わった(ケンポンソニック)のはなぜ?
ケンポンソニックはセガとソニックチーム側が『マリオ&ソニック』シリーズの成功で、ソニックの年齢層を下げてファミリー層向けの戦略をしたからだと思われます。
飯塚氏の英語インタビューやウォーレン・グラフ氏の告発で明かされていて、ケンポン氏たち脚本家に発言権はほとんどありませんでした。
ものづくりの仕組みを理解していれば告発がなくても、脚本と脚本家の話は別物とわかります。
ソニックの性格変更はよくあることで、初期カートゥーンはケンポンソニック以上のハチャメチャぶりです。
ストーリーがあっさり気味になったのはどうして?
こちらもマリオ&ソニックの成功で「マリオのようなファミリー層にも愛される、誰でもわかりやすい内容のゲームをソニックで売り込みたい」という、公式の考えからだと推測できます。
ソニアド系列の世界観がワールドアドベンチャーから扱われなくなったのは、複雑な設定・世界観で初心者が入りにくく、ファミリー層が遠ざってしまうためです。
また飯塚氏は「本来のソニックは、暗くシリアスな雰囲気ではなく、楽しくのんびりな世界ではないのか」と、マリオ&ソニックの反応で再認識したと明かしています。
フロンティアから重厚な世界観に戻った……というより、ファミリー路線をクラシックソニックシリーズに引き継いだ感じ。
調べることは公式への敬意
このように調べられますし、繰り返すように上記の情報は「無料」で収集できます。
性格面では古参の海外勢からも結果的に不評、「開発者だって大変なんだから理解しろ」と、セガのビジネス的戦略を称賛したり、同情や擁護(ようご)をしたいのではありません。
そうではなく、
なぜ無料公開されている情報を調べもせずに解説できるのか。それに違和感・疑問を抱けないことが不思議でならない。
言葉は厳しいながらそう思ってしまうし、解説動画を見るたびに頭がハテナなんですよね。
もちろん自分も完全網羅しているわけではなく、自分の知らないような情報はほかにもたくさんあります。ただ、9割の解説動画はそのスタートラインすらも立てていません。
理解した上で是非を語るのが本当のリスペクト(敬意)だし、書く前に調べないとは公式に敬意がないのと同じ。
他作品の解説動画ならわかること
調べずに語るって解説動画だとありえないことで、他作品の解説動画(エヴァ、ゴジラ、ジブリなど)だと、ほぼ必ずと言っていいほどインタビューや書籍は交えます。
「このインタビューマニアックだ……」って感心するぐらいの作品解説動画もあるからね。それと比較するとソニックの解説動画は掘り下げが甘い。
有料ならまだしも、無料公開された情報を踏まえずに語るのは、自身のリテラシー不足を見せているだけではなく、制作者の敬意に欠けた行動です。
企業の面接前に下調べを入念にするのと同じですね。
企業面接だけが特別じゃないし、物事を語る上で状況・背景・経緯などを可能な限り調べるのは、個人的には当たり前の認識。
解説の本質を理解していない
本質とは物事の解を
思案・探求すること
CHECK!
解説とは、見る側に極力正しく・正確な情報を伝え、判断してもらうもの。これが解説という行為の本質です。
- 海外ソニックを調べようとしない
- ちゃんとリサーチしない
ここまで読んだ人なら、「上記の状態で正しく解説できるのか」と言われ、できると答えられる人はどれだけいるでしょうか。
何より一番の問題は、解説の本質を理解しないまま解説動画を出せば、風評被害が発生しかねないということです。
同じ意図でもここまで変わる
この作品はストーリーが薄っぺらいです。
↑そうなんだ、この作品はストーリーの出来がよくないんだね。
こういった感じで調べずに解説することは、作品全体に余計なマイナスイメージがついてしまいますし、結果的に風評被害になってしまいます。
作品やシリーズを語る上で、開発者に対する最低限のリスペクトは必要ですけれど、上記の伝えかたではむしろ、開発者たちを卑下(ひげ)するものになってしまいます。
その作品は確かにストーリーが薄いかもしれませんが、これにはこういった経緯があり、開発側のこのインタビューで察することができます。
↑そういった理由なのか! 開発者はそう考えていたんだね!
逆にしっかりとしたエビデンス(根拠)で語ることができれば、「ストーリーが濃くない」という同じ解説でも、受け取りかたは正反対になりますし、話の説得力も増します。
これは解説動画のみならず仕事でもなんでもそうで、できる人はちゃんと深掘りし、エビデンスを用意して物事を正しく伝える意識を忘れません。
ビジネスでいうWhy思考(有能)とHow思考(思考停止)の関係と同じ。物事を正しく伝えるにはWhyの意識は不可欠。
最後に:情報発信者の責務はプロ・趣味でも関係ない
「趣味だし自由でしょ」
は本質を見ていない
ここまで、ソニック解説の9割が解説になっていないと述べたのは、
- 海外展開ソニックを取り上げない
- リテラシーの問題
- 解説の本質を理解していない
この3点が挙げられるからだとお伝えしました。
「9割は解説ではない」と書くのは統計で9割という意味ではなく、情報発信者が風評被害を与えかない不十分な解説を公開し、それにともなう責任・意識が低い人が目立つという意味です。
上記には該当しないものの、タイトルに「パクリ」「クソ」などを煽って書いておきながら、そのフォローを本編中にしない解説動画のケースもありましたね。
あれは大変無責任な行動ですし、開発者の人たちにも失礼です。
言葉は厳しいけど、「浅はかな視聴回数稼ぎ目当てで情報発信者として失格。真摯(しんし)に反省してほしい」と思うよ。
情報発信者になるという意味
自分も解説動画ではないですが、過去にソニック作品やシリーズに対する解説やレビューの記事は数多く投稿しています。
上記は一部ですが見ていただけるとわかるように、基本的にどれも徹底的に情報を調べて書いているのがわかると思います。
これはソニック作品以外のジャンルでも同様だよ。でもソニックだと熱が入っちゃうけどね。
情報源は無料公開されているものが中心ですが、欲しい情報がない場合は雑誌などを購入して、自分ができる範囲で収集していますね。
- 解説の本質はなにか
- 情報発信者としての姿勢
正直これができない人、「趣味だからどう作ろうと自由」と、自分の行動・意見に責任を持たず棚に上げて甘えている人は、情報発信者になるべきではないし向いていないとすら思います。
この意識が低いと、開発者の敬意に欠くだけではなく、シリーズや作品への風評被害につながりかねませんし、この風評被害になる部分が一番懸念している問題点です。
これはプロ・趣味関係ないもので、不特定多数の場に公開すれば平等に情報発信の責任は発生します。
「趣味だから」は自分からすれば、趣味を持ち出して甘えている言い訳。仮に自信ないなら前置きを書くのが優しさだよね。
正しい発信をするということ
エビデンスを踏まえた正しい解説をすることは、コンテンツの正当な評価・発信になるのみならず、開発者の人たちへの敬意にもつながります。
敬意とは「信者になれ」ではない。良否を正確に伝えるためには相手に敬意を持つことが前提であり、これは解説の基本。
ここまでいろいろ言いましたけれど、繰り返すように9割の解説動画を世に出してきた彼らを全否定したいわけではありません。
愛情が伝わるからこそ、記事で「9割は解説ではない」と刺激的な表現を意図的に使っているのか、そこを踏まえてご留意いただければと思います。
裏を返せば、解説動画の1割はできているということ。情報発信者ならこの割合を増やす意味の重要さを考えてもらいたい。
それから今回の話とは無関係なものの、解説で参考・引用するなら出典元を明記するのは基本で、これは作品やインタビューのみならず、個人が作成した記事・動画でも同様です。
ソニック解説の中には、自分が当サイトで書いた文章をほぼ丸々使っているケースも見受けられます。文章にも著作権があるため、参考にする場合は適切な行動をすることを心得てくだい。
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赤竹ただきちTadakichi Akatake
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個人的に興味深かったのが、kotobagari(言葉狩り)も日本語読みで表記するらしい。海外だとPC(ポリコレ)だろうけども、漢字・ひらがなの表記にこだわるから、kotobagariなんだろうなと。
イラストレーター・マークアップエンジニア(コーダー)・Webデザイナー・ライターのウサギ好き。多様な絵柄を描け、外国人でも絵でわかるマンガ、ウサギと口内描写にこだわりを持つ。
コーディングとWebデザインは両方可能。納期が短いなどいった案件では、「デザインとコーディングのアドリブ同時進行」という荒業もおこない、SEO施策を意識したマークアップも得意。
フリーランスとの進行ディレクション・指示や、面接担当の経験が幾度もあり、プロ・趣味問わず、絵描きを含めたクリエイティブの姿勢には少々シビア。
「自省・リテラシー・正しい批判の認知・意識向上」をライフワークとし、当サイト記事も「気づき・理解・学ぶ」を全体テーマとして執筆。
当サイトの記事は中学生でも理解できるように計算しながら執筆しており、ネット・SNS上で「わかりやすく参考になる」とご好評の声多数。
「言い訳せずに下手でも自分の弱さを認め、背かず自省して学ぶ意識を忘れない(=謙虚な)人」は、年齢・性別問わず好きなタイプ。
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