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雑記他



作家に月額などで金銭的な援助を行う支援サイト(パトロンサイト:『FANBOX 』や『Fantia 』など)が、日本でも受け入れられているようになりましたが、一方で支援サイトに二次創作物を載せるのはありなのか? ……といった意見も耳にします。

中には同人誌やグッズ販売で二次創作をする人達を「自力で稼げない寄生虫」と言わんばかりに、心無い言葉を投げつける人も多々見られます(ただこの理屈だと、同人上がりのプロや海外イラストレーター達を侮辱する事になりますね。著作権の話ではなく実力の問題にすり替わってますし)。

支援サイトに二次創作物を載せる是非を書いていきますが、これを書くには今の二次創作のあり方をしっかり見直す事も必要なので、そちらも交えて記載していきます。

これは一個人の意見です

他の様々な意見・視点も取り入れてください。



支援サイトに二次創作を載せるのはありなのか?

まず前提条件として、二次創作は他者のフンドシで相撲を取る事と、権利者の指示や意見には素直に従う事は、いかなる場合でも必要です。

その上で権利者の意見も見て考えた結果、「支援サイトに二次創作を載せるのは(条件付きで)OK」というのが結論です。まず否定的な意見(支援サイトはオリジナルのみで二次創作は控えるべきだetc)には、これらの論理に3点抜けている箇所があったので以下に挙げると、

  • 問題かどうかは権利者が決める事であって、第三者が合法・違法といたずらに騒ぐべきではない。
  • 権利者の創作ガイドラインを厳守した上での二次創作・支援サイトの有料記事公開は「黙認」ではなく「許可」になる。
  • 支援サイトはそれぞれ記事を無料・有料かで選べる。「支援サイト=全て有料」は誤り。


これを踏まえて語っている意見が少なかったんですよね。確かに広義で言えば、二次創作(+で金銭を得る)は著作権上グレーですが、これを黒に傾けるのか、白に持っていくかは第三者ではなく権利者です。

二次創作における著作権は基本親告罪(権利者が訴える)である点、ほとんどの支援サイトの利用規約に、二次創作の有料記事掲載を明確に禁止する記載が無いのを考えれば分かりますね。これは権利者それぞれで見解がかなり異なるためです。

去年『クッパ姫』のピクシブ百科事典記事でもこの辺りの編集合戦がありましたけれど、法律専門家の意見を持ってきて「ほら、クッパ姫二次創作の著作権問題はこうなんだよ! 同人誌やグッズにするのはほぼ真っ黒の違法状態だよ!」と言わんばかりの記載はやりすぎであり、あの項目を書いた執筆ユーザーは、著作権に対して偏った知識を持っていた事が分かります(編集合戦を考慮し消す事はしませんでしたが)。

なお任天堂の二次創作の見解については、「社会的に見て当社の知的財産の品格・価値を貶めるものはダメだが、かといって好意で作られたものですら取り締まるのも不適切。どう判断するかは第三者からの通報を見てから考える 」と、生前の岩田社長は質疑応答で語っています(ただこの質疑応答は2010年時点のものであり、会社の認識が変わっている可能性があるのはご了承)。

これを見ても分かるように、違法かどうかは権利者が判断するもので、外野が過剰に反応するのは違います(かといって著作権問題を全く問題にしなくて良いと言っている訳ではありません)。先述の法律家の意見もあくまで個人的見解に過ぎないのは留意すべきです。

一昔前の『行列のできる法律相談所』でも、同じ法律専門家なのに意見が分かれて対立していたほど、権利問題は専門家ですら断定的な意見をまとめる事が出来ず、二次創作は100%合法で問題ない、もしくはほぼ真っ黒の違法だと決めつけるように言う事こそ詭弁です。

なので以下のような、

  • 「二次創作しても公式が何も言わなければ合法」
  • 「法律専門家がこう言っているから黒に近いグレー」
  • 「二次創作は権利者の著作物を盗んでいるから違法行為だ」


このような二次創作問題に合法・違法、白・黒だと声高に荒げたり、一法律専門家の見解を鵜呑みにして主張する人のほとんどが、親告罪、創作ガイドラインの概念・存在に無知な「知ったかぶり」か、ガイドラインが登場する以前の時代の知識で止まっている「化石さん」です。

詳細は後述しますが、著作権の知識をしっかり持っていれば、そのような言葉を代弁者のように使わないはずで、日本政府もTPPの中で、二次創作を原則非親告化しないと明記しています。なので権利者じゃないのに、このように決めつける主張をする事自体がおかしいのです。

条件付きで許可しているケース

なお二次創作に寛容で一定の条件で黙認ではなく「許可」をしている有名な権利者については、『艦隊これくしょん -艦これ-』や『アズールレーン(アズレン)』『UNDERTALE(アンダーテール)』などが挙げられます。特に最近登場したものほど、創作ガイドラインがしっかり制定されている場合が多いです。



この3ジャンルは概ね、非営利の個人である場合に限り、ファン活動として金銭のやり取り、同人活動やグッズ販売などは認められるとしています。支援サイトの有料公開にも(一部を除き)特に規定がない事から、ファン活動の一つとして容認している認識で問題ありません。

アズレンは「創作性が高く権利者を脅かすような利益を出さず、材料費程度の金額であれば、金銭のやり取りはやっても良い」とし、UNDERTALEも「支援サイトの場合はUNDERTALE専用アカウント運用は禁止。でも数多くの二次創作を描いていて、その中の一つとしてならOK」と具体例を掲示しています。

また非営利の表記に関しては定義が曖昧ですが、他の一般雑誌のような大量生産や、それをビジネスにして衣食住を完全にまかなえるしお釣りが出るほどのお金を稼がなければ、営利行為と認められないと考えましょう。

従来通りの黙認になっているケース

逆に厳しいガイドラインを設けているのは、『SSSS.GRIDMAN(グリッドマン)』や『サンライズ』などですね。



グリッドマンは創作性が高い二次創作および、同人活動も個人活動の範疇(はんちゅう)を超えない限りは認めていますが、支援サイトでの運用・公開は、過去の事例から原則禁止とみなされています。サンライズはもっと厳しく、二次創作のネット掲載は許可がない限り禁止扱いです。

他にも小学館や芳文社など、大手商用マンガ各社の二次創作については、作者次第とされている場合がありますが、そのほとんどが原則禁止という表記になっています。

ただ、これらの規約はネットが大幅に普及する20年近く前から、記載がほとんど変わっていないようで、あくまでも悪質な場合に限るというニュアンスであり、二次利用であって二次創作ではないし同人誌を規制しているわけではない、またはごく普通のファンアートなら問題ないという編集部や作者の意見も。







ゆえにこれらのジャンルは従来の概念通り、「黙認状態」「ファンアートは多い・もしくは好意だから何も言っていないだけ」として扱われているという形になりますね。支援サイトでこれらのジャンルを有料で載せるのはトラブルの元になりかねませんから、無料で載せるか、支援サイトへの掲載を控える。もし違反として忠告された場合は、素直に従う必要があります。

「公序良俗に反する行為」はエロ(R-18)禁止?

しかし一定の条件で二次創作を許可を示す公式でも、公序良俗に反する行為は禁止であると明記されています。では具体的にどのようなものであるのか?

よく誤解されるのが、公序良俗に反する行為=エロ禁止ではありません。ただし性的表現が含まれるものと併記がある場合はエロは禁止になります(軽微も含むか心配な場合は、権利元へ問い合わせるのが良いかもしれません)。

特にそういった併記がない場合、グロ表現の場合は度合い(四肢寸断といった悲惨な表現など)によって公序良俗に引っかかる恐れがありますが、エロに関しては性器の黒塗りやモザイクなどの修正を施せば、原則みなされないとされるのが通説のようです。

否定的な意見を分析すると…?

上述のように、ネットでは様々な否定的意見を見かけますが、「権利元にもお金を入れないとダメ」「百歩譲ってやるにしても権利者の敬意は忘れるな」といった、筋が通った意見は少数派。

ほとんどは法律問題を御託を並べて、結局は趣味ごときで金取るなと、二次創作は無料でやるべき論に行き着いたり、他者の権利を使って金銭を得るやっかみ(言いがかり)。または中途半端な知識での偏見、偏った正義感(自己顕示欲)で糾弾している面が目立ちます。

お金のやり取りって原則、双方が納得して成立するものですから、たとえ趣味でも払う価値があるなら払うもので、合法違法は何度も言うように、それを決めるのは権利者であって第三者がとやかく言う事ではない。

これらの意見を出すのは、先述のように偏った知識、古い認識で止まっているか、いわゆる『嫌儲』と呼ばれる人達ですね。本来の定義では、5chの書き込みの転載や偏向的な抜き出しを行い、それでアフィリエイトで金稼ぎする事に嫌悪感を示すスラングです(次第に広告で収入を得る自体を批難するといった、論理のすり替えが起きていますが……)。

ただ当記事の定義では文字通り、とにかく相手のやり方にケチをつける小姑みたいな「儲」ける事を「嫌」う人を指します(ので念の為)。「無料が当たり前」「お金は卑しいもの」「汗水垂らして稼ぐ」という思い込み・固定概念・刷り込みが、いろいろ彼らの主張を錯綜させている節があります。

そして否定派のみならず、「二次創作は合法」と敬意や権利意識を無視した楽観視も良くありません。そういった考え方が高じた結果が、『ドラクエ花札騒動 』ですからね。

政府による二次創作の認識

政府の発表(内閣官房)では、

故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。(原文ママ)

内閣官房|環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要(31ページ目に記載) —

【第十八・六十五条制限及び例外】各締約国は、この節の規定について、排他的権利の制限又は例外を著作物、実演又はレコードの通常の利用を妨げず、かつ、権利者の正当な利益を不当に害しない特別な場合に限定する。(原文ママ)

内閣官房|TPP協定(訳文)(65ページ目に記載) —



と、このように明記されており、恐らく声高に掲げる上記の批難・否定派、または合法だと権利意識がない人達は、この文章も読んでいない可能性が高いです。

最近になって漫画や音楽・映画などの無料ダウンロード行為が問題にされてきたから、急に騒いでいる感があります。上記公式文章を見れば分かるように、著作権法の非親告罪(権利者が訴えなくても検挙できる)の適用は海賊版・無断転載が中心で、それに二次創作が巻き込まれないよう、創作ガイドラインを制定する著作物が多く生まれている訳ですからね。




結局何が言いたいかと言うと、ちゃんと二次創作は何かを理解し、権利元のガイドライン厳守の上、創作および、支援サイトに有料記事公開しているのなら、これらはコンビニやスーパーで見かける悪質クレーマーレベルの言いがかり。「合法・違法は権利者以外が決められる権利はない」ため、一部の的確な意見以外は、気にせず無視しても良いという事です。

まとめ:もし支援サイト(パトロンサイト)で二次創作を載せるなら?

以上の点を踏まえ、もしFANBOXやFantiaなどで二次創作を載せる場合は、

  • 「権利元の二次創作ガイドラインを熟読した」上で、有料絵・有料記事にして良いか考える(不明確・存在しない・禁止している版権はトラブルの原因になるので、無料記事か支援サイトに載せない)。
  • オリジナルを入れたり複数の二次創作ジャンルを入れるなど、二次創作限定アカウント・特定の版権専用としての運用を避ける。
  • 問題があった場合は素直に権利者へ従う事を明記する事。


以上の点を明確に行い、得たお金は個人の活動費程度に留める事は忘れてはならないでしょう。


しつこいですが、二次創作の権利問題については権利者が判断するもの。ネット上に散らばる「二次創作は合法or違法」と決めつけ、楽観視・批難・否定派の多くは、

  • ネットで聞きかじったような法律専門家の一意見や、御託を並べただけの極論。
  • 海賊版問題で認知が広がったから野次を言っているだけの、偏見・知ったかぶり・化石レベルの知識。
  • 創作ガイドラインの存在や、TPP公式資料の著作権項目の記載をよく知らない。
  • 楽して稼ぐのは許せないというやっかみ。


特にツイッターでは(匿名だからか)主張がエスカレートし、行き過ぎな部分も多々あります。

ただ、支援サイトを覗くと「君さ、本当に権利元の創作ガイドラインを確認して有料記事にしているの?」と言いたくなる絵描きがいるのも事実。pixivに創作ガイドラインが不明確な二次創作絵をサムネイル公開し、「全部見たければ有料記事を見てね」みたいな事をする人。あれは自分もどうかと思う。

二次創作は他者のフンドシで相撲を取るもの。権利者への配慮と敬意は忘れず、しっかりと創作ガイドラインを熟読してルールを守り行動し、何かしらの指示があった場合は素直に従う事に変わりありません。

それを理解した上で運用し、支援サイトでの交流を楽しみたいものですね。なお自分も支援サイトには頻繁に二次創作を載せていますが、有料記事は全て「オリジナル&創作ガイドラインを厳守した二次創作の年齢制限絵(R15)のみ」で、他は全て無料公開するスタンスを取っていますので、ご参考に。

仕事を辞め、療養生活も1年。なんというか早かったね。しかしメリハリのある人生が好きな自分としては、やっぱりこういった生活は堕落しかねない。お仕事モードのスイッチが健在なのは救いかな(ただし対人に限る)。

そろそろ資格の試験日だし、気合を入れていこう。

絵を描いてHTML・CSSコーティング、文章書きまで幅広くやれる京都生まれのウサギ好き。ネチケット(ネットマナー)やネット(情報)リテラシー、批判と批難の違いにはちょこっとシビア。