
時折テレビやネット・SNSなどでは、『ゆとり世代』『Z世代』の行動がピックアップされますよね。
それがただの価値観や時代の違い、ポジティブな意味であればともかく、
- 「ゆとり世代は無能」
- 「Z世代はうざい」
このような世代バッシングに発展していることもままあるものです。
彼らは本当に使えないのか、非常識で無能なのかを、ゆとり世代である自分が掘り下げていきます。
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個人の見解です
ほかの意見もご参照ください
『ゆとり世代』『Z世代』の定義


どの世代なのか?
まず、『ゆとり世代』や『Z世代』の定義として、
- 【ゆとり世代】1987~2003年生まれの世代を主にさす(諸説あり)。
- 【Z世代】1990年後半〜2000年代生まれの世代。
ここの世代をさします。
ちなみに自分もゆとり世代です。

共通するのが、バブル末期〜崩壊後にうまれているので、超好景気時代を概念でしか知らず、パソコンやネット・SNSにあまり抵抗のない人が多いということでしょうか。
ゆとり世代とはいつからいつまで? 現在の年齢と特徴を時代背景とともに解説|マイナビ
Z世代|初めてでもわかりやすい用語集|SMBC日興証券
ゆとり世代・Z世代の問題行動


よく言われる典型例
そして、ゆとり世代・Z世代について取り上げられると、特にネット・SNS上ではネガティブな論調が目立ちがちです。
ゆとり世代の問題行動
- 帰れと言ったら本当に帰る
- ドタキャンしても知らん顔
- 叱られることを極端に怖がる
- 意見される覚悟がない
- やる気や意欲がない
- 敬語を使わずなれなれしい
- プライドが高く非を認めない
- 読解力・国語力がない
- 文句やいちゃもんは一人前
Z世代の問題行動
- ネット・SNSの怖さを知らない
- 失敗を怖がる
- メール・応対マナーがない
- 電話応対を嫌がる
- 承認欲求が激しい
- 文章に句読点をつけない
- 意味不明な略語を多用
- 意識高い系を気取る
- 注意したらパワハラ呼ばわり
大まかに言えばこのような感じでしょうか。
そりゃあビックリするよね……ゆとり世代の自分もそうだもの。

Z世代はネットリテラシー・社会的な関心(ジェンダー・SDGsなど)が高いと言われるものの、情報の真偽を確かめる力(=リテラシー力)が全員あるのかと言われると微妙なところです。
承認欲求が強いと言われるのは、インスタグラムなどのSNSに熱中する人は、10代〜20代が一番多いからでしょう。
【激怒】ゆとり世代の信じられない行動15選!「私ゆとり世代ですから」と開き直る|livedoorニュース
Z世代の7割「人と競争するのが苦手」「周囲から浮かないようにしたい」の声も|ITmediaビジネス
LINEで句読点を打たない若者たち、実は知られざる「合理的」理由があった|日経XECH
なぜZ世代はSDGsに対してモチベが高いのか──キーワードは「時代背景」と「コミュニケーション」|クイックジャパンウェブ
言いたくなる気持ちもわかる


確かに何度も困惑した
自分自身がゆとり世代ですから、「これだからゆとりは……」と言われたり、「Z世代はさあ……」もいい気分はしませんし、世代でひとくくりにする自体も、ほめられた行為ではありません。
しかし、世代バッシングは擁護(ようご)しないと前置きをしつつ、実際にそういった経験やトラブルを幾度もしているから、言いたくなる気持ち自体は理解できるんですね。
こういった話題で盛り上がるのは、それだけ言われる理由・体験が少なからずあるのも考える必要があります。
このあたりは実体験を交えながら述べていきます。
仕事で経験したトラブル


仕方ない部分は
あるとはいえ
昔、 アルバイトやパートさんに指示や指導する部門リーダーの立場だった時期があり、学生バイトの指導を主にやっていました。
学生は学業が本分で、精神的に成熟していない部分は除いても、悩まされた点は多々あったんですね。
- 【声かけをしない】挨拶なしで勝手に上がってしまう。
- 【確認ができない】『ホウレンソウ(報告・連絡・相談)』ができない。
- 【反省しない】注意をしたのに改善しない。もしくは数週間で忘れている。
- 【勝手な解釈】連絡を文章をちゃんと読まず、内容や単語の印象で判断。
- 【手のひら返し】互いで了承した内容を、一日前になって変える。
- 【休日の配慮がない】休みの日に連絡し、お詫び文も添えない。
- 【勝手に辞める】学校が忙しいから、嫌なことがあったと、無断で辞める。
もちろん、しっかりと考えられる「できた人」もいましたけれど、こういった人が目立ったのも事実なんですね。
文章を読めない人もいた
連絡の内容を勝手に解釈された件は、悪い意味で印象に残っていて、
「シフトを現状維持するか、シフトを短くするか、どちらにしましょうか?」
実際にあったケース
という趣旨の100字未満な連絡相談を、
「現状のシフトから短くしてくれませんか?」
実際にあったケース
と解釈されて激怒して上に報告され、あとで問いただすと勘違いでしたと認めましたが、弁解に駆け回ってどれだけの心労に苛(さいな)まれたか……
文章をちゃんと読まずに攻撃的になる人なんてのは、ネット・SNSの世界でお腹いっぱい……

DMやコメントから感じる認識の違い


気軽すぎるのは
否めない
ネット・SNSでDM(メッセージ)やコメント(リプ)をもらうことがあり、プロフィールでゆとり世代・Z世代とわかる人であればあるほど、
「手を加えるのはやめてください 意味が変わってしまうので」
「リクエストしてもいいですか?」
「依頼は可能でしょうか?」
実際に送られてきたDM
初対面の人間であっても、挨拶文や締め言葉といった体裁もなく、句読点もないような一行だけの文章を送ってくるんですね。
また、こちらが社交辞令的に謝罪や丁重(ていちょう)なお断りをした場合でも、
「あ そうなんですね」
「わかりました」
「どういたしまして」
実際に送られてきたコメント
と返されてきたときは、
そこは「こちらこそすみませんでした」とか、「いえ、とんでもないです」と最初に言うものでは?

って思ってしまうのは、心が狭いのだろうか……と、自問自答をしたものです。
敬語(丁寧語)を使っておけば失礼じゃない?
あくまで自分宛に届いた範囲ですけれど、「丁寧語(です・ます調)を使っていれば失礼にあたらないと本気で思っている」のは否めないですね。
いきなり「お前」呼ばわりしたり、タメ口や乱暴な言葉を使ってくるよりかは全然いいけど気になる。

価値観の問題はあるにしても、「初対面なのにマナーがなく失礼だ」とクレーム案件になりかねず、自分のように普段からビジネスメールを送る人間からすると、なおさらです。
自分の身を守る、お互いに無用なトラブルを避けるという意味でも、せめて挨拶文と締め言葉ぐらいは書いてほしいですね。
ネット・SNSでの距離感
中にはフォローを返したり話しかけただけで、プロフィールの最初に有料だとしているにも関わらず、

無料で描いてください。
と、信頼を築いたクライアントのように絡む人もいますね。
自分は無料絵にろくな思い出がないため原則お断りしているにしても、社会人だったらまずそこに至るまで、ご依頼するなどをしてプロセス(手順)を踏み、信頼を築いてから交渉するものです。
単にプロフィールを見ていないだけかもしれませんが、それはそれでリテラシーが低いと感じますし、距離感があまりにも近すぎると感じる部分はあります。
フレンドリーすぎるのも考えもの。

ゆとり世代・Z世代は非常識で問題世代か?


一呼吸おいて考えよう
自分も経験しているだけに、「ゆとり世代は非常識」「Z世代はうざい」と言いたくもなる気持ちは理解できます。
しかし、言いたくなる気持ちに一定の理解を示すとした上で、
CHECK!
「ゆとり世代・Z世代はダメ」と断定する前に、まず「そう言われる理由・原因」を考え、言う側も言われる側も、冷静な判断が大切。ここをまず考えてほしいなと思います。
彼らの行動要因・原因


理由を考えてみよう
では彼らの行動の要因・原因は何か、そう言われてしまうのかを考えると、
- 【無垢な状態】失敗体験や能動的に行動する社会経験が少ない。
- 【親の消費者意識化】モンスターペアレント(モンペ)問題など。
- 【過保護・教育放棄】適切な教育やしつけをおこなっていない家庭問題。
- 【読解力・理解力の低下】コミュニケーション不足や活字離れ。
- 【リテラシーが低い】読解力、情報を精査する能力が低い。
- 【発達・精神障害】ADHD(注意欠如多動性障害)・アスペルガー症候群など。
大まかには、以上の点が主に挙げられるのではないでしょうか。
失敗を嫌う世代に挑戦する喜びを経験させたい|NECマネジメントパートナー
学校が恐れる”わが子ファースト親”の異常行動|プレジデントオンライン
モンスターペアレントはなぜ増えた?|ママテナ
日本の15歳、デジタル読解力不足に3つの背景|日本経済新聞
第2部 ICTが拓く未来社会|総務省
空気が読めない人は「大人の発達障害」か|プレジデントオンライン
単に「世間知らず」
つまり、大体は無能や非常識ではなく、
CHECK!
単に経験とリテラシーが低く、社会のルールをしっかり学んでいないだけ。世間の風潮で失敗や叱られた場数も少ないから。もちろん時代の流れや価値観の移り変わり、適材適所はあるものの、大体はここに尽きると考えていて、だから結果的に「非常識」「使えない」ように見えると思うんですね。
発達・精神障害の件は本人の社会適応力が関わるから難しいものの、失敗を経験させ・対応力を学ぶ環境、社会人マナー・リテラシー教育は、今日からでもできることです。
人間は失敗しながら学んでいく生き物です。失敗を許さない保守的な風潮では、本人も社会も成長しません。

世代バッシングも裏を返せば、「教育に時間をかけられず、失敗も許さず許容がない(=心に余裕のない)社会になっている」という、現代社会の闇や側面が垣間見えているかのようにも感じます。
一方で若い世代も、社会のルールやリテラシーなどは言われるがままではなく、能動的に学び、もっと失敗をして成長の糧にしてほしいものです。
非常識人間の問題と切り分ける
ただ、教育の問題以前に全く改善する気がない、本当の意味での非常識人間が一定数いるのは事実。
実際にそのような人を指導したことがあり、誰かが作業代行すると「仕事を奪うな」としつこく詰め寄り、物を動かすとすごい形相で逆上する上、自分が納得しないとしつこく、謝らない人でした。
相手が表面的に怒っていなければ、

怒ってないの? じゃあ謝らなくてもいいや!
と考える感じで、言いかたは悪いですが精神年齢が低く、あまりにも自己中心的だったんですね。
こういった人たちに対しては毅(き)然とした態度で対応するべきであり、世代の問題とは切り分けて考える必要があります。
最後に:まずは要因を掘り下げよう


問題解決能力が
問われる
ゆとり世代当事者なのにも関わらず、ゆとり世代やZ世代の行動で困惑した経験は幾度もあり、気持ちはすごくわかります。
しかし、ただ世代バッシングをして文句や悪口を言うだけは非生産的ですし、お互いになんのメリットもありません。
CHECK!
彼らは社会のルールをよく知らないし、リテラシーが乏しく失敗経験も少ないから無能・非常識に見える。また、失敗を許さず許容がない(=心に余裕のない)社会になっていないかと考える必要がある。時代や価値観の違いか、失敗経験に乏しい世間知らずか、適正の問題か、文字どおりの非常識なのか、いろいろ考えられるからこそ、くもったメガネで見ないで冷静に見る必要があると思います。
冷静に見る一番の近道は、お互いに人としてのリスペクト(敬意)の精神を極力持つことと、まずは原因を分析して対策を提案する『Why思考』になることです。
「Why型思考」が仕事を変える 細谷功著|東洋経済オンライン
Why思考は正しい批判を身につける
Why思考は正しい批判の思考(批判リテラシー)が身につきます。
世間では『批判』をネガティブ・悪いことのように思う人が多いですが、それは大きな勘違いであり間違い(誤用)です。
本来の批判とは「双方の成長の機会になることもある、良否を含めた建設的な批評行為」です。

Why思考をしないということは正しい批判ができない(=批判の意味を間違える)ということであり、正しい批判ができないから、非生産的な世代バッシングになってしまいます。
叱る(指摘する)ことと怒る(責める)ことが違うように、批判と悪口は違うから積極的にWhy思考を学んで。

若い人も批判は悪だと思う人が多いので、こう伝えたいですね。
「人それぞれ」で片づけない
よく言われる、
- 「世代でひとくくりにするな」
- 「世代じゃなくその人の問題だ」
このような「人それぞれ」という意見で片づけようとするのは、かなりの詭(き)弁です。
人それぞれは「結論」ではなく、「前提」に使う言葉・定義だよ。

世代の問題として言われるのは、言われるだけの理由と背景・体験談があり、問題だと思われてしまう事実・傾向が少なからずあるということです。
「人それぞれ」で片付けてしまうのは、問題を考えているように見えて、実際は問題を掘り下げようとしていない逃げの言葉だと思いますし、厳しい言いかたをするなら、思考の停止です。
これもまた正しい批判ができない、普段から自分で考えていないことを表している証拠です。
- 「そう見える理由はなにか」
- 「どこに認識の違いがあるのか」
- 「なぜ問題になっているのか」
- 「だったらどうしていこうか」
若い世代も上の世代も、ここを冷静かつ自分の頭で考えることは、結果的に双方の成長にもつながります。自分を含め、しっかり自己研鑽(けんさん)をしていきたいですね。

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