
ソニックフロンティアの最後の大型アップデート『超・完全決戦』をクリアしたレビュー・評価になります。
また本DLCで登場した新形態『スーパーソニック2』と『スーパーソニックサイバー』について、名前の由来・解説・所見も後半に述べています。
本編のレビューや、今回の追加ストーリーを含めた、ソニックフロンティアの作中の謎や展開の解説・考察は別記事にまとめていますので、ご参照ください。
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ネタバレ注意
記事にネタバレがあります
ありえたかもしれないアナザーストーリー

超・完全決戦は公式アナウンスやポータルの入り口で説明があったように、いわゆるIF、メタルギアソリッドV(MGSV)でいう「ありえたかもしれない もうひとつの擬史」です。
- もしウラノス島でジ・エンドが想定以上に復活を早めてきたら?
- もしカオスエメラルドを仲間たちに集めてもらっていたら?
- もしソニックがサイバー化の侵食を力に変えていたら?
こういう感じのアナザーストーリー・世界線になっています。
個人的には本編エンディングはこっちでもいいんじゃないかと思うぐらい完成度が高かったので、悩ましい部分ではあります。
本編エンディング(難易度スリル)じゃないと、ジ・エンドの真の動機がわからないからね。静かな展開を描いた本編と、熱い展開を描く超・完全決戦、どちらも好き。

ストーリーの目的を解説

このDLCではエミー・ナックルズ・テイルスが操作可能となり、それぞれを操作してカオスエメラルドを集めていくことになります。
- 【エミーの目的】カオスエメラルドがない原因をココから聞き出す。
- 【ナックルズの目的】防御態勢になったウラノス島のファイアウォールを破壊。
- 【テイルスの目的】無防備のウラノス島をハッキングしカオスエメラルドを開放。
本ストーリーではジ・エンドが本編よりも早く復活をしようとしたため、ウラノス島が防御態勢になってしまい、本編よりも厳しい環境になっているんですね。
それを3人の仲間がお互いの長所を活かして協力するのが、大まかなストーリーになります。
ただのモデル変えなら「MODでよくない?」になるけど、ここまで話と遊びの幅が広がるなら大歓迎。

特にテイルスのサイクロンブーストが非常に優秀で、ブーストが続く限り自由に空を飛ぶことができますから、それを利用してギミックを無視するのも攻略としてアリです。
それにともなってキャラクターの聞き取りイベントも大幅に増加し、本編ではわからなかった設定や謎が新たに判明していくのも、考察する上で楽しいですね。
たまに見かける石積みは、古代人のスポーツ競技だったという話がほっこりしてて好き。あんな高度な文明を持っているのに原始的な遊びを興じるんだね……

電脳空間もリニューアル

ウラノス島の電脳空間はすべてリニューアルされ、こちらもかなり難しいだけではなく、それぞれに特有の遊びが追加されています。
- ギアを入れるように加速するステージ
- ロケットブーストで高速移動ステージ
- タイムアタック競争ステージ
などのように、非常にバラエティが富んだものになっています。

どれも難しいけど、本DLCはデフォルトでスピンダッシュが解禁されているので、スピンダッシュを使うとその楽しさがわかるよ。

気になった点

- 【ウラノス島限定】仲間たちは今回のウラノス島でしか使えない。
- 【歩かないサイクロン】サイクロンの歩行移動は欲しい。
- 【ほぼカード】ハンマーをあまり使わないエミーに少し違和感。
- 【挙動問題】ナックルズの壁登り・滑空がピーキーで操作が難しい。
- 【音声バグ】聞き取りイベントの3割で声が流れない。(スイッチ版だけ?)
- 【鬼難易度】エンジョイで試練の時間延長など、救済があるとよかった。
- 【ラスボス】攻略がわからないと詰む。(条件を満たせば教官王からヒントを聞ける)
この中でも鬼難易度の件は本格アクションゲーム並の難関で、王冠を入手したプレイヤーですらも「難しい」と言っていた国内外の人たちを見かけました。
ただ、このDLCの難しさの3割ぐらいは操作性の問題な気がする。特にナックルズはアドベンチャーのような挙動を再現するだけでいいと思うんだけど、滑空前に一時停止するのが謎。

エミーがハンマーではなくカードを使う理由
ファミ通の公式インタビューによれば、エミーがハンマーではなくカードを使うのは、海外ファンたちのMOD(改造データ)文化に対抗しているからだと明かしています。
すでにハンマーを使う完成度の高いエミーは海外ファンがMODで実装しているから、ソニックチームならではの視点で考えた結果、カードを使うキャラクターになったそうです。
その経緯の理由付けとして、「スターフォール諸島の敵にハンマーが効かない」という設定にしたのでしょうね。
ソニックチームはガイドライン出してないけど二次創作に寛容だよね。よく参考にするし、曲を歌ってみたの人をゲスト起用、ソニックCDの無断移植を許可して制作スタッフに招くほど。

世界累計350万本、国内は前作の3倍以上売れた。でも「もっと行ける」。『ソニックフロンティア』が開拓した新たな地平を振り返る発売1周年インタビュー|ファミ通.com
試練の塔の救済処置
塔は難易度エンジョイにすれば救済処置がでますし、パーフェクトパリィの猶予時間も増えるものの、試練の中身(ダメージ量・制限時間)と難易度は関係ありません。
追記
インタビューによると、塔の試練を6回ごとに失敗すると制限時間が伸び、12回失敗するとさらに優しくなるようです。ゆえにアクションゲームが得意じゃない人にはかなり厳しく、難易度エンジョイでもエンジョイできないレベルです。
蛇の試練がなかなか鬼畜。敵の飛び道具を遠目から誘導させ、攻撃 → パリィ → 攻撃 → パリィの無限ループでいけたよ。

ここまで難しいソニックゲームは歴代でもあまり記憶にないですが、岸本プロデューサーいわく「気づく」ことさえすれば、そんなに難しくない作りなのだそうです。
岸本:基本的に追加シナリオで詰まってしまうところは、敵が固いとか攻撃が苛烈でやられるとかそういう難易度ではありません。それはソニックらしくないと思っていて。
いままでやってきていないので、これもチャレンジだったんですが、“気付き”というのを難易度に組み込んでいるんです。
なので、ラスボスも、攻撃方法を気づけばそんなに難しくないんですよ。
世界累計350万本、国内は前作の3倍以上売れた。でも「もっと行ける」。『ソニックフロンティア』が開拓した新たな地平を振り返る発売1周年インタビュー|ファミ通.com
とはいえ思いが強すぎて、いわゆる死にゲーっぽくしすぎた部分は反省しているみたいですけどね。
dlcが鬼難易度過ぎて本編が児戯にしか見えなくなる…
— 赤竹ただきち / Tadakichi Akatake (@MyutaUsagi) September 30, 2023
聞き取り会話ボイスが消えている(?)バグとか仲間たちの操作に癖がありすぎる以外はかなり満足度高い。
お布施としてsteam版と新規サントラも買うよ。#ソニックフロンティア #NintendoSwitch pic.twitter.com/PSN3i6dMjI
ただ内容としての満足度は高く、上手い人のプレイ動画を見て、コツさえつかめば自分のようにゲームをあまりしない人でもクリアできます。
ラスボス戦やエンディングは本当に感動するので、ぜひあきらめないでやってほしい。今回は難易度で結末変わらないし、変わるにしてもエンディング曲だけだよ。

教官王が鬼門で難しい

このDLCの一番の鬼門は教官王の存在で、巨神3体を400秒(リング)以内にすべて倒しきらないといけません。
ここで心が折れる人も多いかもしれませんが、攻略のコツさえわかれば進むことができますし、プライドが邪魔しないなら難易度エンジョイでパーフェクトパリィの猶予時間を増やしましょう。
教官王試練の攻略のキモ
巨神の基本攻撃はすべて以下に統一した感じですね。
CHECK!
攻撃 → ストンピング → 攻撃 → ストンピング を繰り返す。このコンボが、技発動の時間を最小限に留められる最善の動きです。
ほかにもやれることとしては、
- オートコンボはオフ(重要)
- パリィのチャンスをすべてこなす
- 大ダメージイベントをクリア
- 変身前の移動はノーダメージ厳守
ワイバーン戦でミサイルをパリィすれば大幅な時間短縮ですし、大ダメージイベントは制限時間にカウントされません。変身前の移動をノーダメージは言わずもがなですね。
ここを全部やれば、かなり攻略が楽になった。少しグダったけど20秒ほど余裕があったね。

DLCが難しすぎる理由


公式見解によると…
ここまで難しいのは、岸本プロデューサーのユーザーに応えたいという思いの強さだったり、「気づき」という要素を入れているからというのは、先に説明したとおりです。
本作自体が「ソニックファン以上にゲームファンに満足させる」に焦点を当てているそうで、さらにこのDLCは「フロンティアをライバルにした作品」というコンセプトだそうです。
岸本:当初は製品版を買っていただいた方への恩返しというか、感謝の気持ちを表すぐらいで考えていたんですが、気づいたら「今度のアプデは、製品版『ソニックフロンティア』をライバルに設定しよう」ということになりました。
――強力なライバル設定ですね。
岸本:そして、ソニックチームが1年弱『ソニックフロンティア』をアップデートしていったらここまですごいことになるんだよ、というところを見せようと。
世界累計350万本、国内は前作の3倍以上売れた。でも「もっと行ける」。『ソニックフロンティア』が開拓した新たな地平を振り返る発売1周年インタビュー|ファミ通.com
その思いの強さの結果がDLCの難しさかなと思いますね。
「DLCはがむしゃらに作ったので、確かに荒削りな部分はあると思います」と、岸本プロデューサーは語っているね。

世界累計350万本、国内は前作の3倍以上売れた。でも「もっと行ける」。『ソニックフロンティア』が開拓した新たな地平を振り返る発売1周年インタビュー|ファミ通.com
スーパーソニック2について

ここからはラスボス戦〜エンディングの話で、トレーラーでも公開されていた青眼のスーパーソニックは『スーパーソニック2』とよばれています。
それとビースト化されて腕が5本生えたあのスプリームは、『スプリーム・ジ・エンド』と個人的によんでいるよ。スタープラチナ・ザ・ワールドみたいな感じ。

もともとスーパーソニック2は雰囲気がドラゴンボールの超サイヤ人2のため、海外ファンがつけた名前……と思いきや、PC版の解析によると本当にその名前だったらしいんですね。
ファンが使っていた通称名がまさかの本当だったという一例です。
メタ的には、ゲームの構成ファイルで連番的な意味しかないのかもしれないけれど、劇中では名称が出ていないし、これ以上わかりやすい名前はないから『スーパーソニック2』で差し支えないかと。

これは劇中でもあったように、サイバー侵食という負の要素を古代人の技術と力を借りてプラスに変え、スーパーソニックの秘められた能力を覚醒させて強化するものです。
教官王いわく、これはソニックに無理やりチューニングしてパワーアップしたようなものなので、エネルギーの自制を崩してしまうと、能力が消えてしまう諸刃の剣です。
ソニック3&ナックルズに登場したハイパーソニックとは別系統の進化。ハイパーソニックは純粋なカオスエメラルド(スーパーエメラルド)の力、スーパーソニック2は外的要素を使って覚醒。

スーパーソニックサイバーについて

ジ・エンドを倒すときにスプリームの砲身に入るシーンはアニメ『ソニックX』2期のオマージュですね。アニメの逆輸入はこれで2度目です。
1度目はシャドウのリミッター設定。新ソニ(ソニック2006)で逆輸入されたよ。

その際に教官王の約束を破り、自制をやめてサイバーエネルギーをフル開放したスーパーソニックは『スーパーソニックサイバー』という名称です。
名称はスーパーソニック2と同じく、PC版の解析で判明したとのことです。

このスーパーソニックサイバーの目の形や牙が生えているその姿は、英国コミック版のスーパーソニック(フリートウェイ・スーパーソニック)を彷彿(ほうふつ)とさせます。
体色が一種類で輝いているのは、ソニックXのパイロット版で登場したナゾ・ザ・ヘッジホッグっぽさもどことなくありますね。

フリートウェイ・スーパーソニックやナゾ・ザ・ヘッジホッグを知っている人は相当なマニア。どちらもSonic.exeと並んで今でも根強い海外ファンが多いよ。

飯塚氏によるとナゾは敵ではなく、スーパーソニックの別形態案だったと明かしています。そう考えると、20年越しの実現かもしれませんね。

Super_Sonic_(Sonic_the_Comic)|Sonic News Network
Nazo the Hedgehog|Sonic News Network
総評:いい意味で無料でやることじゃない

ここまでのクオリティのDLCを無料のままというのは申し訳ないように感じたので、追加サントラを購入しましたし、Steam版もどこかのタイミングで買おうかなと思っています。
これでスイッチ版、PS4版、Steam版の3種が揃う感じになりますね。
ひとつの作品にここまでお金を使うのはそうそうない。

ちなみにジ・エンドが出現してスプリームとケーブルでつなぐシーンは、日本語版だと本編のジ・エンド戦の冒頭セリフと同じですが、英語版は新録されています。
「この容れもの(スプリーム)は我を封じ込めていた。しかし今、我を帰還させる依代(よりしろ)となった」
「万物を融解させ、秩序を正し、忘却の彼方(かなた)へと帰すのだ」
英語版ジ・エンドの出現シーン(意訳)
そして、スタッフロールの最後に出てくる英文を翻訳するとこんな感じです。
「応援してくれたすべてのプレイヤーにこのゲームを捧げます。遊んでくれてありがとう!」
『超・完全決戦』のスタッフロールより
これは今回のようなアナザーストーリー・操作キャラクターを追加したのは、想像以上の評判・評価をもらったから制作が決定したからだと、岸本プロデューサーは語っていますね。
たしかにここまで話題になるソニック作品はあまりない。

本DLCは本編がかすむレベルの難しさで、操作性の問題はあるものの、しっかりとレベル上げして、地道に理解とコツをつかみ、ヒントを見たら進めることができるレベルです。
自分自身の下手さを「ゲームの作りが悪い」とすり替える人がいるからね。それって逆ギレだし、本当にゲームの作りの問題か、自身の理解力の問題かを分別して考えるべきだと思うよ?

本編レビューでも書いたように、本作には改善や課題は多く見られたとはいえ、今回のDLCでそれ以上に今後の展開と可能性を期待させてくれた、満足度が高いものでした。
あと、ラスボスの倒しかたがわからない人は再開時の最終決戦前に、教官王から「指南を受ける」でヒントを聞くようにしましょう。
「ラスボスが不親切」と思う人は教官王のヒントを見ていないし、実は本編序盤に攻略のヒントがあるよ。ただ連想しにくいのは確かだしヒント解禁条件も厳しいので地道に頑張ろう。

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