R-15
レビュー, 版権絵

サウスパーク,シェフ,SouthPark,ワンドロ,CHEF
サウスパーク,シェフ,SouthPark,ワンドロ,CHEF

ワンドロシェフ絵。なお今回の配信にシェフ登場回は一切ありません(後述)。

まさか日本で再び上陸するとは思いもよらなかったですが、2019年10月15日より、Netflixでサウスパークが配信開始されました。



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『サウスパーク』をそこそこ簡単に説明

サウスパークはトレイ・パーカー氏、マット・ストーン氏が手掛ける切り絵風アニメです。パイロット版を経て1997年から放映され、放映当初は本当に切り絵を動かしたストップモーションアニメでしたが、今では3Dソフト描写によるデジタル作画に移行しています。2000年前後には映画化され、ゲーム版は現在でも新作が出ていますね。

初期シーズンでは時事ネタに軽く触れながら物語が進行する単発・数話完結が多く、最近(16シーズン以降)は時事ネタを主軸にし、登場人物にそれぞれの役割を担わせる連続話パターンが多くなりました。

最近のシーズンほど、アメリカを中心とした時事問題をマイナーネタ・メジャーネタまでを知っていないと楽しめないものが多いです。

『サウスパーク』はR-15指定アニメ(チビッコは観ちゃダメ!)

サウスパークを語る上で特筆すべきが、「見た目は可愛いのに、強烈な社会風刺や下ネタ・性描写・グロ表現・差別・ブラックジョーク満載のR-15指定アニメ」であるということ。

人はよく殺されるし人体の肉片・内臓は飛び散り(登場人物の一部は死体損壊や人肉食までやった)、実在著名人をけなしたり殺害するのは当たり前で、宗教や神などのタブーにも平然と触れるので、過去には作者たちへの訴訟や殺害予告も来るほど。現在でも視聴不可エピソードがあり、最近は中国から発禁扱いされました(過去にはロシアでも発禁処置をされました)。

(作者たちが親日家なのもあって)日本もネタにされているので、その過激ぶりの一端を上げるならば、

  • ポケモンがパロディの『チンポコモン』のグッズ・アニメで子供を洗脳して米国を大和魂で征服しようとする(黒幕の一端に天皇陛下)
  • 当時首相だった鳩山由紀夫氏が中指をつきたてる映像を流す(後に安倍首相もサウスパークに登場)
  • 日本のボーイズラブ(BL)二次創作をネタにする
  • 「素晴らしいチンチンもの」や「メカ・バーブラ・ストライサンド(メカゴジラのパロディ)の歌」といった日本語(トレイ氏が熱唱)の歌
  • 「ブダーイ!」 → ゼロ戦に乗りながら漁船にカミカゼ特攻
  • アメリカのアニメで広島・長崎原爆による当時の悲惨な被災状況を茶化さずに真面目解説(しかし過去には「オッペンハイマーばりの原爆落としを教えてやる」という発言も……)
  • 「日本人は中国南京で大虐殺したアル!」「日本の自殺率すごく高ーい!」

これでも日本は優遇されているほうで描写もマシな部類です。

かなり人を選ぶアニメであり、劇中のカニエ・ウェスト(ゲイフィッシュ)氏のように、ネタ・フィクションに対して本気で受け取ったり怒ってしまう人は視聴に不向きでしょう。

かつての『サウスパーク』日本語吹き替え版

かつて日本でも吹き替え版が上陸していて、

  • 有名な声優陣やLiLiCoさん、田口トモロヲ氏などによる「WOWOW版」(第1シーズン〜第7シーズン)
  • 第8シーズンのみの「FOX版」(なおグロ描写はカット・黒塗りにされた)
  • 映画の日本語版がまさかのお笑い芸人による「関西弁・名古屋弁版」

があります。LiLiCoカートマンがあまりにもハマり役だったため、日本で吹き替えといえばWOWOW版を指す場合が多く、FOX版や方言版はかなり賛否が分かれるものとなっています。後述のように、字幕はWOWOW版が準拠になっていますからね。

しかし上述のように過激な内容を多く含むので、これらの日本語吹き替えは単発限りか放送を打ち切られ、WOWOW版もチンポコモンの話などは放送拒否されています。シーズンを重ねるにつれ描写が過激になりましたから、日本地上波やケーブルテレビでの吹き替え放映は絶望的です。

Netflix配信版と新日本語吹き替え

その中だからこそ、今回サウスパークが日本に再上陸したのは驚きでした。

しかしながら、Netflix配信版は15シーズンから21シーズン(2019年10月現在)までとなり、日本語吹き替え版はなくすべて字幕です。つまり記事冒頭で描いたシェフは現状出ていないことに……(シェフの最期の出演は第10シーズンのため)




追記)日本語吹き替え版も配信され、当初は19シーズンの吹き替えが未収録でしたが、2020年の半ばあたりから無事配信されています。

日本語版のキャストはWOWOW版とFOX版でまた異なった配役ですが、WOWOW版と原語版を混ぜた感じで、カイルやテレンス&フィリップといった一部例外を除けば、WOWOW版に慣れ親しんでいた自分も入り込みやすかったです。

一部サイトで「従来の吹き替えとかけ離れているのでファンは困惑した」という記載がありましたが、正直誇張表現です。極力WOWOW版に近づけ、FOX版と比べても全然良くなっています。ほとんどのファンもそう思っているという、論拠もなければ主観かつ断定的な書き方は迷惑なのでやめてほしいし、声で騒いでるのは声優オタクだと思う。

日本語配信でも驚きなのに、カートマンの声はWOWOW版と同じLiLiCoさんで、LiLiCoさんもカートマンを再び演じるとは思ってもみなかったでしょう。正直言うと主人公組はWOWOWと同じキャストで続投してほしかったですが、吹き替え配信自体がスゴいことなので贅沢は言いません。


なお過去シーズンの扱いは不明ですが、15シーズンは2020年1月以降に配信終了にされていて、古いシーズンは削除していく方針なのかもしれません。しかしBD・DVD化の話もないので、日本ユーザーが損する形になりますね。そのあたりの対応も気になるところです。




とはいえ、中途半端ながらも8シーズン以降は有志字幕によるアップロード動画、作者ダイジェストDVD収録による一部の話でしか日本語字幕つきで観ることのできなかった本作に、公式字幕配信は喜ばしいこと。訳はWOWOW版準拠で、カートマンの一人称が「オイラ」、CityFokが『金鳳軒(チンポー軒)』になっているのは、ファンとしては嬉しいところではないでしょうか?

ただ完全・忠実再現というわけではなく、

  • オープニング歌詞がWOWOW版とは異なった内容(原語版に近い?)
  • 「プロフェッサーカオス」→「カオス教授」
  • 「なんてこった! ケニーが殺されちゃった!」→「ケニーが死んじゃった!」
  • 「この人でなし!」→「あいつら!(人殺し!)」

公式字幕は嬉しいけど、特に「この人でなし!」はFateのランサーネタでもパロディとして使われるほど有名なフレーズだから、改変して欲しくなかった……なお日本語版はOP歌詞がWOWOW版と同じなど、さらに忠実になり、「この人でなし!」も健在で良かった。

でも「外出禁止」を「自宅謹慎(きんしん)」にしたのは解せないし、少し関係ないけど「この人でなし!」をFateネタだと思っている勘違いさん多すぎる。元ネタはサウスパークなんですが……と言いたくなるぐらい複雑。

また第15シーズン6話『City Sushi(金峰寿司開店)』に登場する日本人は「ジュンイチ・タキヤマ 」が「ジュンイチ・タ“カ”ヤマ」と、少々気になる箇所があり、贅沢を言いませんけれど、サブタイトルはWOWOW版のようにセンスある邦題が欲しかったところ(「Osama bin Laden Has Farty Pants」→「爆笑短小ビンビンラディン」といったように)。

Junichi Takiyama

— South Park Archives —


今回はネット配信なので放送禁止用語のピー音が存在せず、これは笑いにも繋がっていたので、人によっては物足りなさを感じるでしょう。さすがに「ま○こ」は「まんちょ」になっていましたけどね。

最後に:日本再上陸に祝福と感謝を

現状全シーズン配信ではない、訳に不満は色々あったとしても、日本再上陸をしていただけたことには感謝しかありません。

以前リアルタイムにシーズンを追いかけ、アニメ感想を書いていた時期がありましたが(当ブログのタグ検索からでも容易に見つけることが可能です)、あまりにもマイナーな時事ネタが多すぎて下調べが大変で、後任で有志字幕してた方の訳が適当すぎたりと、色々な要素が重なり離れていました。

今回、Netflixで観られるようになり、特に吹き替え版は元ネタを知らなくてもある程度は楽しめる翻訳になっていますから、再び観直そうかと思いますね。各話レビューはしんどいのでもう書きませんが。

座間殺害事件の犯人を擁護するつもりはないと前置きした上で、「被害者の両親は犯人に責任転嫁していないか」って、ニュースを見てそう思ったね。

SNSというオープンな場所で、自殺願望や生の気力がない書き込みをするって異常な状態。そんな人の家庭が健全に機能しているとは思えない。結果論だけど、家庭環境がしっかりしていれば、SNSにそんな書き込みすらしなかったはず。

自殺原因をしっかりと向き合わず、「自死」表記にこだわる遺族の問題と似通っているんだよね。犯人の行動は許されないし推測でしかないけど、両親の完全被害者みたいな態度は違和感がある。

絵描き・物書き・デザイナー・HTML/CSSコーダーの京都生まれなウサギ好き。「ネチケット(ネットマナー)やネット・情報リテラシーの扱い」「批判と批難(非難)の混同・誤用」には少々シビアで、性別問わず好きなタイプは「反省と改善の努力を惜しまない人」。長文や理論を分析し、簡潔に分かりやすくまとめるのが得意なため、リアル・ネットを問わず、各所からご好評をいただいております。