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悪質クレーマーや詐欺、あおり運転、生徒・教師同士のいじめ、有名人の問題発言、腐敗した組織の不祥事と、モラルを疑う行為やハラスメントが次々と明らかになる昨今。皆さんはどのようにお考えですか?

おそらく大多数の人が、

  • 「許せない」
  • 「親の顔が見たい」
  • 「罪の重さを自覚しろ」
  • 「被害者が可愛そうだ」

と、思うでしょう。これは自分もそうですし、人としてあるべき善い感情です。

しかしながらネット・SNSを中心に、そこからエスカレートして彼らの実名などといった個人情報を、我先にと捜索(そうさく)・特定して晒(さら)したり、誹謗(ひぼう)中傷や人格攻撃で叩き、炎上させようとする制裁行為があります。

いわゆる『ネット私刑(特定晒し・ネットリンチ・謝らせて死なせたい病などとも)』と呼ばれる行動で、少し古いデータですが、日本人の6割は私刑行為に理解を示し、必要と感じたり、賛成だと考えているそうです。 


また最近では、少しニュース関連を検索しても、

  • 〇〇事件の犯人は誰?
  • 〇〇殺人の容疑者を特定! 本名、経歴は?
  • 〇〇容疑者の素性がヤバイ!
  • 〇〇の問題行動や炎上まとめ

と、このような行為を肯定するような見出しのブログ(トレンドブログ・まとめコピペブログ)も珍しくなくなりました。しかし、ネット私刑(私刑行為)というのは、本質としても法律的にも大変問題が多い行動なのをご存知でしたか?

一体ネット私刑という行為は何が問題なのか、今一度再考するきっかけになれば幸いです。

正確な情報を求めています

もし内容にミスや誤記があればご報告ください。


法的観点からの私刑行為

まず結論から申し上げると、私刑行為自体が違憲(いけん)行為とされます。

【日本国憲法第三十一条】何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。(原文ママ)

電子政府の総合窓口 イーガブ


そう、ネット私刑は「法に反する問題行為」であり、必要・賛成という人は「犯罪行為に対し、制裁の名目で法を犯してもいい」と、おかしなことを言っている形になります。個人なら『侮辱罪』や『威力業務妨害罪』『名誉毀損(きそん)罪』などが適用されることもある、立派な犯罪です。

「報道・マスコミなどのメディアが、国民の知る権利を阻害しているから」という反論もありますが、「知ること」と「制裁・叩き行為」は別問題。

中国の愛国無罪(暴力行為でも愛国心の行動なら無罪)ではないのだから、情報を知る自体はよくても、そこから個人情報などを公開して当事者の行動制限や罪を裁くためには、法的なプロセスを経なければなりません。知る権利を盾にし、それをすれば法治国家ではなくなってしまうし、許されるのはフィクションの世界だけです。

ほかにも、よく私刑行為を正当化する人たちは、

  • 「みせしめや犯罪抑止力として制裁は必要」
  • 「報道メディア・週刊誌だって同じことをしている」

このような主張する場合が本当に多く、結局は私刑を正当化する大義名分に過ぎず、開き直りでしかありません。その主張を見ても、ちゃんとしたロジック(論理)もエビデンス(論拠)もなく、感情論的なものばかりなんですよね。

前者の場合、無関係の冤罪(えんざい)だったらどうするのか、犯人だとしても「これだけの社会的制裁を(ネット・SNSから)受けた」と罪が軽くなるといった、判決に影響が出る可能性も一部で指摘されています。そもそも晒すことで犯罪抑止力になっている統計データを見たことがありません。

後者だと、報道メディア・週刊誌は噂話でもしっかりと裏取り調査と証拠集めを長期間行い、仮に誤報を発信した場合は第三者によって調査が行われ、最悪謝罪会見や訴訟沙汰へと発展し、責任をとらされます。加熱報道なども問題があれば、上司や委員会などを通じて、訓告や処罰をされるものです。

しかしネット・SNSの場合は、「なんか似ているから」「それっぽいから」という理由で情報の精査・調査も行わず、早いもの勝ちレースのように競っては一方的に決めつけ、誤報には発信者も拡散者も責任をとらず謝罪もせず、なすりつけ合いや削除する逃亡行為がまかり通っていますよね?

仮に報道メディア・週刊誌に問題があったとしても、だから同じようにやってもいいは子供の発想であり、法よりも処罰感情を優先してもいいとは、ちゃんとモラル・リテラシー教育を受けたのかと。みせしめや抑止力と称して、相手に疑惑や非があればバッシング・暴言OKで、間違っていたら無視や責任転嫁(か)って、悪質クレーマーの思考そのもの。

理論武装しようが大義名分を掲げようが、

  • 「クズクレーマーは死ね!」
  • 「こういう犯罪者のクズどもはとっとと死刑にしろ!」
  • 「人に迷惑かけるやつは○せ!」
  • 「特定して追い詰めろ!」

向ける対象が違うだけで、やっていることの本質は誹謗中傷で負の連鎖にしかなっていません。むしろこちらは「悪い奴を叩いて何が悪い」「犯罪者だから当然」と主張するぶん、厄介なんですよね。

誹謗中傷やデマの風評被害が一向になくならないのは、このような感情的で思慮が浅く、言葉の暴力行為を免罪(めんざい)符・正当化させる理由を探す人が一定数いるからとも言えます。言葉を選び建設的批評をする『批判』と、感情的な悪口や文句、誹謗中傷の『批難』は全く異なり、批判・批難を混同するケースが本当に多い。

合法だったら正義とは主張しませんが、かといってそのような行為は慎(つつし)まなければなりません。警察も法的処置や被害届が提出・受理されない限り動かないだけで、何も言われないから、相手にやましい点があれば叩いても問題ないと考えるのは大間違いです。

ネット私刑をする心理は本当に正義感?

そしてネット私刑は主に、事件・事故・不祥事の当事者を許さないと思う、正義感からの行動と言われます。しかし問題行為なのをひとまず置いておき、本当に正義感から行っているのでしょうか?

『スマイリーキクチ中傷被害事件』から考えてみましょう。20世紀末から21世紀初頭にかけ、ネットや暴露本などを通じて「ある凶悪事件の犯人」だという濡れ衣を着せられ、10年近くも心ない誹謗中傷に晒され続けた事件です。


何人かが警察に検挙され、彼らの動機を見てみると、

  • 「ネット・暴露本にだまされた」
  • 「最初にデマを書いた奴が悪い」
  • 「みんなやってるだろ」
  • 「人間関係など私生活で辛いことがありムシャクシャしていた」
  • 「離婚して辛かった。キクチはただ中傷されただけで、自分のほうが辛い」
  • 「他の人は何度もやっているのに、なぜ一度しかやっていない自分が捕まるのか」
  • 「キクチは芸能人だから書かれてもよいが、自分は一般人で将来もあるから嫌だ」

彼らの意見を見て、正義による制裁や被害者を考えていると思いますか?

むしろ「なんて自己中心的な!」「自分ばっかで、被害者のことなんて本当はどうでもいいんだね」と感じる人が多いのではないでしょうか。しかもこの加害者たちは、キクチ氏に対し最後まで謝罪をしなかったそうです。

キクチ氏自身も、「彼らには情報の精査・自分で考える・情報を疑う能力が欠けている(=リテラシーが低い)」と、刑事の方の話から自著にそう記し、ほとんどは日常や社会などの不満などを身勝手な正義感に変換して、行為を働いていたのがわかりますね。

彼らにとって正義感とは二次感情に過ぎず、

日常や社会に不満 → このイライラのはけ口が欲しい → 事件が起こる → 許せないと感じる感情 + 発散したい思い → ネット私刑行為 → 快感(発散) → 以降も繰り返す(誹謗中傷中毒)

少なくとも、この事件における行動原理はこのように表せます。さらに言えば、この正義感は「一般社会的なもの」ではなく、「個人の中に定義した主観的なもの」であることも留意しなければなりません。

実際、検挙されなかった加害者の中には、その事件の被害者をも侮辱(ぶじょく)し、茶化す書き込みもあったそうで 、正義どころか犯罪者と同レベルの所業です。


情報を精査せず極端な論調に呑まれて集団過激化するのを、専門用語で『サイバーカスケード』と呼び、「自分で考えた意見」を持たない場合も少なくありません。誰かの意見を受け売りで振る舞うだけなので、「コピペしただけ」「沢山いるからばれない」になり、すぐ手のひらを返すんですよね。

様々な行動原理・心理説

ほかに考えられる行動原理・心理説としては、以下のケースが挙げられます。

  • 脳の疾患・性質・ホルモンバランス説】脳腫瘍(しゅよう)、生まれ持った脳の反応、PMSなど。
  • メタ認知・自己肯定感のバランスが悪い説】自分を客観的に見られず、満たされていない人。
  • 発達・精神障害説】アスペルガー症候群、統合失調症、パーソナリティ障害など。

なおこれはあくまでも、医学観点・経験上からの「考えられる要因」「傾向」による仮説であり、決めつけやレッテル貼り、ヘイトの目的で書いているわけでないのはご容赦願います。

脳の疾患・性質・ホルモンバランス説
たとえば、認知症や脳に腫瘍ができてしまうと、性格がまるっきり変わってしまい、元々おとなしかった人が攻撃的になったり、口が悪い人になってしまう事例は、経験がある人ならわかると思います(脳の腫瘍は映画『グリーン・マイル』でもありますよね)。

そのため、結果として問題だったとしても、本人の真意ではなく「つい」行ってしまった……という可能性もあるでしょう。

認知症に及ぶほどの高齢者のネット・SNSユーザーは、他世代と比較すると少ないので微妙なところですが、脳の腫瘍については中高年世代でも若い世代でも陥る可能性があり、適切な治療やネット・SNSのつき合いかたを考えなければなりません。

また、感情を司る脳の扁桃(へんとう)体が大きく、論理で考える前頭葉が(相対的に)小さい人は、論理よりも感情が先行したり、ストレス耐性が低い人、慢性的ストレスで限界の人、うつ状態の人は扁桃体が肥大化しやすく、(自制心や解消する方法を学ばない限り)直情的・感情的・攻撃的になりやすいそうです。

女性の場合なら、ホルモンバランスなどの影響で、意図せず攻撃的になってしまったりする『PMS(月経前症候群)』や『更年期障害』のケースもあり得ます。

女性ホルモンとPMS(月経前症候群)

— DRAGユタカ —

更年期障害

— 公益社団法人 日本産科婦人科学会 —


メタ認知・自己肯定感のバランスが悪い説
  • メタ認知】自分を客観的視点で見る能力。メタ認知が低いと、歪んだ認知や聞く耳を持たない独善的行為など、自分を正当化し、感情的・衝動的な主観行動が出やすくなる。
  • 自己肯定感】自分の心と向き合い、背伸びしない本当の姿を認める意識のこと。自己肯定感のバランスが悪いと、ごう慢・誇張・嫉妬・劣等感など、相手を高圧的に見下したり攻撃的になる。

自身を客観的に見られなかったり、自信がないコンプレックス持ち(もしくは自意識過剰〈かじょう〉)な人であればあるほど、処罰感情・不寛容といった感情的・衝動的行為を働く可能性が高くなるということです。

2020年の新型コロナウイルスによって発生した『自粛警察(自粛強要や中傷ビラで悪質な嫌がらせ)』や『コロナバッシング(感染者叩き)』も、これらは正義ではなく、感情コントロールができない人の身勝手な自己満足になっています(重ねるように、その加害者を誹謗中傷する人も同類です)。

「なぜ日本人のレビュー(コメント)はひどいのか」の記事 でも述べたものと同様に、専門家の要約した見解も載せておきますが、引用したお二方は「歪んだ正義感が原因である(正義中毒)」と定義し、行為に参加する6〜7割の動機は「許せない・失望からやった」と、山口氏が自著で調査を発表しています。

「人は誰しも、主観的な正義感で他者に制裁を与えるとドーパミンにより快楽状態となる。深刻化すると誹謗中傷に依存して『正義中毒』に陥り、ささいなことでも許さなくなる不寛容な人物になる(要約)」

— 中野信子氏(脳科学者) —

「強い言葉を使う極端な人は、心が満たされていない。これは年齢・年収関係なく、悪質クレーマーにも共通する特徴。他者の攻撃で心を満たそうとし、何かしらの使命感に駆られている場合も多い(要約)」

— 山口真一氏(統計学者) —




単純に考えればわかる話で、そもそも自分を認め、心が満たされる充実した人生を送る人は、赤の他人に制裁を与えようだとか、攻撃的になったりはしないものですからね。

自身の容姿や経歴、過去などのコンプレックスを受け入れず割り切れないから、他人の話であるにも関わらず過剰に反応し、心が満たされていないから、匿名空間を悪用して他者に喧嘩腰な態度をとってしまう。これは上述したキクチ氏を誹謗中傷した加害者の行動からもわかります。

一昔前は「ろくな職にもつかず才能もなく、匿名空間でストレス発散している、暇人の社会不適合者」と言われることも多かったですが、今では「私刑などの誹謗中傷をする人は、定職に就き見た目は普通の人が多く、むしろ高年収・高学歴も少なくない」と、キクチ氏や山口氏は自著に述べています。

これが深刻化すると『誹謗中傷中毒』と呼ばれる薬物依存症に似た状態になり、罪悪感を感じなくなり善意の呼びかけにも応じなくなります。更生にはその人の生活改善のみならず、カウンセリングや病院での認知改善や精神医療も視野に入れないといけません。

発達・精神障害説
書き込みに直接影響が出やすい発達・精神障害は、


これらが挙げられますが、医学的見地から言われている傾向として、

  1. 極論でしか見られない】正義・悪、正しい・間違い、称賛・叩きといった、0か100の極端思考でしか物事を見られず、感情コントロールもできない。『1ビット思考』とも。
  2. 自分が絶対に正しい】「私は正しい・あなたは間違ってる」の認識が強く、主張が一方的で意見に聞く耳を持たない頑固者。『自分は正しい症候群』とも。
  3. 無自覚なダブルスタンダード】実際はその加害者と同じことをしている自覚がない。もしくは自分だけは許されると都合よく思っている。同族嫌悪。
  4. 被害者意識が強い】独善的解釈や自己投影などで被害妄想が強くなる。ひどい場合は対象や事案にずっと恨みを抱き、粘着・ストーカー行為まで行う。
  5. 一部の情報だけで断定】『結論バイアス』と呼ばれる症状。少しのマイナス意見で全否定したり、耳障りのいい情報しか集めずに決めつけるのも同様。
  6. 拡大解釈をする】「だろう」「傾向がある」といったぼかし・不確定表現を、「決まっている」「全員」と断定的な単語・意味にすり替える。
  7. 言葉選びが下手】思ったことをそのまま出し、本人は無自覚でも客観的に見て攻撃的、誹謗中傷的な内容になる。感情的な物言いも多い。
  8. 反省・謝罪・改善しない】非に謝罪をしないか、謝罪した風を装う。反省の意義と意味がわかっていないので、再び同じ失態を繰り返す。
  9. 知識が偏(かたよ)る】特定の事象・情報には興味を示し徹底的に追求するが、必ずしも客観的見地を持っているとは限らず、独善的・偏った知識になる。
  10. 空気・文脈が読めない】行間や文脈が読めず額面どおりに受けとり、過剰反応や見当違いな持論展開、支離滅裂でトンチンカンな意味不明コメントを出す。

こちらはある意味「純粋な気持ちからの正義感」と言えるかもしれませんが、仮に病気・障害起因だったとしても、本心ではないにしても、そのつもりは全くなかったとしても、直情的・独善的な考えでやった行為が容認されることは決してなく、免罪符にはなりません。

「こういう症状・障害・病気だから」で努力できない言い訳にするのは論外で、それは同じ悩みや生きづらさを持ちながらも頑張る人たちにまで、信頼性や心証が悪くなるだけです。「彼らの中には天才肌、社会で活躍する人や偉人もいる」は確かに事実ですが、それはそれ、これはこれ。


……重ねるとおり、これらは「考察による可能性・仮説」です。「知識」の話や見解であって、特に医者じゃないのに傾向だけで相手を病気や障害と決めつけるのは、ネット私刑と同じく許される行為ではなく、該当者全員が行為に賛同しているわけでは決してありません。



なお別の考察や体験談については、上記の記事などにありますので、ご興味があればご覧ください。

ネット私刑のビジネス・娯楽化

そして、この私刑感情を利用してアクセス稼ぎによる広告(アフィリエイト)収入を得ているのが、上述した犯人特定・経歴・顔画像などを掲載する、時事・事件系といったトレンドブログ・まとめコピペブログ(キュレーションサイト)の記事です。

彼らも「ビジネス」として加担していますが、2019年の高速道路あおり運転にて、拡散された同乗女性(ガラケー女)が全く無関係な女性だと判明すると、謝罪も訂正もせず消した運営者が多く見られました。 


彼らは世論の処罰感情や正義、被害者の救済は考えてはおらず、一番に情報を載せたい自己本位な競争心・我欲と、目先のアクセス目当て=広告収入が目的だった証左であり、大変責任感に欠け、モラルが問われる行動です。魚拓やキャッシュでバレるのにね。

物書きの観点から見ても質が低く、文末も「いかがでしたか」「調べてみましたがわかりませんでした」などで締める素人作業。悪質だと様々なサイトから無断転載し、SEO(検索最適化)を悪用した粗悪記事の量産を行って検索順位を上げ、大量の広告で利益に結びつける業者もあるそうです。

書けるライターやプロの人は、高いリテラシー能力で情報リサーチし、「調べに来ている → 最後まで知りたい」を熟知しています。ゆえにこのような引用ばかりで中身がスカスカな記事を手がけたり、執筆放棄な行動はしません。

所詮は素人の「ネットで稼ぐ」だから、委託でも良心も正義もない。お金稼ぎ自体は悪いことではないものの、相手を不当に傷つけて利益を得ようとする「拝金主義に毒された卑(いや)しい人間の愚行」は、社会通念的に問題でしょう。

もし収入目的でなければ、自らの独善的正義を主張して承認欲求・自己顕示欲を満たす、いわゆる『正義マン』『正義中毒』と呼ばれる人で、前述したような誹謗中傷中毒に陥っている可能性が高いです。しかし、そういった内容でアクセス数が伸びるのは、その情報を求める層が一定数いるからでもあります(需要がなければそのような記事は書かない)。

そして、そういった記事をツイッターをはじめとしたSNSなどで軽率に拡散する人も一定数いますから、デマなら簡単に消すことはできないし、罪を償った元犯罪者であっても、社会復帰・更生の妨げになってしまいます。

「自業自得」「疑われるのが悪い」と言っておきながら、「正義なんてどうでもよく、私刑行為で自己利益を得られれば誰でもいいと考える連中の金稼ぎ」に利用され、『ネット死刑』の名目で無自覚に誹謗中傷して踊らされている様は、本当にリテラシーが低いと言わざるを得ません。

特にデマに関しては深刻な状態で、泣き寝入りを強いられるケースも多々あります。ネット私刑を必要・賛成と考えるならば、こういった冤罪被害に対し、

  • 「真犯人特定への仕方のない犠牲」
  • 「冤罪は運が悪かった」
  • 「間違ってたら謝らずに消せばいいや」

このような無責任がまかり通っている状態はどう説明するのでしょうか?

先の冤罪女性の件はツイッターやフェイスブックなどでデマ拡散した人たちが検挙を恐れ、証拠隠滅目的で削除していましたからね。さらに「発信者が一番の悪」と、責任のなすりつけ合いまで横行し、これで「正義感・許せない心から、断罪・制裁するために私刑は必要だ」だと説得力がありません。


次に同年に起きた神戸の教師いじめだと、加害者教師の謝罪文を赤ペン先生のように添削 したり、動画を生配信して学校を突撃 したり……


「いじめ教師(組織)を許さない」ではなく、「いじめ教師(組織)のいじめに面白がっている」状態へと変わっています。いじめ(パワハラ)を許すなと言いつつ、その加害者を匿名空間でいじめる矛盾行動(ダブルスタンダード)は問題でしょう。

繰り返すように、「相手に非や叩ける要素がひとつでもあれば、正義の制裁やネット・SNSコンテンツの娯楽と称して誹謗中傷をしてもいい」と思い込むネット・SNSの風潮のほうが、よっぽど闇を感じて恐ろしく感じます。実態は加害者・当事者と同じ行為であり、同族嫌悪だって気づかないものなのか……

数百年前の人類と変わっていない?

そもそも私刑という行為は昔からあり、いわゆる『村八分(村内でのいじめ)』『魔女狩り』などが該当します。「疑わしきは罰せよ」「みせしめ」として側面が強かった悪しき風習ですが、文明もモラルも発達した21世紀では、これらがネット私刑として形を変えたとも言えます。

さらに歴史をさかのぼれば、古代ローマ時代のコロッセオは「罪人や剣士に殺し合いをさせて、自分たち(観客)は安全圏から面白がっている」ものでした。そしてこの「安全圏から、誰かを煽(あお)ったり対象が攻撃される様を娯楽にしている」という意味では、本質は同じものでしょう。

つまり必要・容認するとは、これらの行いを楽しんでいた当時の人類と精神構造が同じといえるかもしれません。それとも、人間はそういう下賤(せん)な行為を昔から繰り返してきた、攻撃的で野蛮でゲスなのが本質の生き物だと開き直るのでしょうか?

最後に:ネット私刑って本当に必要?

冒頭のとおり、事件・不祥事・ハラスメントに対して「許せない」「被害者が可愛そう」と思う自体は人として正しい反応です。しかしながら昨今見かけるネット私刑の数々は、

  • リテラシーが低い】私刑は法にもモラルにも反する行為で、個人でも場合によっては犯罪になるという認知が低く、法よりも処罰感情ばかりを優先している。
  • 正義感は二次感情】正義感を盾にするが、根底には日常・社会・自身への不満やそれを発散したい感情が強い可能性が高い。自己肯定感やメタ認知能力に問題があったり、病気や発達・精神障害などが起因の場合も。
  • 誹謗中傷中毒】晒し・叩きをすることが発散・快楽行為になっている。これが依存・常習化すると誹謗中傷中毒者になり、「自分のやったことは正しいこと」と本気で思い込み、行動が極端で聞く耳を持たないことも多い。
  • ビジネス・娯楽化】トレンドブログ・まとめコピペブログやSNSを中心に、ネット私刑そのものがビジネス・娯楽と化している。やっていることは村八分や魔女狩りと変わらない。
  • 自己保身】デマや誤報の拡散行為・誹謗中傷に対し、風評被害・冤罪被害の当事者へ謝罪する人がほとんどおらず、「報道メディアや週刊誌だって同じことをしている」「最初に拡散した奴が悪い」と、論点のすり替えや自己保身、証拠隠滅を図る。

と、様々な問題を抱え、加害者たちと同様にモラルが問われるもの。過去にも「匿名だしばれない」と思って逮捕・検挙された人は数多いです(動機も大体、「自分が正義」と勘違いしていたり、リテラシーが低く社会や生活に不満を持つ自己中心的な人が多い)。

重ねますが、ネット私刑は憲法第31条に反し、個人でも犯罪として適用されることもあります。相手に非があったり犯罪者だとしても、知る権利・私刑の制裁・犯罪抑止・国民の断罪が必要の主張はただの大義名分。その実態はリテラシーに乏しく、歪んだ正義感や感情を自制できない人が行う誹謗中傷の正当化です。

怒りの感情を抱く自体はわかりますが、そこから逸脱して感情優先で法を破ってもいい理屈にはなりませんし、いかなる相手でも、やっていることは人間性やモラルが問われるのを考えるべきでしょう。正しい批判は生産的ですが、悪質な批難(誹謗中傷)は無益で害しか生みません。

別記事:アンチネット私刑問題と誹謗中傷はなくならない問題

ネット私刑をする人を特定し、その相手を名指しで糾弾(きゅうだん)や晒すという『アンチネット私刑』とも言うべき人と少々関わったことがあり、言うなれば「ネット私刑をネット私刑する」状態で、本質はただの誹謗中傷です。

当人は「私は発達障害です」とおおっぴらにしていただけに、先述した起因説そのままの相手で、発達障害を都合よく免罪符に利用し、それに悪びれないどころか開き直っている悪例です。もちろん誰だったのかは伏せていますが、その人に関しての出来事を詳しく触れています。



また記事でも軽く触れましたが、誹謗中傷はなぜなくならないのかの詳細な分析・根本的原因をまとめました。双方の問題を深く理解するためにも、参考のひとつにしていただければ幸いです。

サイトのリニューアルコーディング作業を優先しているため、絵描きはペースダウン中。それにいまは本業のWEBデザイン・フロントエンド作業が繁忙期を迎えているのもあるし、しんどいけど充実した日々を送れているね。

とはいえ、入社数ヶ月でWEBデザインディレクターみたいな立場になっているのが悩みかなぁ。充実しているのは嫌いじゃないけど、植物の心のように生きるのがモットーなんで。

イラストレーター・ライター・フロントエンドエンジニア・WEBデザイナーの京都生まれなウサギ好き。性別問わず好きなタイプは「失敗・反省から学ぶ人」。様々な視点で物事を定義・長文や理論を分析し、簡潔に分かりやすくまとめるのが得意。

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