2021.12.05 2022.10.24

【WEB1.0】「ネットは2000年代までがよかった」は本当か?【実体験】

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インターネットは2000年から利用していまして、最初のころはダイヤルアップ接続でつなぎ、掲示板(2chではなくゲーム関係掲示板)に書き込むようになったころにはADSLを使っていましたね。

この1990年代から2000年代半ばのインターネット期を、『WEB1.0』時代と呼ぶそうです。

そのころを知っている人たちは、

  • 「2000年代のネットはよかった」
  • 「あのころのネットは秩序があった」
  • 「昔のネットは楽しかった」

このように言われることが少なくなく、これは本当なのか、ただの懐古的発言なのかを、実体験と考察を交えながら述べていきます。

Web 1.0 IT用語辞典バイナリ

  • 個人の見解です

    ほかの方の意見もご参照ください

2000年代のネットはよかったのか?

背景

よかった=平和
ではない

この「よかった」って、かなり語弊のある表現だと思うんですね。

この言葉だけを見てしまうと、

  • 「昔のネット(2ch)も殺伐としてた」
  • 「頭のおかしい奴は黎明(れいめい)期からいたぞ」

と、「昔のネットは優しい人が多くて礼儀正しかった」という解釈をされてしまいます。

2000年代のネットは優しい人、礼儀正しい人が多かったかと言えば、自分はそうは思いません。

昔にも荒らしや住所・実名晒(さら)し、報復行為はあったし、『スマイリーキクチ中傷事件』のように陰湿な誹謗(ひぼう)中傷はありましたからね。

隔離という概念があった

とはいえ、昔は今と比較して「隔離」ができていて、そのような書き込みをする場所は文字どおりの「アンダーグラウンド」でした。

今はまとめサイトやSNSによって拡散されがちなのに対し、2000年代は健全なネット空間と、陰湿なネット空間が明確に分断されていたように思います(あくまで、当時見ていた限りの話です)。

陰湿な空間にいた人は、自身もそれを自覚している人も多かったもので、「だから、この雰囲気とノリは外に持ち出さないようにする」という意識があった時代です。

常識に欠き、安易に拡散する人なんて少数派の中の少数派だけでしたし、「嫌だったら見ない」を貫いていれば、精神衛生上よろしくない書き込みや炎上案件はほとんど見かけないものでしたね。

CHECK!

2000年代はちゃんと各人が住み分けし、分別を行う意識があった。

そういった意味では平和でよかったと、個人的にそう思います。

昔のネットは秩序があったか?

背景

いろいろ暗黙のルールが
あったよね

次の「秩序があったか」は、あったとは言い切れないものの一定のルールは存在したんですよね。

よく言われていたのは、

  • 半年ROMれ】人によってさまざまな細かい定義があるものの、半年ぐらいは掲示板の雰囲気や暗黙の了解を閲覧で理解し、理解した上で書き込めという意。
  • ネチケット】「誹謗中傷はしない」「荒らしは無視」といった、掲示板などを利用する上での礼節やマナー。現代でいうところの『ネットマナー』。
  • ソースは?】「根拠になる一次情報を出してくれ」の意。

誰が言い出したのかはわかりかねますが、少なくともネットに書き込む人は基本常識のように扱っていましたし、デマなどの書き込みに踊らされる人も(今の時代と比較すると)そこまでいませんでした。

むしろ、「それ、本当だという証拠は?」と疑う人のほうが多かったのではないでしょうか。

CHECK!

2000年代当時は、ネット利用者数が少なく、礼節やルールを守ろうとする意識は一定数あり、守ろうとする人も多かった。

個人のホームページを持つ人は「ネチケットを守って」といった文言を、トップページや掲示板の入り口に書くのが当たり前でしたね。毒吐きネットマナーのURLリンクなど。あのサイトはきな臭かったそうですが。

昔のネットは楽しかったか?

背景

謎文化も楽しかったね

昔はある意味、今以上の無法地帯で、フラッシュ(簡単なミニアニメーション)では過激なパロディや、有名人の切り抜き画像で遊んだりなどの問題のある内容が多かったものです。

いわゆる『MAD動画』『コラ画像』の前身ですよね。YouTubeやニコニコ動画が登場してからは、フラッシュは衰退しましたが……

「グレーの内容を楽しむ」という意味だと、当時のネットは規制が特になく自由だったとも言えますし、法に触れること以外であっても、

  • キリ番】アクセスカウンターでキリのいい数字「1111、1234など」でアクセスすること。管理者へ報告義務があり、報告しないと『踏み逃げ』になる。
  • カキコ】「書き込む」こと。特に掲示板の初設置や新規スレッド(板)に最初に書き込む場合は『初カキコ』と呼ぶ。
  • チャット】当時はSNSがなかったため、リアルタイムのやりとりはチャットが中心。パソコン通信とは違ってADSL回線もあり、朝までチャットをやることも。
  • お絵かきチャット】チャットのお絵かき版。2000年代が全盛期で、パソコンのスペックがある程度高くないと、線すらまともに引けないこともしばしば。

今考えれば「なんでこんなに熱中し、意味のわからないこともしていたんだろう」と思うものも多いとはいえ、これはこれで独特の魅力があり、面白かったんですよね。

CHECK!

昔のネットは楽しかったかどうかは懐古的な解釈も入るため、「人による」部分が大きい。

不便だったからこその楽しさ

黎明期だったからこそのグレーな部分、不便な部分も含めて楽しいと思う人もいれば、今のネット(SNS)のほうが楽しい人もいるでしょう。

自分の場合は、あの「発展途上の不便さ」や、ネットの知り合いのホームページを巡って交流するのも含め、あれはあれで楽しかったですね。

ネットが今のようになったきっかけ

背景

2007年ぐらいから
一変した気がする

そして、その「昔のネット」が今のネットになってしまったきっかけ考える限りだと、

  1. スマホの存在】スマホによって気軽にネットにつなげられるようになり、限定的なコミュニティだったネットに利用者が激増し、書き込みも増えた。
  2. SNSの普及】SNSによってさらに利用者が倍増。さまざまな情報が嫌でも入ってしまい、炎上も目につきやすくなった。
  3. まとめサイトの台頭】5chを転載して記事をつくる『まとめ(コピペ)サイト』が多数登場したことで、隔離された内容がネット全体に拡散された。
  4. ニコニコ動画】ニコニコ動画でさまざまなネットスラングが作られ、隔離された内容をまとめサイトと同様に広められる。
  5. ネットニュース】ネットニュースでもネットの問題を取り上げるようになり、炎上に火に油を注ぐケースも。

別にスマホやSNSなどが諸悪の根源だという話をするつもりはないものの、

CHECK!

昔と比べてネット利用が気軽にできる環境が用意され、リテラシーが低い利用者も爆発的に増えてしまった。

このあたりは実感としてあるんですよね。

昔のネットは「限られた人しか利用できない空間」で、「現実とは異なる世界」という感じでした。しかし今では「誰でも利用できる空間」であり、「現実に直結する空間」になっていますからね。

最後に:なぜそう言われるのかを考える

背景

深い事情があるかもよ

「昔のネットはよかった」って、一見見ただけでは「年寄りが昔懐かしんで、『昔はよかった』と垂れているのと同じ」と見えてしまいがちです。

しかし見方を変えると、

CHECK!

今のネット(SNS)は、不健全な内容も検索上位、リテラシーの低い人たちはデマを拡散、意見が合わないと口喧嘩や誹謗中傷に発展、炎上を娯楽にするさまが多くてうんざりしている。

このように見ることもできますし、昔だったら「嫌なら見ない」ができましたけど、現代では「嫌でも目に入ってしまう」状況なんですよね。

なぜそうなったかを考えると、

  • 壁の崩壊】無自覚な拡散や広告収入目的による転載行為により、隔離の意味をなさなくなった。
  • 煽りの問題】ネットスラングが多様化し、煽り言葉・記号が増えた。
  • 絶対数の増加】利用者数が増加し、性格に問題のある人、リテラシーの低い人が増加・可視化。
  • ビジネス化】負の面をビジネスにする人が増えてしまい、不健全な内容が目についてしまう。

こう推察(すいさつ)することができます。

ただのネット老人の戯言だと切り捨てる前に、なぜそう語る人がいるのかを考えてみてもいいかもしれませんね。

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    • 赤竹ただきちTadakichi Akatake
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    とはいえ、記事に関心を持っていただけている自体は嬉しいんだけどね。複雑な気持ち。

イラストレーター・コーダー+WEBデザイナー・ライターの京都生まれなウサギ好き。

絵は多様な作風を描くことを強みにし、外国人でも絵でわかるマンガや、ウサギと口内描写にはこだわりを持つ。

コーディングとWebデザインは両方可能。案件によっては「デザインしつつコーディング」の荒業もおこない、SEOを意識したマークアップも得意。

「自省・リテラシー向上・正しい批判」をライフワークとし、当サイト記事も「中学生でもわかりやすい、気づき・理解・学びを得る」を全体テーマとして執筆。

これは微力ながら閲覧者に考える・学ぶ助力のほか、自身も学ぶ目的も含み、「下手でも自省し学ぶことを忘れない人」は、年齢・性別問わず好きなタイプ。

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