
接客業をしていてほぼ必ずあたってしまうのが、迷惑客・悪質クレーマーによるカスタマーハラスメント(カスハラ)問題。
ニュースでも衣服店で土下座を強要したり、警察官なのに難癖と恐喝(きょうかつ)行為で店員を退職させたりが取り上げられた事例は数多く、自分も実際に数多く経験してきました。
「しまむら」店員に土下座させ写真をネットに 強要の疑いで女逮捕|ITmedia NEWS
リサイクル店でトラブルの警察官 停職3カ月の懲戒処分受け依願退職 香川・丸亀警察署|KBS瀬戸内内海放送ニュース
その実体験に加え、さまざまな観点から心理、そしてカスタマーハラスメント対策を述べます。
レジ店員に対しての悪質クレームは『レジハラ』というらしい。なんでもかんでも『〇〇ハラ』と名称を増やすのは気になるど、これも含めて扱っていくよ。

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個人の見解です
ほかの意見もご参照ください
実際に経験した迷惑客・悪質クレーマー事例


ごく一部の実例です
まず、実際に体験したカスタマーハラスメント事例を記載していきます。これでもほんの一部です。
勘違いを認めない親娘クレーマー
「割引価格で買える」を「無料プレゼント」と勘違いした母娘がいて、受け取りに来た娘は展示品を乱暴に扱い、引換券がないのに商品を出せ、母親と電話しろとつめ寄ってきたんですね。
一般常識がつうじない人と察したね。モノは大事に扱ってほしいよ。

そして電話に出た母親(声のトーンから70ぐらいの高齢者でした)も、用紙にも書かれているのに、

そんなことは聞いていない、言われなかった。
と電話口で主張するなど、親子そろって非常識・横暴な態度にカチンときたので、
恐れ入りますが、何度も伝えているように、これは割引で買えるキャンペーンだと事前にご説明していますし、用紙のほうにも金額がハッキリと明記されています。

しっかりご説明させていただいていますから、あなたがたのように無料でプレゼントだと思われた方は、ひとりもいませんでしたよ?

このように伝えると、母親は無言で電話をブツ切り。娘も意味不明な捨て台詞を吐いて出て行きました。
この母娘に限らず、「ありがとう」や「すみません」すらも言えない人は本当に恥ずかしいものです。
その娘の人も30代後半ぐらいだったんだよね。これまでの人生で何を学んだのかと思ってしまう。

「お客様は神様」と思っている元ヤーさん
店員に乱暴な言葉を使う30代ぐらいの人で、背中にびっしりと入れ墨が彫られていた元ヤーさん(ヤクザ)。家が近いのか、よく買い物に来るんですね。
言葉づかいは乱暴ながらも危害は加えないのですが、ある日、商品の品質の問題で店長を呼び出し、何十分も脅迫まがいな行動をおこない、代替品を要求していたのには驚きました。
すごい怒声だったから、お客さんは全員ドン引きだった。

当の本人は、

サービス業なんやから、ちゃんとこういうことは言わなあかん!
と、自分は神様だぞと言わんばかりのドヤ顔で言っていたのが印象的でしたね。
非があれば罵詈(ばり)雑言や怒声を飛ばしていいワケがありません。ミスの指摘はありがたいですが、それをいいことに恐喝するのはダメです。
2時間も拘束した中年タクシードライバー
これは実際に見たわけではなく聞いた話ですが、店長がタクシードライバーだという中年男性に呼び出され、店の対応について、その人の自宅で2時間も説教をされたそうです。
本人はよかれと思っていそうですが、これは立派な業務妨害です。当時の店長は人当たりのいいおとなしい人だったので、強く言い出せなかったところもありましたね。
重ねるように、店に意見を伝えるのはありがたいですが、度が超えています。
2時間も拘束ってもう軟禁と同じだよ。同じサービス業なのに、そのような行為は非常識だとわからないものなのか……

おつとめ品に難癖をつけて騒ぐ中年女性たち
値引きシールが貼られた商品にイチャモンをつけられたことがあり、

半額が貼られているお造りの色が悪い! お宅の品質管理どうなっているの! 交換しろ!
とか言われても、
いや、当たり前じゃない……口には出さないけど。

としか言いようがないし、値引きシールの意味を理解していないし、腐ってるとかカビが生えている話でもありませんでしたからね。
「値引きシール品でも商品だから、しっかり品質管理すべき」という意見には、「期限ギリギリで傷みやすいし味も多少落ちているけど、その分安くしておくよ」が値引き品です。
低価格でも高品質にこだわる、日本人の悪習が出ている出来事でした。
大方は中年女性の主婦に多かったね。

意味不明な注文を押しつける中年男性

袋代(2円〜5円)高すぎ! ロゴの印刷をなくして安く提供しろ!
と、意味不明ないちゃもんをつける人がいましたので、買い物袋持参の推奨を伝えたら、

めんどくさいし、レジ袋はすぐ捨てるから。
と主張してきたのには驚きましたね。節約倹約を掲げる割には、非建設的であり短絡的です。
よくも悪くも「いまを生きている」感じ。それをダメだとは思わないけど、参考になるクレームを言ってほしいね。

悪口と自慢をする高齢男性
自称医師の高齢男性で、会うたびに店の悪口や自分の自慢話、他店へのクレームを武勇伝のように語る人で、中には急に「退職させてやる」と恐喝された店員もいました。
こちらは「話を聞いてくれる店員」と思われたのか懐かれてしまい、怒らなければ無害なので追い出すわけにもいかず、グレーゾーンの攻め合いでしたね。
本格に対処をおこなう前に退職したので、今も店に来ているのか、それとも出禁(入店禁止)になっているかはわかりません。
その人が入店するたびに緊張したし、胃が痛くて仕方がなかったね。

急にキレだして騒ぎ立てる高齢男性
数ある経験の中でも理不尽に思ったのが、貴金属をジャラジャラつけて、毛皮のコートにモヒカン頭と、いかにも関わってはいけないような70代ぐらいの高齢男性でした。
京都市は袋が有料(2015年現在)なので、袋の有無は確認するのですが、

アホか! 見たらわかんだろうが! それにお前ら貧乏企業のために70万使ってやってんだぞ!(ポケットに入れて全く見えない)
と、意味不明なことを言う始末で、後述している悪質クレーマーマニュアルを半分ほど進めた相手でした。
見えるように袋を出していれば質問系で聞かないんだけど……

あまりの異常ぶりに、この人専用の対策マニュアルを作ったり、その光景を目の当たりにした別のお客さんから、

本当に店員さんって大変ですね。頑張ってください。
このように同情されてしまうほどでした。
おそらく認知症なんだと思う。平常時の状態も見たことがあるけど、見た目がアレなだけで、普段からあんな暴力的な言いかたはしていなさそうだった。

落ち度を説明しない察してちゃん
30代ぐらいの女性が、「セルフレジに入れたのに500円合わない」と言ってきたので対処したものの、基本無言で状況を聞いても適当な返事で一切説明しない、いわゆる『察してちゃん』でした。
手間取っていると、

私は嘘ついてない……泥棒扱いするな……
と、ブツブツ言い始め、仕方ないのでレジのお金から返金して渡したら、乱暴に奪いとって出ていきました。
あとで点検整備すると、紙幣投入口に500円玉を乱暴に入れていたことが判明し、危うく故障するところでした。
「言わないとわからないよ」って、親御さんや学校で教わらなかったのかな?

フィクションの察してちゃんは愛らしいですが、リアルの察してちゃんは迷惑な人です。
情緒不安定すぎる男性
セルフレジの使いかたがわからない30〜40代ぐらいの男性に、ほかのお客さんと同じように説明したら、急に店中に響く大声で怒声を浴びせたんですね。
怒りかたが尋常じゃなく、周りの店員やほかのお客さんはドン引きでした。
女性のお客さんが、

店員さんが可哀想だろ! 非常識だ! 警察呼ぶぞ!
と注意されると、

俺を非常識とか言いやがった。あの女頭おかしいわ。
などと言い始め、自分に向かって和解の握手を求め始めたのです。
あまりにも言動・行動が支離滅裂すぎて混乱してしまったね。

しかし後から自分を名指しでクレーム電話を入れていたりと、意味不明すぎて困惑どころか何が起きたのかわからない状態でした。
「運悪く、関わっちゃヤバイ相手に当たってしまった」って感じで、学生バイトだったら絶対次の日から来なくなるレベルです。
注意してくれた女性は常連のお客さんだったので、後日改めてお礼を伝えたよ。

常識を疑うトンデモ親
2人の子供を連れた若い親子が来ていたのですが、母親はともかく父親は染髪にピアス姿で、商品を投げて渡したり店員を見下す態度と、絵に描いたような素行不良の人でした。
しかし問題はここからで、自身が吸った何十本ものタバコの吸殻を、小学生低学年ほどの歳の娘に両手で持たせ、少しでも落とすと怒鳴りつけていました。
その父親は、自分の子供を灰皿代わりに使っていたということ。

厳密には迷惑客・悪質クレーマーではないものの、常識を疑う行動だったので記載しておきます。
お子さんには真っ当に強く生きて欲しいと心の底から願ったよ。

迷惑客・悪質クレーマーのタイプ


彼らには
共通点がある
このような人たちを経験上分けると、
- 【社会的格差要因】経済的に貧しく、満足に道徳教育を受けられなかった。
- 【心が貧しい要因】居場所がなく、心に余裕がなく満たされていない。
- 【中高年・高齢者要因】「お客様は神様」が根強く、店員に説教や八つ当たり。
- 【発達・精神障害・脳の病気要因】疾患・障害・病気による要因。
となり、これらを複合しているケースが多いですね。
中高年・高齢者のケースが一番深刻
特に『中高年・高齢者要因』は悪質行為のみならず、
- 店員のカウンセラー化
- 迷惑駐輪
- 説教行為
- 排泄物放置
- 家庭ごみの不法投棄
- 万引き
- 犯罪行為の開き直り
などなど、かなり問題になっています。
世代人口比率ピラミッドや、どのような業種か、地域差などで偏(かたよ)りや差は出るでしょうが、少なくとも小売業では問題になっています。
何度か全地区の従業員が集まる集会に参加し、満場一致で中高年・高齢者の迷惑行為や悪質クレーマーぶりには頭を悩ませているという意見でしたね。
クレーマー激増の背景に高齢化?ほとんどは「指導」から始まる|livedoor
未経験者ほど綺麗事を語る


実情を知らないから
無責任に語れる
よくネット・SNS上だと、
- 「中高年だの高齢者だのって言うけど、どの世代にもいるだろ」
- 「非常識な奴は非常識ってだけじゃん。そんなこともわからないの?」
などと言われるのは、店員の悲鳴を表面的にしか捉(とら)えていない、実情を知らないからこそ言える無責任な発言(綺麗事)です。
当事者たちの言葉はそもそも、さまざまな年齢・性別の接客を数多くこなした上で……という前提で成り立っていると考えてください。
つまりどの世代にもいるとは、当事者は十分理解しています。それを考慮しても中高年・高齢者の行動は異常かつ過激なんですね。
数時間で数百人のお客さんを相手にする店員さんと、数分程度の印象で接客全体を語る未経験者では、どちらに説得力があるでしょうか?

あの異常さは経験しないとわからない
体験すれば、中高年・高齢者の迷惑行為は全世代の中でも飛び抜けて悪質ですし、これは本人の性格よりも、脳の老化や将来の不安などが要因になっています(後述)。
先述の迷惑行為一覧は、どの世代にもいる印象を与えるかもしれません。
しかしあれは印象に残ってるケースをピックアップしているだけで、小さなものも含めると圧倒的に中高年・高齢者が目立ちました。
それにクレームの質が違い、若い世代は丁重かつ建設的に理由を話せば納得する一方、中高年・高齢者は怒りが激しく感情的で、理由よりも誠意を強要する傾向があります。
若い世代にもそういう人はいますけれど、だいたいは不良・半グレ系といった常識を欠く人や、精神的に幼い人、発達・精神障害系がほとんどです。
中高年・高齢者は見た目は普通、むしろ優しそうに見える人も豹変するケースが多いから、事前判断ができないし、なおさら恐ろしいんですね。
小売系の接客業経験者なら、自分の言っていることがすごく同意できると思うよ。

次に、各心理学や脳科学から行動原理を見ていきましょう。
アドラー心理学から見る原因・対処法


アドラー心理学から見た
観点
『アドラー心理学』では、怒りは二次感情であり、怒りの前に何かしら別の感情があるとされます。たとえば危ない運転に遭遇して怒ってしまうのは、
- 危ない運転だった
- 怖かった
- 怒る
ということですね。これを悪質クレームなどに置き換えると、
- 思いどおりにならなかった
- 悲しかった
- 怒る
このように表すことができます。
行動原理
また、この心理学では「目的論」が行動原理とされ、「怒りたい(イライラを晴らしたい)目的があるから、怒る相手を選ぶ」とされます。
立場の弱そうな人やおとなしい人ほど標的にされやすく、もし店員がガタイがいい人だったり、ヤクザもびっくりなコワモテ(怖い顔の)店員なら難癖をつけてきません。
- 【都合のいいはけ口】店員をサンドバッグにし、はけ口にしている。
- 【損をする店員】特に優しい・おとなしい店員ほど攻撃されやすい。
これを見ると、感情的に見えてかなり狡猾(こうかつ)的なことをやっているんだよね。

対策
怒りが二次感情なら、「不満をちゃんと聞く」が、アドラー心理学を踏まえた対策になります。
ひとりで相手をするのではなく、ふたり以上で「強そうな人」を連れてくるのも対策のひとつです。

しかしながら、聞き手になるのはリスクを伴います。「この店員はわかってくれる」と認定され、ストーカーじみた行為や粘着される恐れがあります。
実際にそれで先述した高齢者クレーマーに付きまとわれたので、オススメしない。

昨今の高齢者ほど孤独感や疎外感からか、確率が高いので注意です。
私どもも心苦しいですが、役所や上から言われているですよ。

また、このように言えば怒るよりも同情の反応をする傾向があるため、これも対策になるかもしれませんね。
確かに、
— 赤竹ただきち / Tadakichi Akatake (@MyutaUsagi) May 30, 2022
「市からの指示なんですよ💦」
「上層部から言われているので…😓」
と言えば、怒声よりも同情の反応が多かった。
これもある意味、自分の身を守る接客テクニックだったかもしれないと、元接客経験者は語る。#接客業#サービス業 https://t.co/LsTvNlSYHX @bengo4topicsから
アドラー心理学で楽になる人間関係(芥川啓介 著)|Amazon
フロイト心理学から見る原因・対処法


フロイト心理学から見た
観点
『フロイト心理学』だと人の無意識は、
- 自我(アイデンティティ)
- 超自我(規律)
- エス(本能)
この3つで構成されているとし、このバランスが崩れると、ヒステリー症状といった精神症を引き起こすそうです。
この理屈に当てはめると、迷惑客・悪質クレーマーは超自我が低く、エスが高くなっていてバランスが崩れている状態ですね。

人のせいにし、問題をすり替えたり開き直る「合理化」をしたり、人は元来、破壊的衝動を持つ生き物であるとも、フロイト心理学では定義しています。
自己正当化のために屁理屈をこねたり、相手を攻撃するのは、人が持つ本能(無意識)と言えるのでしょう。
行動原理
フロイト心理学では「行動論」が行動原理で、人の行動は無意識によって形成され、「その人の行動は、どのような家庭環境で育ち、幼少期を過ごしたか」が関わってきます。
先に『社会的格差要因』が可能性のひとつと述べたように、両親が親としての資質がない人物だった、ちゃんと教育を受けられなかった、生活に恵まれなかった……
このような人たちは性格に問題があったり、態度や素行が悪い人物になる傾向が強くなりがちという形ですね。
対策
その人の育った環境が問題なので、こちらからは歩み寄らず「流すか無視をする」ことが最善になります。
ただの店員がその人の家庭環境を考慮してあげるというのは、あまりにも非現実ですからね。

脳科学から見る原因・対処法


脳科学から見た
観点
人間の脳には感情で考える『扁桃(へんとう)体』と、論理的に考える『前頭葉』で理性をコントロールします。
しかし、扁桃体が大きい、または相対的に大きくなった人は、感情のコントロールができない行動をとりがちになります。
いわゆる『情緒不安定』の状態ですね。

中高年・高齢者クレーマーの怒声や誹謗(ひぼう)中傷が異常なのは、脳の老化で前頭葉が縮んでバランスが崩れ、理性の自制(感情のブレーキ)が効かないからです。
またストレスを溜め込むと扁桃体は大きくなる性質があり、大人しそうなのに豹変する場合、ストレスで扁桃体が大きいか前頭葉が萎縮(いしゅく)している可能性があります。
将来に不安があったり、孤立していたりでストレスが溜まっているなどがそうですね。
キレる高齢者に必要な対応でもっとも多いのは「社会で活躍できる場を広げる」こと!接するときに心得ておくこととは?|みんなの介護
「キレやすい中高年」が増えている…その理由は“怒りのブレーキ”の衰えだった|FNNプライムオンライン
発達・精神障害起因の場合も
『アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム) 』当事者の中には、

自分は正しい。相手が100%悪い。
という他責的思考や、相手を思いやる概念が理解できず、直情的な傾向があり、これらが要因で悪質クレーマーになる場合があります。
『パーソナリティ障害 』『統合失調症』の一部にも、このアスペルガー症候群と似た症状があるそうです。
自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)によく見られる症状と年齢別の特徴について【医師が分かりやすく解説】|ブレインクリニック東京
パーソナリティ障害|厚生労働省
統合失調症|厚生労働省
対策
脳の障害や不安定・老化の場合はどうしようもないので、事務的な無視か、「これだけ騒ぎ、暴言を吐く迷惑行為は、リスクとペナルティがある」と伝えるのが優しさかもしれません。
ただ、こういった人たちは自分の行動を疑えない人が少なくないため、慎重に対応しましょう。
誤解しないでいただきたいのは、見た目だけで、

あーこいつはアスペ(アスペルガー症候群)だなー
みたいなレッテル貼りや、決めつける目的ではないということです。
医者じゃないですから断定できませんし、あくまでも理解した上で、どのように適切に対処するかを考える目的で記載していることを留意してください。
対処(撃退)法


こうやって
対策する
ここまで心理や行動原理を見てきましたが、実体験からの対処法を流れを記載します。
- 【選別】「意見をいただけるお客さん」か「悪質クレーマー」かを見極める。
- 【判断】攻撃的・威圧的な場合、正当性があっても悪質クレーマーだと理解する。
- 【前者の対応】前者なら「貴重なご意見ありがとうございます」と返す。
- 【後者の対応】後者なら最低限の接客で、事務的に無視をする。
- 【解消しない場合】「ほかのお客様にご迷惑ですので、お引き取りください」と警告。
- 【警告】居直る場合は店長を呼ぶと、第2の警告をする。
- 【最終警告】店長の退去指示を無視する場合、警察を呼ぶと最終警告。
- 【連行】本当に警察を呼んで『不退去罪』として連れて行ってもらう。
見出しで「撃退法」とか過激に見えてしまうけれど、「そのぐらいどうにかしたい」と思っている接客経験者は少なくないと思う。

やってはいけない行動
彼ら相手にやってはいけないのは、
- ひとりで対処すること
- 謝罪すること
- 『D言葉』を使うこと
この3点です。
『D言葉』とは、「ですが」「ですから」「だから」「でも」などといった文頭言葉の総称です。

ひとりでは対処が難しく、謝る言葉は「店側が100%間違っていました」と非を認める形になり、今後も言いがかりや粘着をされる恐れがあります。
D言葉は相手を逆上させるので、「恐れ入りますが」「はい」などを代替言葉にし、使わないように心がけましょう。
「S言葉を使おう」はリスクがある
共感を求めたり、『S言葉(承知いたしました・失礼いたしました)』がよいと語る専門家もいますが、これも非を認めて欲求を承認し、結果的に粘着されるので、オススメしません。
「S言葉を使いましょう」と語る専門家は、現場の実情や悪質クレーマーの承認欲求の強さを知らないと思うね。経験者からすればD言葉を使った結果と同じだよ。

彼らは共通してかまってちゃん気質なので、「見捨てる」ことも必要です。歩み寄る努力はこちらが精神を病んでしまうリスクがあります。
実際、歩み寄って精神を病んだ人がいたし、自分も退職後は2年うつ状態になったけど、それを彼らは理解しないし、赤の他人がそこまでする義理はないでしょう。

難しければ誰かに頼む
ただしこれは、信頼関係や真面目な勤務態度だから可能な対処・撃退法なので、そこまでの域に達していない場合は素直に社員を呼びましょう。
悪質な現行犯じゃないと入店禁止できませんし、消極的な店なら対処すらも渋る場合もありますので、あくまでも一意見としてご参考願います。
同情を誘うのも手
さきほど述べたように、何かしらサービスで理不尽なクレームをつけられた際は、
- 「すみません、市からの指示ですので……」
- 「上からそう言われてて、こちらも困っているんですよ」
このように「店ではどうにもできない上層部・外部の命令」と伝えると、怒声よりも同情してくれることが多く、これもまた、悪質クレーマーに対する対策です。
人によっては「無責任な対応」と思われるかもしれませんし、それは否定しません。
ただ、接客において大事なのは、
CHECK!
お客さんを考えるのは大切だけど、自分の身と心を守ること。責任感を持つことは大切ですが、それで心を壊してもメリットなんてありません。
接客業は理不尽なことが多いため、「ずる賢い」立ち回りをしたほうがいいかもしれません。

余談:ネット・SNSの悪質クレーマー


ネット・SNSでも
よく見かけるよね
ここまで実社会の悪質クレーマー、カスタマーハラスメント問題について紹介しました。
なお、ネット・SNSの世界にも悪質クレーマーは存在し、ゲームなどの公式アカウント(運営)やアプリのレビューで、何かしらトラブルが発生すると、
- 「そんなのやって当然」
- 「できて当たり前だから」
- 「どうでもいいので返金して」
- 「さっさとしろよクソ運営」
- 「運営は相変わらず無能」
などと平然にぶつけるのも、立派な悪質クレーマー行為です。
建設的な改善・要望は貴重なご意見です。しかし、相手に敬意も払わず攻撃的な言葉をぶつけるのは大きな間違いです。
ネット・SNSでは「迷惑客・悪質クレーマーを許すな」という論調が多数派でありながら、企業・運営叩きは比較的容認されているのが不思議。

関わらないほうがいい人が多い
こういった人ほど「指摘・意見される覚悟」を持っていないのみならず、プロフィールやタイムラインでも、使い捨てアカウント(捨て垢)た過激な内容、発達・精神障害持ちを公表など……
うわ……関わっちゃいけないタイプの人だ……

ってなりますし、指摘されると無視したり、言い逃げをする人も珍しくありません。
こちらも実社会と同様、違う世界の住人と無視しておけばいいと思います。非常に悪質ならば、証拠を集めて今後の法的処置に備えましょう。
最後に:お客様は神様なのか?


レツゴー三匹は
ある意味罪が重い
以上、実体験から、いかに悪質クレーマーは厄介で、頭を悩ませている問題なのかが、少しでも知ってもらえればと思います。
悪質クレーマーの根底である『お客様は神様』という考えは本来、三波春夫氏の「歌に対する個人の心構え・意識」による言葉でした。
それを漫才トリオの『レツゴー三匹』が「ネタ」として広めて流行してしまい、悪質クレーマーとそれに頭を下げる企業の図式ができてしまった要因のひとつになっています。
このような「(誤った)お客様は神様の精神」は日本特有のものであり、生前の三波氏も関係者も、頭を悩ませているそうです。
レツゴー三匹も観ていた視聴者も、ちゃんと真意を理解せず、言葉だけを使っているんですね。
そういった意味では、レツゴー三匹が安直に世間へ広めたのは罪が重い。別に彼らが戦犯と言いたいわけじゃないけど、ここまで深刻にはならなかったと思うよ。

「お客様は神様です」について|三波春夫オフィシャルサイト
この対策は安易に信じるな
悪質クレーマーへのよくある対策として、
- 「とにかく謝ればいい」
- 「話を聞いてあげる」
- 「誠心誠意対応して顧客化」
- 「『S言葉』を積極的に使う」
そう語る経験者や専門家もいますが、悪質な相手にも誠心誠意の対応は時代錯誤(さくご)です。
特にコンビニやスーパーのような、最低賃金の小売店では逆効果にしかならない。

下手をすれば「あの店ではやってくれた」と他店への二次被害のほか、そんな相手にも神様のようにヘコヘコすれば、ほかのお客さんたちからの店の印象が下がります。
お客が店を選べるように、店もお客を選ぶ権利はあります。店は「私有地」に建っているのだから、望まない相手が入ってくるのは不法侵入行為です。
近年では社会認知・権利意識向上により、昔よりかは泣き寝入りのケースは減り、『UAゼンセン』などは従業員を守るため、認知拡大活動する団体も出始めています。
UAゼンセン|UAゼンセン
ただのクレームと悪質クレームは違う
よく勘違いする人が多いのは、ただのクレーム(苦情)と悪質クレームは全く違うものです。
ここをしっかり分けて考えないから、消費者の過剰(かじょう)意識が、日本だとよりエスカレートしているのでしょう。

ラブレターだと一緒にしてはいけませんし、善いクレームと悪いクレームの区別ができないのはダメな企業・店員です。悪質クレーマー問題を語る場合は、ここの分別は必須です。
そして「お客様は神様」をもう使うべきではないと、見直す時期に来ています。

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