
絵描き(イラストレーター・絵師)のSNSアカウントにおいて、
- 無断転載禁止
- 自作発言NG
概要欄・プロフィール・作品内などに、こんな文言を書いていたり、さらには「AI学習禁止」の文言もつけ加えている人をよく見かけませんか?
勝手な転載や自作品と発表されていい気分はしないし、商業物なら利益損失になりかねないので対処したい気持ちはわかる一方、同じ絵描きとして、その記載はやめたほうがいいと助言します。
- なぜやめたほうがいいのか
- 明確な対策はどう考えるか
概要欄・プロフィール・作品内にどう書くかは個人の自由です。しかしそれを踏まえた上で考えるきっかけになればと思いますので、絵描きの方は参考のひとつにしていただければ幸いです。
それからはじめに伝えておきますが、
ネット・SNSに上げている以上、「絶対に転載や自作発言を防ぐ方法」は100%ない。

であることはご了承ください。
ゆえに記事で紹介するのは「100%防げないけど合理的な対処方法」になります。なお生成AIのクリエイターへの問題提起は以下に詳しくまとめていますので、あわせてご参照ください。

個人の見解です
ほかの意見もご参照ください
無断転載禁止・自作発言NGはやめたほうがいい理由

(画像は当時の再現イメージ)
CHECK!
明確な対処・対策にはならず、むしろ自分の概要欄・プロフィール・作品が汚れるだけ。先に結論から言えばこうなり、明確な統計がないとはいえ、2000年からネットをしている範囲では効果を見たことがありません。
無断転載禁止や自作発言NGの文言は、「トイレはキレイに使いましょう」や「川にゴミを捨てないで」とほとんど同じようなものです。
その注意書きを世の中の人が守っているかと言われれば、そうではありませんよね。

昔からある界隈の慣習で、絵描きはみんなやっているから。
別の見方をすると、「とりあえず書いておけばいい、お決まりテンプレート文章」の部分も否めず、2000年代のホームページでも、多国語で「無断転載お断り」と書くのがお決まりでした。
よく言えば「昔からある伝統」、悪く言えば「深く考えていない思考停止」と言えます。
気を悪くしたら申し訳ないけど、プロ以外が声高に無断転載が〜って言っているのは、絵が下手な初級者・発展途上レベルが目立つ。


二次創作絵師に伝えたいこと

キミは権利元のガイドラインや権利を守っていないのに、自分の権利は声高に主張するのか!
また二次創作の絵描きがプロフィールに禁止の旨を記載すると、このように言われかねないことは把握しておいたほうがいいです。
二次創作のネット・SNS掲載は本来、権利元の見解を見て行動するのがスジです。それを無視して自己権利主張はダブルスタンダードなんですね。
権利元に迷惑がかかると言うなら、公式見解の厳守が先。ネット・SNSに載せる意味も考えよう。

どう書くかは自由といえど

私は無断転載や自作発言を容認しないし許しません。
一方で、このような一種の意思表示・宣言ならば理解できなくはないですし、利用規約やガイドラインのように扱っているのであれば、これらの文言はある意味わかりやすいものです。
冒頭のとおり、概要欄・プロフィール・作品をどう使うのかは個人の自由です。
しかし本質で考えればズレた行動に見えるのが正直な感想で、一言程度では足元をすくわれます。
無断転載・自作発言・AI学習への意思表示をしたいのなら、プロフィールや作品内ではなく、ちゃんとした文章で別途公表するものです。
【雛形(ひな形)あり】プライバシーポリシーと免責事項の作り方 | 初心者のためのブログ始め方講座
ネット・SNSに公開するとはどういうことか

© 1997- Google
本質で考えれば、ネット・SNSというオープンな場所に上げた時点で、絵が上手いか気に入られてしまえば無断転載・自作発言は当たり前です。
海外では日本以上に無断転載などの意識が低く、「ネット・SNSにあるものは共有財産」みたいな認識がほとんどと思ってください。
無断転載・自作発言する人が作者の注意喚起を読むワケがないんですね。
外国人相手ほど、「読んでくれる」「注意すればわかってくれる」は大間違い。大体無視か開き直るよ。

実際、自分の作品は2010年ごろから転載・コラ(改変)画像・自作発言もされています。
海外を中心に作品まとめサイト・アカウントは多々あるため、「ネット・SNSはそういう世界」と理解しているか、していないかは大きいでしょう。
言わずもがな、利益の不当な阻害、自身・作品の誹謗(ひぼう)中傷や名誉毀損(きそん)行為がある場合、毅(き)然な法的対処が必要です。
「転載や自作発言が嫌ならネット・SNSに載せるな!」と言っているわけではなく、残念ながら現実。

転載や自作発言の防衛策


本質を考えた
防衛方法
それではどうやって自分の作品を守るのか。冒頭で述べたように「100%防げる対策」は、ネット・SNSに公開している以上はありません。
建設的に転載・自作発言の流れを考えると、
- 作品を投稿する
- その作品が目に留まる
- 作品が転載・自作発言される
こうなることを踏まえれば、作品に自分が描いたものだとわかる「署名」をするのが防衛策であり、現実的な対処方法ではないでしょうか。
絵が上手い・ニーズがないと転載されにくいけど、上手い下手関係なく署名は書いたほうがいい。

作品に署名を書く大切さ

- コピーライトの明記(商用物の場合)
- SNSアカウント名の記載
- 個人WebサイトのURL
- サインの明記
署名とは上記をさし、閲覧の妨げにならず万国共通で伝わりやすい意思表示になり、アカウント名やURLなら作者検索が可能になります。
絵に署名を書く人がいるのは合理的な対処方法だからで、同人誌・CG集にお断りではなく、QRコードやアカウント名を記載して、ファンを増やす宣伝として利用する方法もあります。
殴り書きじゃなく作品に溶け込む書きかただとプロっぽい。複雑な背景部分に書くのがオススメ。

書かないのは家の無施錠と同じ

正直、自分の絵にサインは書きたくないんだけど……
中にはこう主張する人もいますけど、「玄関の鍵はかけたくない」と言っているのと一緒です。
最終的にするかしないかは自由とはいえ、性善的な考えにゆだねて自己防衛の手段を放棄するならば、それによって降りかかるトラブルの可能性を他責的にせず覚悟すべきですね。
- ネット・SNSに掲載するとは
- 掲載の利点とリスク
この視点で考えた場合だと、リテラシーが高い行動とは正直思えないというのが個人的感想です。
対策を考える上で性善的な考えはしないほうがいいよ。

メイキングも証拠になる

© 1996, 2016- 株式会社虎の穴
自作発言対策であわせて有効なものは、作品のメイキング画像を定期的に投稿することです。
メイキング画像は描いた本人しか持っていないもので、パクツイ(投稿の丸ごと転載)の場合でも制作の過程を残しておけば証拠になります。
どのように描いたか、何を考えたかを文章・動画を残すことも大切です。オリジナルなら、支援サイトの有料ブログにしてもいいでしょうね。
考えて能動的に動くのが大切。プロはそれが普通にできる。

透かしはオススメしない

「無断転載・自作発言(+AI学習)禁止」と書かれた透かし処理・クォーターマークを作品に入れ込むタイプは、個人的にオススメしません。
二次創作なら相手の権利を守らないとネットスラングでいう「特大ブーメラン」で、オリジナルでも露骨な権利主張は閲覧者から嫌われます。
閲覧者は作品を見たいのであって、デカい権利主張を見たいワケではありません。
商業作品や物販の場合は、透かし無しバージョンの現物を用意でき、それを踏まえての透かし処理です。しかし透かし無しを用意しない作品の場合、趣旨をはき違えているんですね。
閲覧者を無視して自己権利主張する人は、「ネット・SNSに公開する意味」を理解しているのか?

X(ツイッター)の規約変更

2024年10月にはX(ツイッター)の規約変更で透かし処理をする人が増えましたが、ネット・SNSに公開する時点でどこでもつきまとう話です。
その他人がX(ツイッター)に作品転載したら結局意味ないよね?

- ネット・SNSに載せる意味を今まで考えてこなかったのか?
- 「評価が多い投稿だから」「有名人が言ったから」でやっていないか?
- ちゃんと多角的に調べた「自分自身が考えた結果の行動」なのか?
このあたりは個人的に気になりますね。「X(ツイッター)だけ気をつければいい」と考えているフシはないか、見ていただきたいものです。
あえて厳しく言うなら、禁止文言をつける絵描きほど、自分で考えない・リテラシーが低いと判断し、禁止文言をオシャレにデザインする人は、
いやいやいやいや、そこのデザインに力入れてどうするのさ。ちゃんと本質を見なさいよ。

こう思いますね。重ねるように「ネット・SNSに載せる意味・本質」の理解が先でしょう。
最後に:ネット・SNSはそういう世界である


経験者は語る

無断転載禁止・自作発言NGはどのように書けばいいですか?
書くこと自体をオススメしない。ネット・SNSに載せる自体、フリー素材提供のようなものだよ。

無断転載禁止・自作発言NGは、形骸(けいがい)化している部分が否めませんし、禁止・NGを書いて抑止できているのは、2000年からネット利用していて見たことないですね。
経験者だから断言すると、彼らは作者の注意喚起・透かしなんてまず読みません。

え? ネット・SNSに上がっている時点でフリー素材でしょ?
作品を無断転載・自作発言をする人は本当にこの認識です。特に海外はその傾向が強く、無視・開き直りを数多く経験しています。
「注意書きを見てくれる」「注意したらわかってくれる」でやめてくれるなら誰も苦労しないでしょう。当作品も2010年ごろから、海外を中心に転載・画像加工・自作発言もされていますからね。
ゆえに禁止・NGと概要欄・プロフィール・作品内に書くのは汚れるだけで、それに加えて権利元の権利関係を確認せず二次創作ばかりしているなら、他人に厳しく自分に甘い人だと感じます。
二次創作絵師に多いんだよね。自分の権利は主張するのに、相手の権利関係を確認しない人。

プロはみんなやっている

無断転載禁止・自作発言NGを書くことは無意味ってこと?
書くメリットが乏しく形骸化しているからね。署名やURLを書くほうがまだ合理的な対処方法。

リアルなお知り合い・先生・友人のイラストレーターは、絵にコピーライトの明記、アカウント名やサイン・URLなどの署名で対策しています。
「絶対に転載や自作発言を防ぐ方法」は100%ないにしても、目に入らないプロフィールなどに書くより、作品に署名をするのが合理的で、サインやURLがあれば興味を持った人は検索します。
自作発言対策としては、メイキングの定期掲載、有料コンテンツ配信などが挙げられますね。
署名を書くときは背景の上や少し透過させるといいよ。消して加工されたことが実際にあった。

透かし処理はリテラシーが低い

作品に無断転載禁止・自作発言NG・AI学習NGの透かしを入れているのは個人の自由では?
もちろん自由。ただリテラシーが低く、閲覧者の気持ちを無視する行動は同意しかねるね。

作品に「無断転載・自作発言(+AI学習)禁止」を入れるのもオススメできません。
入れたところで彼らは転載・自作発言するし、ネット・SNSというオープンな場で作品公開すれば、転載・自作発言のリスクは常につきまといます。
むしろなんで「ネット・SNSの公開リスク」を今まで軽視していたの? 考えなしすぎて震えるわ……

厳しいながらそう言いたくなり、行動というのは理解してやらないと意味がないものです。
それに閲覧者は作品を見たいのであって、デカい権利主張を見たいワケではありません。スジをとおさない露骨な自己権利は嫌われる元です。
作品は「閲覧者に見ていただいて完成」するものであり、その自己本位さは同意しかねます。「閲覧者の気持ちを無視した行動」なんですね。
まだ現物用意できる商業物・物販ならともかく、作品の透かしは趣旨をはき違えています。
権利・自己主張を露骨に記載した作品で閲覧者は楽しめるか。自分なら「気になってうざい」と思う。

本質を見て行動しているのか
2024年10月に、X(ツイッター)の規約変更で透かしを入れる人が増えたものの、「ネット・SNS掲載の意味を理解しているか」と問いたいですね。

X(ツイッター)だけ気をつければいいんでしょ?
裏を返せばそう言うのと同じです。だからリテラシーの低い行動なんですね。
- 評価が多い・有名人が言った投稿で行動
- 自分で考えて多角的に調べた上での行動
上記のどちらが本当に賢いかは明らかで、本質を理解しないと別サービスでも同じことを繰り返すし、自己矛盾だらけな行動をすることになります。
自分で考えないから、誰かの行動を模倣する表面的なサルマネになるのではないでしょうか。
無断転載・自作発言・AI学習への意思表示なら、作品内やプロフィールに一行程度で書くのではなく、ポリシーを策定して別途公表するものです。
この時点でも行動がズレているとしか言えないですね。本質を見るって大切なんですよ。
転載・自作発言を拡散に利用

そうは言っても、やっぱり自分の作品が無断転載されたり自作発言されるのは嫌なんだけど……
そういう世界だからあきらめて。「使われるなら使ってやる」と、したたかに動くのも手段だよ。

自分の作品も数多くの海外サイトに転載やコラ画像にされているからこそ、作品にアカウント名・サインを入れ、それで転載や自作発言されても、
拡散してくれてありがとう。遠慮なく宣伝に利用しますね。

このようにアクセスアップ・知名度向上として逆利用できます。いたちごっこの世界なので、相手の良心・モラルに訴えても疲弊するだけです。
だからこそ自分は、「使われるなら使ってやろう」の精神で活動しています。
同人CG集を何度か出していて、その際にも「無断転載お断り」とは書かず、当サイトのQRコードやSNSのアカウントを記載しています。
CHECK!
最後まで気分を損ねないで気持ちよく見てほしいし、転載でも興味を持ってもらうため。これはそういった配慮と策なんですね。
ピンチをチャンスにする感覚に近い。ネット・SNSはそういう世界だから、文句ばかり言うより利用・画策するほうが合理的。

実際にそれでサイトのアクセス数や、SNSの閲覧数が上がった(バズった)ことは幾度もありますし、むしろそれでありがたいことに、自分は一部界隈から知名度をいただいたクチです。
もし「商業の著作物と同じように、著作権保護の旨を明記」という観点で入れるのならば、自分なら目立たないように小文字で書きますね。
誤解しないでいただきたいのは宣伝に利用して権利放棄しろではなく、ネット・SNSはそういう世界だから、したたかに考えたほうがいい趣旨です。
同人誌やCG集の奥付で目立つように書く人は、文字が大きい=自己顕示(けんじ)欲が強いと見るね。

この記事で一番言いたいこと
CHECK!
どう書くかは自由だが、ネット・SNSに作品を載せる意味・覚悟とスジはとおすべき。転載・自作発言の逆利用も手段のひとつ。絵描きに伝えたいのはここで、無断転載・自作発言禁止を掲げるのは自由ですが、個人的には無意味・非生産的だと思わざるをえません。
ネット・SNSに載せる本質や、二次創作ならちゃんとスジをとおして行動してほしいものですね。
作品に署名をしないのは「玄関の鍵をかけない」のと一緒で、空き巣は犯人が一番悪いのは言うまでもないにしろ、それで無施錠だったら、

なんで鍵をかけないの? 空き巣に「どうぞお入りください」と言っているようなものでしょ?
そう親族や警察から言われるのがオチでしょう。
署名も本質的には同じで、作品のネット・SNS掲載はフリー素材提供のようなものであり、署名は作品だけで誰が描いたかがわかる自己防衛です。
書かない選択を選んだ責任・覚悟をとらず、100%他責的な態度は「最高にカッコ悪い」ですね。
「無断転載禁止」「自作発言NG」と書いて抑止できるのなら誰も苦労しないですから、絵の中に著名を書いたほうが、興味を持った人は検索してくれるし、アクセスアップにつながります。
とはいえ、無断転載・自作発言で利益の損害、権利元・作者を傷つける、コピーライトや署名を消すなどの場合は、大人の対応が必要です。
その点はしっかり線引きできるよう、語弊のないようにお願いいたします。

























