
2022年あたりから、AIが作成した生成イラストが投稿されるのが当たり前になりつつある一方、AIイラストをあたかも自分が描いたかのように扱う人も問題になっていますので、
- 自作発言による問題点
- 生成AIの悪用・モラル
- AI技術を絵描きはどう思うのか
- AI絵作成者によるAI絵師の自称
- 生成AIの二次創作・違いについて
このあたりの話を前半に述べ、記事の後半では、

AIイラストの学習行為は作品への著作権侵害行為で規制すべき! 世界中でもその流れになっているし生成AIは不要な技術だ!
絵描き(クリエイター)たちが「AI学習禁止」と書き、生成AIを完全悪だと拡散する反AI行為など、これらの問題点・是正についても述べていきます。
反AIの絵描きも、敬意がないAI絵作成者も、行動に問題点があるしリテラシーが低いかと。

個人の見解です
ほかの意見もご参照ください
AIイラストとは


AIイラストの定義
AIイラストは文字どおり、「AIの生成技術によって描かれたイラスト」のことをさし、『NovelAI』や『AIピクターズ』などが挙られます。
生成AIイラストを語るには、以下の用語をしっかり理解することが前提です。
- 【t2i】文字(プロンプト)情報からイラストを生成する。
- 【i2i】特定の絵・写真を原型にしてイラストを生成する。
- 【LoRA】AIイラスト作成に必要な情報(絵柄など)が内包された学習モデル。
作品制作に生成AIを使うという意味では、2020年に手塚治虫の作風をAIが学習し、それをもとに人間の手で作成された『ぱいどん』が話題になったこともありましたね。
キャラクター原案・プロット作成はAI、残りの部分は人間の手を使うという、制作の補助ツールでAIを用いた感じですね。

ぱいどん AIで挑む手塚治虫の世界|講談社コミックプラス
AI手塚治虫『ぱいどん』はコンテンツ産業にとってどんな意義があった? クリエイターがAIに求めたこと|リアルサウンド ブック
イラスト生成AIに対するよくある誤解|Qiita
AIイラストのモラル・権利問題


世界でも社会問題に
なりつつある
しかしAIイラストには問題点があります。
たとえばAIイラストは2024年現状の法律だと、著作権における「創作的表現」とは言いがたいため、著作権が発生する可能性は低く、権利関係がわからない状態になります。
ただ、AI絵を自分である程度加筆すれば「創作的表現」になり、著作権は発生するというのが現状の認識のようですね。
将来的にAIイラストの著作権がどうなるかは明確になっていくでしょうが、今のところはその認識であることは留意したほうがいいでしょう。
なお著作権上だと創作の多様性を保護する観点から、画風・作風は創作的表現にはあたらず、著作権の保護の対象には含まれないとされます。
【著作権法 第二条】
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。(原文ママ)
e-Gov法令検索
著作物でないもの(単なるデータ(事実)やありふれた表現、表現でないアイディア(作風・画風など))は、著作権法による保護の対象には含まれません。
(中略)
AIが自律的に生成したものは、 「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物に該当しないと考えられます。
(例)人が何ら指示※を与えず(又は簡単な指示を与えるにとどまり) 「生成」のボタンを押すだけでAIが生成したもの ※プロンプト等
これに対して、人が思想感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当し、AI利用者が著作者となると考えられます。
令和5年度 著作権セミナー AIと著作権|文化庁
「創作的な表現」アイデアと表現の違い|弁護士法人横浜パートナー法律事務所
AIが描いたイラストの著作権はどうなる?|Tokkyo.Ai
実際にあったトラブル
ゆえに下記の行動をすることはトラブルになりかねません。
- 絵・作風を模倣して悪用
- 作家の絵・自作絵と誤認させる
- 二次創作的作品の有償販売
実際、『mimic』は顔の作風をまねるAIイラストのため悪用され一時は騒動になり、権利関係の都合から、AI絵の自作発言をバーチャルVTuberが注意喚起するケースも見られます。
模倣・盗用問題を言われるのは、i2i・LoRAが多いですし、それを作者の絵だと誤認させたり政治的主張や過激な内容を出してしまうと、ブランドイメージを損ねてしまうこともありえます。
これは法的問題ではなく、モラルの問題です。
作品・作風が模倣され、誤認させられたことを被害報告するクリエイターも見られますからね。

最近話題のAIイラストについて調べてみた|税理士の進捗管理なら株式会社AQUARIZE
2022年11月末、今からAI画像生成を触りたい未経験者向け記事|note
pixivの生成AIイラスト大量投稿
pixivだと作成時間が短いせいか、AIイラストが大量投稿されて純粋な絵描きのイラストが流れることもあり、pixiv検索のアクセス解析を見てもAIを除外して検索される方が多いです。
作品キャラクター絵をAIで作成し、二次創作として有料リクエストや支援サイト投稿、グッズ販売など、加筆を特にせず有償行為をする人もいます。
このように、AIイラストはモラルと権利への問題が見られます。

追 記
2023年6月現在、pixivは検索からAI作品を除外できる設定が追加、Fantia・FANBOXはAI絵の投稿を現状禁止、SkebもAIイラストのリクエストを納品不可にしています。AI絵の自作発言はウソだとバレやすい理由


すごく気になる…
技術としては進化を期待する一方、絵描きの自分から見るとAIイラストは違和感が目立ちます。
CHECK!
絵描き(細かい部分に気づきやすい人)から見たら自作発言はウソだとバレやすい。なぜ自作発言のウソがバレやすいのか、理由をひとつずつ述べていきます。
ただしこれは2024年現在の状態であるため、将来的にはこの違和感が低減される可能性があることは留意願います。

細かい描写・表現の整理ができない
AIイラストは顔や体のポージング、自然風景こそ描けているものが多い一方、細かい部位の表現・表現の整理は2024年現状の技術ではできません。
細かい描写・表現の整理というのは、
- 手や足の指
- 目のハイライト
- 口内の描写
- まぶたや眉毛の表現
- 人工物(小物)のデッサン
- 線画部分の入り抜き
- 背景・人物の手抜き表現
このあたりは見る人が見ればすごく違和感を感じます。
自分は口内をしっかり描くタイプの絵描きだから、AI絵の口内描写(舌・歯・口蓋〈こうがい〉)はすごく大ざっぱなんだよね。

人間だからできる表現
自分で言うのも恐縮ながら、口内描写は児童期から成人期までの歯の本数の違い、口腔・咽頭の解剖学的構造までを網羅した上でデフォルメする高等表現をしていると自負しています。
デッサン部分は将来的に改善されるでしょうが、超マニアック知識を絵に最適化する作業は、人間だからこそできる業(わざ)です。
足の裏をくすぐれば足指が丸まる、熱いものを触れば耳たぶを触るなど、人体の反射描写もAI絵で見たことはないね。

ほかにも前髪とまゆ毛・まつ毛の境界線がゆがんでいたり、指の本数が多かったり少なかったり、造形の途切れなども、AIイラストに見られがちでわかりやすい特徴です。
絵を整理する手抜き表現もセンスが問われ、

キミは適度な手抜きをすることを覚えなさい。
美術学校時代に先生から言われたぐらい、構図設定には必要な要素です。
AIにも手抜き表現はできるものの、建造物が途切れているなど、キレイな手抜きができていないパターンが多々見られます。
ちなみに手と足は表情豊かなだけに描くのが難しい部位で、ここを見れば絵描きの技量がわかる場所です。それこそ老若男女の手足が秀逸(しゅういつ)に描ける人はほぼプロです。
耳の描写も絵描きのクセが出やすい場所。作品名は忘れたけど、登場人物が耳の描きかたで誰が描いたのかを把握するシーンがあった。

クセや遊び心・情景がない
AIイラストは総じて絵は美しくキレイだとしても、クセがなさすぎてパターン化されているため、よくも悪くも没個性ですし、遊び心がありません。
絵の中にも、なぜこの人物は笑い、怒り、泣くのかといった状況や姿勢、風景・時間・温度の情景意図の描写・目的がAIイラストには無いんですね。
個人的にAIイラストで一番違和感を感じる部分。パッと見が上手くても、内面性がなくて絵的につまらない。

AIイラストは良く言えば「トレンドを踏まえた模範絵」、悪く言えば「没個性のつまらない絵」です。

- 「ミリタリーへの愛情がスゴい」
- 「人体を上手く崩していて秀逸」
- 「ものすごく手フェチな人だなぁ」
- 「よく見たらこういう状況なのか」
- 「デザイン意図の作り込みが細かい」
そういった個性やこだわり・作風、状況を探す面白みに欠けます。

人物の性格や経緯がわかる「意味がある遊び心」を入れて、一度見て二度おいしい絵を描きなさい。
これも美術学校の先生に言われたことで、オリジナルキャラクターをつくるとき、スチル(場面)絵を描く際は必ず心がけています。
さきほど述べたマニアック知識の部分と同様に、ここもAIには描くことができない、自身の内面や意図・こだわりを作品に反映できる人間の絵描きだからこそできる芸当です。
プロは小物ひとつにも、しっかり意味を込めていますからね。

「なぜこのヘアピンか」「髪型・髪色の意味」「アクセサリーの暗喩(あんゆ)」など、ものすごく計算してキャラクターを描くよ。

絵は絵描きの研究成果物

だからこそ自作絵発言は「バレるウソをついている」のと同じで、そんなことをされていい気分をする人は少ないですし、場合によっては人間性を疑われることもあります。
絵は絵描きの研究成果物であり、上手い人は解剖学やデッサン・色彩学など、技術的な勉強を何年・何十年もしているから個性やこだわりも出やすく、それを楽しむのもイラストです。
絵が上手い人ってある意味研究者。ピカソみたいに、8歳で大人顔負けの細密な石膏やデッサンを描ける超天才は1%もいない。

絵描きにはあってAIにはない決定的なモノ
絵描きの絵と生成AI絵は具体的に何が違うかを、ロジカルなフロー(論理的手順)で建設的に考えるとこうです。
- 資料などの元デザインを参照し、作成の準備をする。
- そこに経験・解剖学・物理学などの知識・研究成果を入れこむ。
- さらに自身のこだわりやフェチズム・内面・精神性を反映。
- 作品が出来上がる。
AI絵はこの「2」と「3」ができません。この「2」と「3」こそが、創作性が高い絵たらしめる重要な部分だと考えています。
AI絵は1と4で生成するし、絵のガワをマネるだけで構造やフェチズムを理解してはいない。トレパク行為も同じ。

AI絵師は「絵師」ではない


「描いている」ではなく
「指示している」
AIイラスト投稿者が『AI絵師』と自称しているのも違和感があり、なぜなら彼らはAIを使って「絵を出力」しているのであって、「絵を描いている」わけではないんですね。
揚げ足とりな言いかたであることは承知のうえで、仮にAIが自我を持って描いているなら確かにAI絵師です。しかしAI絵を投稿する人は「描いている」ではなく、「指示をしている」です。
絵師の自称・さらに有償販売する人は、「技術の研鑽(けんさん)してこなかった人が絵描きごっこをしているだけ」に見えるのが正直な感想です。
絵師を名乗るなら、そこから加筆で小物・情景を増やすなりで「創作」してほしいですね。
百歩ゆずって『AI術師』かなぁ。少なくとも絵師ではない。

AIイラストで「無断転載禁止」?

AIイラストの無断転載禁止です。
中にはこのように、自称AI絵師の人が生成AIのイラストで無断転載禁止と書く人がいます。
「AIイラストで無断転載禁止とか何様」と言いたいわけではなく、繰り返すように絵師・クリエイターかのように振るまうならば、ちゃんと「創作」をしてほしいとは思います。
ご自身で描いた作品をi2iを使って加工しているなら、まだわからなくはないですね。

AIイラストの二次創作について


AIの二次創作は
二次創作なのか?
次にpixivやSNSで見かける、AIで作成した二次創作イラストを述べていきます。二次創作の定義は各人・権利者で細部が異なるものの、
- 【二次創作】権利元の作品から、創作性が高い作品をうみだす非営利的な行為。
おおむね共通する定義はこちらになり、それを当てはめるのであれば、
CHECK!
AIが描いた二次創作は、二次創作ではない(二次創作の定義を満たしていない)。こう言えるだろうと考えています。
「創作性が高い」を満たすのが必要
権利元の創作ガイドラインでも「創作性が高い」が前提の場合が多く、ゆえにそれを満たさないAIの二次創作は二次創作とは言いがたく、『二次創作的』が適切な言いかたかもしれません。
そのため個人的にはAIの二次創作的な作品を支援サイトや、有料リクエストで有償行為をするのはオススメしません。
トラブルが発生した場合も、人間が作ったときと比べて格段にややこしくなってしまいますね。
生成AIは仕組みを考えると二次利用に近い行為。権利元はAIイラストの普及で、ガイドラインを書き換えないといけなくなるね……

生成AIと二次創作の違い

じゃあ二次創作はどうなんだよ。どっちも権利元の著作物を盗んでいるから一緒じゃん。
ネット・SNSによくある反論は、著作権を知っていればこの意見を出すこと自体がありえません。それに盗む・盗んでいないかは権利者が決めることで、第三者が言うものではないでしょう。
- 【生成AI】あくまで出力のため創作性は低い。ガイドラインで例外扱いの場合もあり、現状の法律上認められにくい。
- 【二次創作】創作性が高ければ著作権が発生。一定条件で有償OKなど、ガイドラインで許可されている場合もある。
先述のとおり生成AIで作成した絵は、公式・作家の絵を参考ではなく流用する点から二次利用のような性質を持ちます。二次創作と二次利用が別物なのは、こちらの記事で説明しています。
「うどん料理とパン料理は同じ。どっちも原材料一緒」と言うようなものです。定義がブレているんですね。

法律や専門家の意見を引用して意見した気になっているのはダメね。その先を見てほしいもの。


絵描きによる原作絵の完全再現行為
「画風をマネる」点でも、人間の描いた絵は「画風を参考にして自分のフィルターをとおし、発展させる」に対し、生成AIは「画風を流用して出力する」の違いがあります。
とはいえ原作絵の完全再現した二次創作を人間が描いた場合、公式絵と誤認させない配慮が必要です。こちらは通常の二次創作とは意図・目的が違うので、別の話になりますね。
これもこれでモラルが問われる行為。下手したら権利元に迷惑をかけることになる。

技術自体は否定しない


技術は素晴らしい
語弊がないように伝えておくと、AIイラスト・生成AI技術自体は成長を期待している立場です。
テレビなどでは昔からそうで、
- 「90年代末、家庭用パソコンを根暗な人がやるものかのように紹介」
→ 今となってはパソコンは日常的に利用されている。 - 「iPhoneが登場した当初は一過性のブームで続かないと言われる」
→ きっかけにスマホが世界で普及し、むしろ従来のガラケーは廃れた。 - 「コロナ発生時、中国の飛散防止ビニール製パーテーションをネタとして笑う」
→ アクリル板やビニールパーテーションは日本でも日常になる。 - 「3Dプリンターでできた家をお粗末だと否定する」
→ 3Dプリンターハウスは新たな建築ビジネスで競争が加熱している。
このように、工夫や技術そのものを見下したり笑うことは知見と科学への冒とくで、あとで自分の首をしめて恥をかくだけですからね。
いろいろ言いましたけれど自分が言いたいのは技術の否定ではなく、AIイラストで創作性をアピールしたり悪用・誤認させる行為であることは、留意いただけますと幸いです。
技術とモラルを混同してはいけない。包丁で傷害事件があれば、包丁が規制されメーカーが犯罪幇助になるのかな?

AI学習禁止表記やAI規制(反AI)運動について


見るがままやってない?
ここからは逆の立場になる、ネット・SNSの絵描きが中心になって主張する生成AI絵論争の問題点について述べていきます。

私が描いた作品でAI学習に使うのは禁止です!
このような宣言を書く絵描きが数多くいるものの、ちゃんと0か100の極論で考えず、しっかり理解して注意書きを書いているのかという部分に疑問を抱きます。
特定の絵を取り込んでイラストを生成(i2i)、文字情報で生成(t2i)・学習モデル作成(LoRA)を全部ごっちゃにして、AI生成NGと言う曖昧(あいまい)な絵描きが目立ちますね。
「キミって絵描きなのに創作の本質を見ていないのか」ってなる。絵って画風の「ガワ」しか価値がない産物だと思っているの?

生成AIは作風を学習しても、作者の精神性までは学習しないということです。もちろん作品の悪用・誤認行為への法整備は必要です。

著作権上における学習行為

AIイラストの学習行為は作品への著作権侵害行為で規制すべき! 世界中でもその流れになっているし生成AIは不要な技術だ!
それだけにとどまらず、こういった「規制」という名ばかりの反AIな排斥(はいせき)運動で、過激で極端な内容を拡散させる絵描きもいて、彼らの行為は称賛できるものではありません。
著作権上では、利益を不当に侵害するケースを除き、思想や感情の享受を目的としない(または軽微利用)場合、学習をする自体は問題がないと定義されています。
【著作権法30条の4(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)】
著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合
(原文ママ)
著作権法|e-Gov法令検索
作品を悪用したり、模倣して誤認・販売させる行為は問題になるも、学習自体は保証されているので、「AI学習禁止」は無知で言っているか、マイルールの範疇(はんちゅう)を出ないんですね。
ただ現状は定義が曖昧なため、生成AIの学習における解釈をどうするかの動きが出始めています。
第47条の5でも、目的上必要な限度を守っている軽微利用であれば、享受目的でも問題はないとされています。

もし学習行為を全面禁止したら、検索エンジンやフィードアプリがすべてダメになる。Webマーケティングもできなくなるよね。

AIによる画像生成は「著作権侵害」にあたるのか|東洋経済オンライン
AIで生成したものの著作権はどうなる? 注意したいポイント|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
絵描きの行動矛盾


他人に厳しく
自分に甘い
こちらの記事でも述べたように、「AI学習が嫌ならネット・SNSに載せるな」じゃなく「そういう世界で現実」ですし、言っていることは「トイレはキレイに使いましょう」と変わりません。
それから彼らの態度ですごく気になるのは、
- 「これは著作権を侵害する内容だからスクショ載せます」
→ 文章のスクリーンショットなどは引用ルールを満たさないと著作権侵害。 - 「二次創作がAIの学習に使われる! 絵描きの権利を守れ!」
→ 二次創作ガイドラインを熟読していなければ、権利を語る資格はない。
自己権利を主張しておきながら、他者の権利を確認する・守る意識がぜんぜんないんですね。特に二次創作を描く絵描きに見られがちな特徴です。
この記事で書いたものと同じ内容ではあるものの、その態度で「絵描きの権利を守れ」とAI全否定するんですから、他人に厳しく自分に甘すぎます。
これでAI全否定や自己権利主張をしているのはどうなのか。言葉悪いけどずうずうしくない?

他サイトのスクリーンショット画像を自サイトに掲載するのは、著作権法違反になりますか?|コンテンツマーケティングの成功法則!

一部分だけしか見ないのは思考を停止させる
技術そのものを頭ごなしに叩くのは、物事の悪い部分しか見ようとない視野の狭い人がすることで、技術の全否定は結果的に恥をかくだけです。
CHECK!
技術ではなくモラルの問題が本質。自動車・携帯電話・ネット・SNS・3Dプリンター・ドローンなどでもあったことであり、いつの時代も繰り返されている。これは権利侵害に泣き寝入りしろと言っているのではなく、法整備は必要だけど、悪い面と同じぐらい良い面にも目を向けて、どう活用するかを考えていくのも大切です。
二次創作をしているのであれば、自分の権利ばかり主張するよりも前に、まず相手の権利を尊重するのが最初にすべきスジではないでしょうか。
生成AIを「盗用AI」と全否定するクリエイターのずんだもん動画を見たことがあり、モラル問題を技術否定に論点すり替えていたね。

動画内ではAI推進派をさらして批難していますが、ずんだもんは個人・団体の批難は禁止行為です。

「私が気に入らないから」で動くからそうなる。権利元の利用規約を守らないでよく言えるよね。

VOICEVOX ずんだもん、四国めたん、九州そら、中国うさぎ音源利用規約|東北ずん子・ずんだもんPJ 公式サイト
X(ツイッター)の規約変更であった透かし行為


AI学習容認に反対! 作品にクォーターマーク(透かし)を入れて絵描きの権利を守ろう!
2024年10月にX(ツイッター)による規約変更が発表された際は、このような行動をする絵描きが続出しました。
公式であれば、透かし無しの現物を用意できることから理解できるにしても、それらを用意しない個人がそれをやるのはどうかと疑問ですし、本質を見るとわかりますが……
作品をネット・SNSというオープンな場所に公開した時点で、どのサービスでもつきまとう話です。そして重ねるように二次創作なら、権利関係を確認・熟読するのが礼儀・スジです。
裏を返せば、「X(ツイッター)だけ気をつければいい」と言っているのと同じなんだよね。この時点で本質を見ていないかと。

ちゃんと多角的に調べ、自分なりに考えたうえで作品に処理しているならいいにしても、

バズっていたトレンド(話題)の投稿だったから。

生成AI反対の有名絵師やインフルエンサーがそう言ったから。
上記が理由でやりはじめた人は、ちゃんと自分で考えて行動したほうがいいです。
ちゃんと考えて行動しないと、仮に反対の意思表明で別サービスに移住しても同様の規約変更があれば、X(ツイッター)と同じことを繰り返します。これって非生産的ですよね。
自分で考えずに他人の言われるがままで本質を見ないから軸がブレるし、矛盾だらけの主張をするし、誰かや何かに振り回されるし、将来も同じことを続けると思いますよ。
ひどい場合だと「ゲーム撮影画像にも透かしを入れよう」と言い出すケースも。権利元が許可してないと著作権侵害だよ?

まずは権利元を見解を先に確認するのが重要です。本当に権利者のことを考えているなら透かしを入れる発想にはなりません。


最後に:AIイラスト自体は素晴らしい技術


節度とモラルは守ろう
絵というのは絵描きの研究成果物であり、それがなくトレンドを反映するだけのAIイラストは、よくも悪くも没個性です。
- 表現者のこだわりが描かれているか
- マニアック知識が反映されているか
- 小物にデザイン意図が細かく含むか
- なぜこの人物は笑い・怒り・泣くのか
- 体のポーズ・風景・時間の意味はあるか
- 手抜きをして構図の整理をしているか
- 遊び心で一度見て二度美味しいか
上記はAIには到底マネすることができない、人間の絵描きだからこそできる業です。AIイラストは「ガワをマネた絵」でしかなく、作者の内面性や意図・情景・こだわりは反映されません。
絵描き作品・生成AI絵は職人工芸品・工場生産品と同じ

デッサン崩れは学習で将来的に改善されても、精神性の表現はそれこそAIが自我を持たないかぎりは難しく、絵描きは絵の設計・内面表現・独創性をより求められるでしょう。
ゆえに、職人工芸品と工場生産品が目的によって住み分けができているように、絵描きが描いたイラストとAIイラストは住み分けされ、成り代わらないのが個人的認識です。
そのためAIイラストが悪と言いたいわけでも、生成AI技術の進化で絵描きの立場がおびやかされる……とも思っていません。
AI絵はキレイでトレンドを踏まえているけど、つまらない絵。小物や動作に意味・必然性やコンセプトを感じない。

世間一般の人たちは絵を「見た目・結果」でしか見ない

生成AIの登場で、絵の技術がない人でも作品発表できるようになり、絵描きという行為は平等になった。
上記の意見を見たことがあり、残念ながらこれが「絵に対する世間一般の認識」です。絵の本質を知らないから、AI技術で人間の絵描きがとって代わられる、同格だと思っているんですね。
なぜなら一般の人は絵の内面性・精神性・意図には興味がなく、絵柄の好みや制作時間などの「見た目・結果」でしか判断しないからです。
人間の絵は長年の計算・研究成果かつ、作者の精神性や内面・フェチズムが込められたもので、上述のように人物の表情・動き・手足・小物・時間なども意味を設定し、計算して作画します。
この絵の本質を理解できるのは絵描きかアートコレクターだけです。
絵描きが見たら「技術・表現がスゴい絵」でも、一般人目線だと「下手くそな絵」と思われるケースはありますし、人間が描く絵の奥深さ・面白さを素人には理解されにくいものです。
ピカソがわかりやすい例ですね。彼は8歳で正確な人体を描ける天才で、キュビズムは「描く」の到達点・境地でした。

絵描きならピカソはとんでもない天才&バケモノとわかるしキュビズムも天才の発想。でも一般人は「絵が下手くそ」で片づける。

絵描きならスゴさがわかるアシュレイ・ウッド作品

© 1987-2006 KONAMI, IDW, Ashley Wood
個人的な話だと自分はアシュレイ・ウッド氏の絵が大好きで、絵描きなら彼のデッサン崩し・表現技法がいかに高度な技術であるかを理解できます。
しかし絵に興味のない人だと「下手くそだし線が雑な絵」と言われ、学生のころから歯がゆく思っているのですけれど、それが一般の認識です。
このように、一般の人たちは「絵柄が好みか・上手いか」だけで判断します。「生成AIで絵描きと同じことができる」と勘違いした人が、絵を知ったふうに語るのは複雑な気分になりますね。
上述したように、絵描きの絵・AIイラストは、職人工芸品・工場生産品のように分別されていくとは思うけどね。

絵描きがAIを活用すれば鬼に金棒
話をもどし、生成AI技術は『ぱいどん』の前書きで書かれていたように、
このプロジェクトが「人間の創作活動を支援するツールとしてAIを利用する」という、新たな可能性切り拓(ひら)いた試みであることは間違いない。
ぱいどん|TEZUKA2020プロジェクト
このように創作補助ツールとしてAIを活用する状況に進むのが、個人的な理想です。AIイラストで絵描きと同列に扱う世間の反応に違和感はありますが、AIの技術自体は否定しません。
絵描きが構図探求・トレンドの研究にAIを活用すれば鬼に金棒です。もちろん使うか使わないかは個人の自由ですけれど、色合いや構図の探求に悩む時間を制作に回せますからね。
つまらない絵と言ったけれど、作画・構図探求ツールとして助かっているよ。写真と同じく部分部分のキメラ化で活用している。

AIイラストの問題点
とはいえAIイラストを、
- 絵・作風を模倣して悪用
- 作家の絵・自作絵と誤認させる
- 二次創作的作品の有償販売
こういった権利関係を明確にできず、トラブルになりかねない行為は問題です。これは法的問題ではなくモラルの問題なんですね。
AI絵に精神性はないものの、模倣して政治的主張・過激な内容を生成して発表すれば、オリジナルの作品ブランドイメージを損ねるリスクがあり、誤認させれば風評被害にもなりかねません。
版権物を生成AIで作成して二次創作的な作品を使って有償販売するのは、創作ガイドラインを守らない有料二次創作よりも格段に権利関係がややこしい事態になってしまいます。
中にはi2iで作成した画像で絵描きに赤ペン先生気取りをしたり、勝手にLoRA化した作者の作風を当人に向けて宣伝する人もいるそうで、早急なルール整備が必要になるでしょう。
自分が偉くなったわけでもないのに、先生気取りや無許可作成を本人の前で宣伝するって、どういう思考回路なんだろう…?

絵は長年培ってきた研究成果物

絵というのは絵描きの研究成果物で、上手い絵描きほど研究に誇りを持っています。
絵描き側からすれば、研究に最低数年、制作に何時間・何日もかかる行為をインスタント食品感覚で作品発表、しかも生成技術に自分たちの研究技術が含まれているかも……ですからね。
それで自作発言や絵師を自称されても、「いや、キミ描いていないよね?」となりますし、反AIには賛同しないものの、「無許可で勝手に使う」は誰しも嫌悪感を大なり小なり抱くものです。
まあ気持ちはわからなくもない。それに中身のない作品で実績のように自慢されても反応に困る。


自作にはならないしバレやすい
生成AIのイラストはよくも悪くもクセや遊び心がなく描写に歪みがあり、細かいコンセプトや場面・アイテムの意図を含むことができない点からも、AI絵だと高確率でわかります。
手足の指などの体の細かなパーツは今後改善されていくにしても、作者のフェチズムや内面性、表情・情景の曖昧な描写、マニアックな知識、状況説明を求める絵は難しいでしょう。
AI絵を自作と称する人は着せかえ人形をオリジナルキャラクターだと言っているのと同じで、「それは創作なのか」と疑問に感じます。
絵を描く場合と比べ圧倒的に制作時間が短く、大量投稿で「絵描きが描いたイラスト」が流れる事態も発生しています。

pixivの生成AIイラスト大量投稿・有償販売誘導はえげつない状態。AI絵指定を無視する投稿者もいるから見る側は大変。

AI絵師は「絵師」なのか?
生成AIで絵を投稿する人が『AI絵師』と自称することにも違和感があって、揚げ足とりかもしれないことは前置きしつつ、個人的にAI絵師は絵師ではないと考えています。
なぜなら彼らは「AIで出力している」のであって、「絵を描いているわけではない」からです。小説家をイラストレーターと言わないのと同じです。
絵師を自称・有償販売もする人は、「研鑽しなかった人が絵描きごっこをしているだけ」にしか見えないですし、名乗るなら加筆などをして「創作」をしてほしいですね。
『AI術師』のほうが、まだニュアンスとしては近いかなぁ。

「AI学習禁止」は自分を棚に上げていると思われる
一方で絵描き側にも問題があり、AI学習禁止を表明する絵描きは数多いですが、
- AIイラストがどう作られているか
- 生成AIに種類(t2i・i2i)があること
- 著作権上の学習行為はどうなっているか
- ネット・SNSに絵を載せるということ
- 技術と人間のモラルは別問題
- (有料)二次創作ならガイドライン厳守
百歩ゆずって、上記すべてを理解した上で言うことが前提で、それをしない・理解しないまま、

なんとなく嫌だ。

周りが表明しているから。

SNSで話題になったから。
と、深く考えずに「AI学習禁止」をかかげ、それで創作ガイドラインが不明な(有料)二次創作をしているのを見ると、ちゃんと調べないし他人に厳しく自分に甘い人だなと感じます。
さきほど「作品は技術・精神性や内面・フェチズムが込められたもの」と説明しました。
生成AIに反発する絵描きも絵の本質(技術と努力)は見られても、創作の本質(画風・効率・結果だけが作品ではない)を見ない人が多いです。
ビックリするぐらいそんな絵描きが多い。自分からすれば高度なギャグにしか見えないね。

結局は「私が気に入らないから」
AI規制という名の排斥運動(反AI)や、AI絵に触れた人に噛みつきまわって一方的に絵描きの権利を押しつけがましく強要する人に関しては、同じ絵描きでも同意しかねます。
「絵が学習される=私自身が勝手に侵害される」と考え、生成AIで作品自慢や絵師を見下す一部のAI絵作成者に、不快の念を抱いているんですね。
確かにモラルが問われるAI技術の悪用には法規制が必要でしょう。しかし彼らの主張は「私が気に入らないから」の一言で終わる話です。
だから行動が矛盾して本質も見ないし、文書などのスクリーンショット画像を法的な引用ルールを守らずSNSにさらし、権利を言いながら二次創作ガイドラインを確認せず守らないんですね。
いわゆるツイフェミやポリコレ棒と言われる人と同じです。正しい議論より個人的感情を優先するから起きるんですね。

どちらにも姿勢に問題がある
AIを悪用する行為が多いのは事実であり、フェイクニュースによるデマや生成AI(主にi2i)による模倣行為やポルノ画像の大量生産など、世界的にも問題視されています。
無断でLoRAを作成して本人に宣伝したり、絵描きに敬意を払わないなど、モラルに欠く生成AI利用ユーザーは自分もどうかとは思いますね。
一方で反AIを掲げて本質を見ず自己権利を主張し、相手の権利を無視して法律を引用しただけの意識高い系絵描きもまた問題です。
これってどちらもカルト宗教の信者です。異なる宗派同士がそれぞれの価値観・正義で対立して、生産性がない不毛な争いをしているだけでしょう。
ネット・SNSにおける二次創作・生成AI問題論争の大半は信用しないほうがいい。あれは彼らの性格の悪さが出る。

0か100の極論、答えありきが多く、結局は「私が気に入らないから」で「どうするか」という建設的内容に欠きます。

AIイラストは過渡期
2024年現在、まだAIイラストは過渡(かと)期ですし、人間の意識も法的な問題もまだ追いついていない状態で、絵描き・AI絵作成者・閲覧者も明確な意識作りや法整備は必要です。
自動車・ネット・SNS・携帯電話・3Dプリンター・ドローンなど、科学技術やサービスが発展するたびに悪用され、モラルに欠く行為が出てきたものです。
CHECK!
AI絵・生成AI=悪はくもったメガネで見ている。包丁で傷害事件があれば包丁規制、メーカーは訴えられるかという話と本質的に同じで、技術とモラルの混同はスジ違い。AIイラストや生成AI技術をただ否定したり悪用するのではなく、AIの技術とどう向き合うのか、利点と活用、可能性を見出す方向へと、絵描きの自分はそう考えたいですね。
自分がAI学習禁止をかかげることは現状ない。住み分けが可能な分野で技術の進化自体は素晴らしいし、悪質ではない社会通念上の範囲内なら、見守る姿勢。



