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雑記

例の東京五輪エンブレムのパクリ問題で、デザイナーの姿勢だったり、すぐパクリと呼ぶ風潮に違和感を感じましたので、その見解を述べていきます。

一個人の見解です ほかの人の意見も参照願います

東京五輪エンブレムのパクリ問題について

デザイナーとしての
姿勢に疑問

まずエンブレム問題。簡潔に自分の意見をまとめると、

  • 「あのシンプルな造形をパクリ呼ばわりは言いがかり。しかし佐野氏の弁解には違和感」
  • 「ネット・SNSで見られた、擁護(ようご)派のデザインに対する意識の形骸化」
  • 「写真の無断使用はさすがに問題。しかも元の著作権名を消すという悪質さ」

このようになりますね。

デザイナーはパクリをするのが普通

語弊のある言いかたにはなりますが、デザインの世界(ロゴ・シンボル・レイアウトのデザインなど)でパクリは普通です。

ただしこれは、「コピーやトレースをして横取りする」という意味ではなく、

CHECK!

世の中のデザインは既存物の組み合わせで作られていて、クリエイターたちは既出のテーマやパーツ、流行を組み合わせて、新たな価値をつくり上げるのが仕事。

デザインには法則というものがあり、「嫌悪感を抱かない色配色(ドミナント配色など)」や「安心できる大きさ・配置(貴金属比など)」があります。

これは伝統のほか、人間工学や心理学のレベルで科学的に決まっていて、その中で、しかも記号の組み合わせのようなデザインをするわけですし、時代背景や流行も影響します。

ゆえに「幾何(きか)形態の組み合わせのため、意図せず偶然に似てしまった」ではなく、「類似性はあるが、デザインに対する表現や考えかたが違うので似ていない」を主張したことには違和感がありましたね。

ましてや、一度もパクリをしたことがないって、デザイナーだったらまず出てこない言葉です。全くパクらずにそんなことができるプロは見たことがありません。

アーティスト気取りのデザイナー

そして佐野氏のみならず、ネット・SNSのプロデザイナーの一部に見られたのが、ロゴ・シンボルデザインをアート作品に見立てていたことです。

自分もデザインを作る身なので言わせていただくと、ロゴ・シンボルデザインにアートの考えかたを持っていくのは、大きな勘違いです。

CHECK!

ロゴ・シンボル・レイアウトなどデザインは、依頼者が考える意図を反映するのも大切だが、世間一般の人たちに、何をさしているのかをわかりやすく理解してもらうための指標。

コンセプトを制作者が説明するのならまだしも、赤の他人デザイナーが、

  • 「このロゴはこの作家の意匠を彷彿させる〜」
  • 「この色合いは〇〇時代でよく見られた手法を思い出す」

とか言い出すって、ロゴ・シンボルデザインの本質をはき違えていて本末顛倒(てんとう)であり、アーティストをしたいんなら、モダンアートの世界でやってくれませんか?」……ってなりますね。

デザイナーは相手の意向よりも自己満足を優先したり、独りよがりになって仕事をする人が少なくないですけど、上記の人たちはおそらくそのタイプなのかもしれません。

ネット・SNSにおけるパクリの疑問

なんでもかんでも
パクリと呼ぶ風潮

この問題でパクリという言葉がいろいろ使われましたが、ネット・SNSにおけるパクリの使いかたについて疑問を抱くので、ついでにそちらも挙げていきましょう。

似ていればすぐパクリと呼ぶ

たとえば、「この作品は〇〇と似ていますが、〇〇のパクリですか?」と言う人たちですね。「似ていますが」までならわかりますけど、二言目に「パクリ」という言葉が出るのはいかがなものかと。

経験上、このようにすぐパクリと言い出す人は、クリエイティブをしたことがないのだろうと推察(すいさつ)します。

完全な無から有をつくるのは、デザイン理論が発達し、様々なデザインがあふれる今の時代では困難で、既存のものを組み合わせて新たなアプローチをするもので、先人たちが積み上げたデザインの人体工学・心理学・トレンドは「解」です。

それも含めて「あれもパクリだ」「これもパクリだ」と言えば収拾がつかなくなりますし、それから外れて奇をてらうことをしても、いいデザインにはならないでしょう。

その理屈でいうと…

もし、彼らの理屈を用いて極端に言うならば、昨今のストーリーマンガはすべて手塚治虫のパクリですからね。

また、女の子といった可愛いキャラクターのほっぺに「///」を入れるのも、コマ割りにリズム感を作るのも、「シーン」という効果音(オノマトペ)も、すべて手塚治虫が発明したものとされています。

ストーリーマンガを見て「似てるけど手塚治虫のパクリですか?」とは言わないでしょう?

流されるままパクリと呼ぶ

自分の考えを持たないか考えないので、周りの意見や主張に流されて(なんとなく似てるから)パクリだと言っている状態ですね。

佐野氏の件は東京五輪という一大イベントなだけに注目度が高くなっただけであって、世の中のデザインは似ているものであふれかえっています。

先に述べたように、すべてパクリと言えば収拾がつかないし、確かにロゴは対象のシンボルではありますが、主役ではありません。

流されて言っているのは意見ではありません。「意見をした気になっている」だけです。

先に知ったものに似ていればパクリ

こちらは元ネタを知らないがゆえに勘違いしているケースで、元となった作品などをパクリという人って、たまに見かけますよね。

一例を挙げると、ニンテンドーDSソフト『押忍!闘え!応援団』シリーズを『Osu!』のパクリと(ネタか本気か)勘違いする人がいます。

しかし、応援団の海外ファンがまねて作ったゲームが『Osu!』ですから、あえて言うなら『Osu!』がパクリなんですね。

自分が先に知ったものがオリジナルで、それ以外はパクリって暴論です。それは「無知」ではなく「無恥」です。

パクリと騒ぐことに便乗する

まとめサイトや一部のSNS、掲示板のコメントで見られる、指摘をぶつけてデザインのありかたや議論を交えるのではなく、声高に騒いでその人の地位を下げ、成功すれば大勝利だと叫ぶ様式ですね。

成功者へのひがみか、社会や生活に不満を抱く人が、都合よくストレス発散しているだけか、誹謗(ひぼう)中傷行為に依存して、あたかも薬物中毒のようになっているのか……

そのあたりの心理状況は不明ですが、少なくとも、関わってはいけない人たちであることは確かです。

パロディ・オマージュ・リスペクトもパクリ

  • 「製作者がパロディだとしても、見る側には関係ない」
  • 「パロディでも元ネタの作者がパクリと感じればパクリ」

との意見を見かけまして、需要と供給の関係、受けとりかたを考えさせられます。

後者に至っては、Wiiで唯一のZ指定(18歳以上)ゲーム『MADWORLD』で筋肉バスター的な技が出てきて、作者のゆでたまご氏が激怒したケースもありました。

クリエイター側は明確に違うと表明し、ユーザー側は結局は同じだと主張する。主観なだけに、これは平行線の議題なのか……

ロゴの件と同様に、クリエイティブをする上でパクリ自体は普通です。

これも繰り返しになりますが、様式・伝統・統計を踏まえるパクリは普通であるという話です。悪意あるトレース行為や、権利や知名度に寄生したパクリの話ではありません。

最後に:デザイナーの姿勢も、パクリ呼ばわりする風潮もどうかと思う

デザイナーの世界、特にロゴやシンボル、レイアウトなどの世界では、既存物をパクって新たな価値を見い出すことは普通です。

ただしこのパクリは「トレースや模倣で権利や影響を横取りする」ということではなく、「先人たちが積み上げてきた理論・人間工学・心理学・流行を取り入れる」という意味です。

これらのデザインの本質は「見る側にわかりやすく伝えること」であり、アーティスト気取りをする人はそもそも、デザインの本質を理解していないんですね。

また、すぐパクリパクリと呼ぶ風潮に疑念を抱かないのは、自分からしたらリテラシーが低いと思う人がやる行動だと思います。

開口一番パクリ、便乗してパクリ、後から知ったものをパクリと呼ぶのって、これを思慮深い意見だとは思えないですね。まだパロディとパクリの境界線を語るほうが建設的です。

デザイナー側も言う側も、その点は反省して考えるようにしてほしいですね。

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  • 赤竹ただきち
  • 赤竹ただきち  Tadakichi Akatake

評論ができる人と評論家気取りの違いは、対比するとよくわかるよ。

評論できる人は論理的で言葉を選ぶ。評論家気取りは感情的で言葉を選べない。

評論できる人は正しい批判ができる。評論家気取りは文句や悪口を批判だと思っている。

評論できる人はリテラシーが高い。評論家気取りはリテラシーが低い。

評論できる人は意見される覚悟がある。評論家気取りは意見されると逆上する。

評論できる人は思いやりがある。評論家気取りはただの自己満足。

評論できる人は実生活でもはっきりと意見を言える。評論家気取りはネット・SNSの世界でしか主張しない。

自分のいる会社はちゃんと評論ができて、自分の意見を持っていないと働けないから、本当にいい訓練になる。

イラストレーター・ライター・フロントエンドエンジニア・WEBデザイナーの京都生まれなウサギ好き。性別問わず好きなタイプは「反省から学ぶ能動的な人」。物事を定義づけし、見解を交えてわかりやすく解説するのが得意なため、各所でご好評の声を頂いております。

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