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劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲EVOLUTION』の感想です。

98年に公開されたアニメ映画(以下、オリジナル版)のリメイクなので、ストーリーは変わっていませんから、ネタバレありきで書いていきます。

ネタバレ注意 この記事にはネタバレが含まれています

簡単なあらすじとおさらい

書く必要はないでしょうが、一応『ミュウツーの逆襲』という映画のあらすじとおさらいをしておくと、

  • ミュウの化石から生み出された最強のポケモン「ミュウツー」が、自身の存在意義を自問自答する葛藤(かっとう)がテーマ。
  • 人間のエゴやごう慢とも言える振る舞いを見て、自身を生み出した、利用しようとする者達への逆襲(復讐ではない)の物語。
  • 故首藤剛志氏による哲学的なテーマや「クローン」「いきものとは何か」を問う、大人でも考えさせられる内容。子供向けと片づけられない魅力から「劇場版ポケモンの原点にして頂点」と公式も称するほどに(特にリアルタイム世代から)根強い人気。
  • 主題歌が小林幸子氏(オリジナルも今作もボイジャー役として劇中に出演)。

簡単に書けばこのような感じでしょうか?

自分も子供の頃、映画の後も地上波放映やビデオで何度も観返したほどの思い出深い映画です。ただ観返したとはいえ、大人になった今は細かいところまでは正直覚えていません。

しかし今思い返せば、後半のミュウとミュウツーの技を受けたら石化して、涙で復活するなんて展開は謎だし、20年前ならともかく、現代ならご都合主義展開とも言われかねない。

しかしたとえコピーだろうが「いきもの」だから、同じように悲しんだり泣くこともでき、命があるんだというシーンでもあるんですけどね。

オリジナル版との違い

先述のとおり、ストーリーはほぼ同じですが、所々で時代に合わせた変更がなされています。

一番印象的だったのが、ボイジャーのセリフが「波止場のカモメに聞いてみな」が「波止場のキャモメに聞いてみな」になっていて、キャモメの存在が触れられていたこと。

キャモメはゲームボーイアドバンスの『ルビー・サファイア』から登場したポケモンなので、オリジナル版公開当時はいなかったですからね。

また嵐の中でミュウツーの居城(ポケモン城)まで行く際、途中まで変装したロケット団が送迎するなど、劇場2作目の『ルギア爆誕』にもつうずるカットが追加されていましたね。

  • 完全にオリジナルBGMを流用をせず、昨今のアニメポケモンで使用されている楽曲も所々交えられている。
  • 序盤の研究所が、液晶ブラウン管モニターからエアディスプレイやホログラム表現が中心。
  • ミュウツーやボイジャーなど主要人物や一部を除いて新規配役(佐藤綾音氏や神谷浩史氏など、声優ファンの人からするとかなり豪華。レイモンド氏の再起用は嬉しかったけど玄田哲章カメックスじゃないのは残念)。
  • フシギバナツーが、当時なかったリーフストームを使う。
  • サトシが石化するシーンで、石ではなくブロンズのような光沢感ある表現に変更。

ほかにも見られた変更箇所として、

など、現代の時代風景やポケモン事情に合わせられ、今作も『キミにきめた』と同じく、「まだ151匹+αしかいなかった世界ではない」ということになります。

3DCGだからこそできる表現

昔、ディズニーの制作スタッフインタビューで、「もう手描きの2Dアニメーションはやらないのか」に対し、「確かに手描きの魅力はある。でも衣服や広い範囲のタトゥー、乗り物の細かいディティールは3Dだからできるんだ」という話がありました。

今作でもサトシたちの現代に即した衣服の細かいディティールやポケモンの毛並み、ポケモン城のギミック、アーマードミュウツーのデザインを見て、まさにそうだなと納得しますね。ロケット団本部のシーンなんて3Dじゃないと表現できない。

あの団員数ははもうギャングではなく、企業国家と言うべきレベル。

今作は「劇場公開版」準拠

劇場公開版を元にリメイクされているので、完全版で描写されていたアイツーや、幼い姿のミュウツーは登場しませんでした。

個人的にはフジ博士の人間性・心情がよくわかる部分なので、残してほしかったなと思う反面、当時は映画連動としてやっていた、ミュウツーに外装を取りつけて(アーマードミュウツー)、最強のポケモンを制御しようとしたサカキがミュウツーを利用するシーンがつけ加えられています。

あの頃はポケモンショックの影響でアニメが長期間休止してしまい、このアニメと映画の連動が上手くいきませんでしたからね。ストーリーを担当した首藤氏も悔やんだであろうこの要素を、今作ではキレイにつなげています。

「首藤氏は、これをやりたかったんだろうな」という想いを、20年以上の時を経て実現したのは感慨深いものがありますね。

また本作のラストカットで続編スピンオフにあたる『我ハココニ在リ』につながるシーンをつなげていたのも、長年のファンからすれば嬉しいところでしょう。次は我ココのリメイクかな?

アーマードミュウツーも、ただビジュアルを現代向けに修正しただけではなく、パワーを抑える以外にも、物理的に拘束できるように変形するギミックがあったのは、いい改変だったかと。

気になった部分

進化した美しい映像表現が魅力の本作ですが、一方で「オリジナル版のほうがよかったのでは?」と思う部分もありましたので、こちらも箇条書きします。

  • ムサシのテンションが真面目気味(「だーれだ?」→「ピカチュウ♪」が「ピカチュウ?!」になっている)
  • 石化したサトシとピカチュウを見て、涙を流すポケモンたちのシーンが無音になっている(オリジナル版は声を荒げるポケモンたちの鳴き声があった)
  • 終盤の「みんな、どこへいくの?」と呼びかけるサトシのカット(本作は見下ろし視点、オリジナル版は横顔のアップ)

思い出補正もあるでしょうから一概には言えませんが、個人的にそう感じたので述べさせていただきます。

総評:リメイクでも『ミュウツーの逆襲』は傑作

オリジナル版を一字一句すべてのシーンを覚えているほどの人だと、変更箇所は気になるかもしれません。

ですが映像表現の進化や、新録でも遜(そん)色がないミュウツー役の市村正親氏、ミュウ役の山ちゃんこと山寺宏一氏、ボイジャー役の小林幸子氏の演技力は素晴らしかったし、『ミュウツーの逆襲』という映画のストーリーの哲学的な魅力の再確認した映画でした。

なおパンフレットには、当時と同じく古代ヒエログリル風ミュウのポケモンカードが復刻されて封入されているので、リアルタイム世代の人こそ、ぜひパンフレットも買ってみてください。

大人になってから観ると印象が変わってより深く考えさせられるからこそ、不屈の名作と言われる所以(ゆえん)ですね。

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  • 赤竹ただきち
  • 赤竹ただきち  Tadakichi Akatake

評論ができる人と評論家気取りの違いは、対比するとよくわかるよ。

評論できる人は論理的で言葉を選ぶ。評論家気取りは感情的で言葉を選べない。

評論できる人は正しい批判ができる。評論家気取りは文句や悪口を批判だと思っている。

評論できる人はリテラシーが高い。評論家気取りはリテラシーが低い。

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イラストレーター・ライター・フロントエンドエンジニア・WEBデザイナーの京都生まれなウサギ好き。性別問わず好きなタイプは「反省から学ぶ能動的な人」。物事を定義づけし、見解を交えてわかりやすく解説するのが得意なため、各所でご好評の声を頂いております。

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