
以下から『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(スマブラSP)』の感想です。
アドベンチャーモードの『灯火の星』のネタバレは極力控えつつ、オフライン大乱闘だけでオンラインモードは未プレイなので推測と情報のみ取り扱います。
なおこの記事は、今作や開発側の問題点記載が多いことをあらかじめ伝えておきます。
過激な言葉を使っているとかはなく、正しい批判の精神で書いていますが、純粋に楽しみたい方、それだけで不愉快に思われる方はそのままブラウザバックして閉じてください。
コレクション部分は昔のほうが好きだったけど、ゲーム自体はよく作り込まれた良作・集大成作品だったと先に言っておくよ。

シビア表現注意
目的・本質を見定めてください
キャラクター・ステージ最多


シリーズ集大成
キャラクターとステージの多さはシリーズ最多で、歴代の過去ステージも「ほぼ」出ています。
「ほぼ」と書いているのは、セクターZ・ポケモン亜空間・オービタルゲート周域などのステージが未収録のためです。

なお歴代ステージは流用ではなく、ちゃんとHD画質でポリゴンから作り直されています。
ヤマブキシティやプププランドなど、64時代特有のテクステャの荒さの雰囲気を完全再現し、ハイラル城のようにテクスチャがそれなりにキレイになって、画面映えしたものまでさまざま。
特にハイラル城は思い出深いステージなだけに、当時の記憶が蘇って嬉しいものです。もちろんすべての戦場・終点化の対応もいいですね。
ただ数が多すぎるので一画面に収めるグリッド表示(画像をタイルのように並べる方法)のみならず、サムネイルの大きさを変更、リスト表示による並び替え機能も欲しいところです。
今作のステージ無線


『X』からの要素
シャドーモセス島のスネーク無線はスマブラX当時のキャラクター限定で、以降に新規追加されたファイターの無線新録はされていないようです。
エンジェランドのパルテナ天界漫才は全員分収録され、リンクなどの一部キャラクターも新録されているものの、フォックスたちの無線については、軒並み削除されていました。
元作品は声の変更どころか世界観もリセットされた状態ですし、クリスタルがいると不整合が生まれてしまうからでしょう。クリスタルもアサルトの戦闘機デザインは好きなだけに残念ですね。
でもスピリッツやアシストフィギュアにクリスタルやアパロイドはいる不思議。

アドベンチャーモード『灯火の星』


© 2018 SORA, BANDAINAMCO, Nintendo, iNiS
オフラインシングル要素である『灯火の星』は、スマブラXであった亜空の使者とは違い、広大なフィールドを探索してスピリッツやファイターを解放していくシンプルなモードになっています。
ムービー演出も今回は控えめですけれど、むしろ亜空の使者はムービーの影響でロード時間も長くなった弊害も見られましたから、結果論的には仕方ないと思います。
亜空の使者のフィギュア集めに苦労した人も多かったせいか、今作はスピリッツの性格や特徴を反映した擬似バトルで勝利して入手するか、ショップ購入するシンプルな要素に変わっています。
スピリッツやアイテムを購入できる商店や強化できる道場は、灯火の星を遊んでいなくても覗くことができ、セットを保存しておけばメインの大乱闘でも使用可能です。
今作は全体的にシステムの利便性が練られていますね。

モードの欠点
達成率の確認はわかりにくく、異世界エリアなら星マークがつくものの、フィールドではわからないのでしらみつぶしになってしまいます。
100%達成率には2種類のバッドエンドと真エンドをすべてクリアしないと見られないのも不親切に感じましたね。
また2周目でも同じスピリッツが配置されるので、あまり面白くないですし、フィールド探索と達成状況を明確化し、2周目でも楽しめる工夫があれば、もっとよくなったかもしれません。
わかりやすいが困惑した変更

© 2018 SORA, BANDAINAMCO, Nintendo
今作の画面レイアウト(UI画面)は見やすくわかりやすいのは個人的に評価点です。一方で、仕様変更も多く最初は困惑もありました。
たとえばこれまで『シンプル』と呼ばれていたモードが『勝ち上がり乱闘』に表記変更され、『大乱闘』モードもこれまでのように、押してすぐキャラクター選択画面に入るのではなく、
- 大乱闘
- 設定したルールを選択
- ステージ選択
- キャラクター選択
- 開始
に変更にされていて、慣れてしまえば問題ないとはいえ、やり始めた当初はかなり戸惑いましたね。
桜井推し・びいき問題


シリーズ最大の問題点
スマブラシリーズで言われていた『桜井推(お)し・びいき』の問題が、今作ではかなり顕著(けんちょ)になっているのが、最大の欠点です。
- 【桜井推し・びいき】桜井政博氏の主観や好みで、キャラクターの再現度・選定などが左右される問題。
たとえば桜井氏が関わったパルテナシリーズ、カービィシリーズはかなり優遇されていたり、他社作品でもロックマンシリーズ、ストリートファイターシリーズなどにその気が見られます。
優遇されたキャラクターは完成度が高く、作り込みが高く評価される一方、逆にそうではない作品はリサーチ・配慮不足、手のひら返しなど、反感や温度差を感じることも少なくありません。
とはいえすべてではなく、優遇されたキャラクターにも問題点や逆もまたしかりだけれど、キリがないのでご割愛。

大変アピールをクリエイターはすべきではない
少し余談で、桜井氏は前々から公式サイトや紹介PVなどで、
- 「大変なんです」
- 「苦労しました」
同情心を買うような言動を多用しがちであり、この姿勢はいただけないものです。
自分もクリエイティブを仕事にする人間なので気苦労はわかりますし、言いたくなる気持ちも理解できます。しかしそれは見る側、遊ぶ側からすれば「知ったこっちゃない」なんですよね。
消費者様が偉いとかそういうことを言いたいのではなく、姿勢の問題といいましょうか。
桜井氏自身も過去に、
「正義感に燃えた指摘は開発側をしんどくさせるだけ(要約)」
桜井政博氏の過去の発言より
と、批判・批難を混同視したコメントを発信したことがあり、区別できないのは本質をくもった目で見るのと同義で、非常にもったいないです。
クリエイティブ業界にいるから気持ちはわかるけど、消費者に開発事情語りは言い訳にしかならない。それは真のプロフェッショナルと言えない。


なぜ問題なのか?
話をもどし、桜井推し・びいきがなぜ問題なのかといえば、
- 【認識の問題】作品ファンが思うイメージとの差が著しい。
- 【選定の偏り】力の入れ具合が偏(かたよ)り、不平等に感じる。
- 【公式扱い】知らない人からすれば、「これが公式設定」と誤解を受ける。
- 【改善されない】次回作やアップデートで直すことはほぼない。
こういったところがあるからなんですよね。
今となっては「ニンテンドウオールスター」ならぬ「ゲーム業界オールスター」になり、自他社問わずスマブラに出演できるというのは名誉として扱われるようになりました。
マイナーな作品ファンにとって、作品自体の知名度向上が期待され、そうでなくても、自分の好きなキャラクターがどのように仕上がっているか気になるものです。
しかしそのぶん、原作のリサーチ・配慮をしっかりした上で性能調整や言葉選びをして、ほかキャラクターと平等に扱わないといけません。それが礼儀でありリスペクト(敬意)なんですね。
また、戦いとは無縁なキャラクターへ結果的に武器を持たせれば、それだけでイメージが壊されると苦言する人も現れてしまいます。
お客様は神様気取りで悪質クレーマーじみた文句を言うユーザーは問題ですが、かといって多数ユーザーの共通する正当な苦情をないがしろにしていい理由にはなりません。
出演条件が「スマブラ脚色を容認すること」なのだそう。ファルコンパンチみたいに魅力があるのなら問題ないけどね。

人物像を誤解させる風評被害


キャラクターの
ヘイトにつながる
例としては、過去に「戦闘にふさわしいキャラクターではない」と言われたのに、参戦して斧を振り回すむらびとと、ネガティブ・二番手扱いでなじられたルイージがわかりやすいですね。
桜井氏の主観によって性格や行動が脚色・改変され、本来のキャラクターから誤った印象が生まれたヘイト(悪口)・風評被害が発生しています。
誹謗中傷やバッシング
それが「あー〇〇かー、戦うのイヤだなー」程度ならともかく、
- 「〇〇を見るだけでも嫌だし次回作でリストラしろ」
- 「〇〇使ってる奴は例外なくゴミ」
- 「〇〇の〇〇コスチュームを使ってる人は友達になれない」
- 「〇〇って本当に性格悪いわ。好きな奴の神経を疑う」
- 「冗談抜きでこのキャラ嫌い(しかし本家を知らない)」
大元のキャラクター・作品へ誹謗(ひぼう)中傷、バッシングがネット・SNSで見られる状態になっていて、今作でさらにひどくなってしまったように見受けられました。
そのキャラクターや作品が好きな人は気分悪いですし、オンラインゲームあるある話とはいえ、低年齢層が多いゲームだからこそ目立つ印象です。
使うコスチューム・キャラクターで人格否定は大間違いで、スマブラの脚色でキャラクターを叩いて誹謗中傷・バッシングをするのも論外です。
素直に聞く耳持たないタイプも多い。意見される覚悟のない、意見するな系が目立つ。


開発(桜井氏)はもっと配慮・思慮を深めるべきだった
開発側も「一部の問題ユーザーがやったこと」と流すのではなく、性格・ボイス・アピールの仕様など、風評被害の原因・遠因をアップデートや次回作で、少しでも減らす努力は一種の責務です。
オンラインができるようになったスマブラX時代から言われ続けていたのに、今作ではそれができていないのは残念ですね。
ソニックの性格が悪いのはスマブラの脚色

© 2018 SORA, BANDAINAMCO, Nintendo, SEGA, Game Freak
一番の例が、セガのキャラクター「ソニック」だと思います。
スマブラXのころから言われていましたが、スマブラのソニックは性格悪いんですよね(アピールや勝利ボイスの内容に問題が多い)。
今作では灯火の星の序盤でピカチュウを助けようとする描写があるだけに、なぜ悪評高いアピールボイスなどを今作で差し替えていないのかますます不思議です。
攻撃・動作はメガドライブ時代のみならず、『ソニック・ザ・ファイターズ』など、昔からの熱心なファンなら喜ぶネタも多くて完成度も高いだけに、より複雑に思います。
元作品におけるソニックの性格
元作品のソニックは、国内や海外、世界観や脚本家の意向で、
- 気分屋(メガドライブ時代)
- 子供ヒーロー(カートゥーン版など)
- マセている(ソニックOVA)
- キザな言動がある(絵本シリーズ)
- 精神的に大人(アドベンチャー など)
- 生意気な問題児(トゥーンなど)
- アメリカンでお調子者(カラーズなど)
このような描写をされる場合はあるものの、「生意気だけどお人好しで、困っている人、仲間や味方には優しい」のが、メガドライブ時代からおおむね共通している性格の軸です。
だから海外だとソニックはマリオに並ぶ絶大的な人気があり、永遠のヒーローなんですね。

ゆえに敵相手ならともかくファイター相手に、
- 「遅すぎだぜ?」
- 「Come on?」
- 「また遊んでやるぜ」
などは、どのソニック作品でもほぼありえない言動で、プレイヤーの心証を逆なでしかねません。
このセリフだったら角は立たなかった
スマブラXのトレーラーや勝利ボイスで聞ける「もたもたしてると置いてくぜ!」がもっともソニックらしいセリフで、
- 「That Was Tight!(最高だぜ!)」
- 「へ! やるじゃないか!」
- 「まだまだ行くぜ!」
- 「走り出さなきゃ何もはじまらないんだぜ?」
このようにシリーズ作品から、反感を買わないようなセリフが多くあったはずなんですね。
絵本シリーズ系のソニックはキザだけど人格者だから、ここから選定もよかったかもしれない。

開発側の思慮が足りない
仮に本人ではないフィギュア設定を差し引いても、ソニックを知らない人からすると、
- 「ソニックは性格が悪い」
- 「ソニックはうざい性格」
このように勘違いする人が続出してしまい、スマブラX当時から動画や絵、文章などで誤解を解く人たちが大勢現れたほどでした。
別にファン創作物(二次創作)であれば「ファンの創作だから」で済みますけれど、

元のゲームやったことないけど、ソニックって性格悪い奴なんだ!
公式作品なら風評被害につながります。
うざいアピール自体はドンキーやフォックスでも見られるものの、スマブラソニックは鼻につくものが多く、無線などでフォローもないですからね。
「公式作品」というのは、それだけで影響力があり、エビデンス(論拠)になってしまうんですね。

選定の疑問
これは性格の問題からは外れますが、シャドウのダッシュファイター化を見送り、スピリッツのメタルソニックは「メタルソニック改・ネオメタルソニック・メタルオーバーロード」にできません。
カオスも「パーフェクトカオス」への超化ができず、ソニックのスピリッツはどれもレアリティが低いのが多い気がするのは気のせいでしょうか。
これらに関してはリサーチ不足というか、
あまり最近のソニックを理解しないまま作っているなぁ。

という印象を受けましたね。
メガドライブ時代のネタは本当に完成度が高いだけにもったいないです。
今作で一番ショッキングな部分

© 2018 SORA, BANDAINAMCO, Nintendo, KONAMI
キャラクターの扱いで一番問題だと感じたのは、スピリッツで登場した『MGSPW(メタルギアソリッド ピースウォーカー)』のキャラクターであるパスの能力「ボムへい持ち込み」です。
前回あげたこの記事のイラスト(年齢制限注意) を見ればわかるとおり、パスに爆弾を持たせるのはファンにとって相当トラウマなことです。
二次創作ならまだしも、公式でネタにされることに人によっては不愉快に感じる人もいるでしょう。
そう言いながらイラスト描いた自分もある意味同罪。ツッコミ半分、ドン引き半分で、初見時は感情が一瞬迷子になった。


何が問題なのか
メタルギアを知らない人に簡潔に説明すると、
- パスはMGSPWにおけるヒロイン的存在。
- スネーク(スマブラのスネークとは別人)が統括する私兵軍隊でアイドル的存在。
- 彼女の正体はスパイだったものの、スネークたちをつうじて改心していく。
- しかし上層部の指示でスネークの前にラスボスとして登場し、敗北して生死不明。
- MGSPWから数ヶ月後のMGSV序盤、捕虜になり拷問・暴行(性的も含む)を受ける。
- スネークは彼女を救出するも、お腹には爆弾を詰め込まれ、人間爆弾にされていた。
- ヘリ内で麻酔なしの開腹手術で摘出。
- しかし隠された爆弾がまだあることを察した彼女は、ヘリから飛び降りて爆死。
後にヴェノム・スネークとよばれる人物はこの出来事を、フラッシュバックして幻を見てしまうほどに深刻なトラウマを抱え、彼女の飛散した骨や歯の欠片も伏線につながります。
ちなみにこれでもマイルドな文章表現。

ボムへい持ち込みの元ネタシーン
動画は閲覧注意です。

ボムへい持ち込みの元ネタになったであろう爆弾摘出シーンは医療従事者監修の本格的な内容で、このシーンの収録を見た中の人のマネージャーが気分を悪くするほどでした。
こういった経緯があるので、公式作品でそれをネタにされるのは一部のファンにとって気分のいいものではないんですね。
上記動画は海外版だから腸が出るシーンが映る。日本版はさすがにグロすぎるので、内臓の描写が規制されているよ。

スピリッツ戦の考察による反論

- 「パスが使ったメタルギアZEKE戦がモデルでは?」
- 「パスはMGSPWでZEKEに破壊工作をしていたから」
スピリットバトルからこのような考察する人はいましたね。
反論すると、メタルギアZEKE戦ならメタルギアZEKEのスピリッツで再現すればよく、破壊工作はパスの日記を見ればわかるように、ZEKEの脚部可動部品を歪ませて可動中の破損を狙うものです。
心の底から生活や歌コンサートを楽しみにしていたから、爆弾なんて一切仕掛けていない。

いわゆる黒い任天堂かどうかは個人の裁量ですが(厳密に言えば開発はソラとバンダイナムコゲームス)、少なくとも自分はスピリッツの装備でパスは使わないですね。
このように、さまざまな作品のサブキャラクターが出演するスピリッツの中には、「笑えないもの」「公式でネタにされるのは気分が悪いもの」が、ほかにもあるかもしれません。
ないことを祈るけどね。

総評:面白いけど疑問点も多い


大所帯に
なったがゆえの弊害
以上のように問題点を長々と述べましたが、ゲーム性の作り込みはシリーズ集大成で面白さに異論はない作品なのは確かです。
灯火の星はまるで、『マリオ&ソニック』シリーズやディズニー映画『シュガーラッシュ』のような、ユニバース(夢の共演)を感じることもできます。
しかし、かねてより言われていた桜井推し・びいき問題や、不評があった一部キャラクターの描写や表現の変更はあまりなく、スピリッツの中にも能力に賛否があるキャラクターが見られました。
「公式作品でこれはどうなの?」という内容が今作でも見られ、大所帯になったがゆえの弊害があるのは否めません。