
『Yahoo!ニュース』のコメント欄(ヤフコメ)は昔から、誹謗(ひぼう)中傷や知ったかぶりの陰謀論・デマの温床であり、

ヤフコメはひどいし狂ってる。なんで閉鎖されないの?

民度が低すぎるからヤフコメは見るべきじゃない。

ヤフコメは上から目線ばかりで見ていてうんざりする。
という意見はまま聞かれるものです。
ヤフコメのみならず、コメント欄を実装するネットニュースサイトにも言える内容ですので、参考にしていただければと思います。
ただ、いくら問題だからと「底辺」や「ゴミ」など、攻撃的なコメントを並べる人も本質的な同類。その点は気をつけてもらいたい。

個人の見解です
ほかの意見もご参照ください
ヤフコメを廃止・閉鎖しないのはなぜか?


あくまで推測です
結論から言うならば、「安定した広告収入を得るためだから」という可能性です。
2015年にはコメント欄を実装している理由を公式発表していて、
インターネットが登場する前は、ニュースは読者にとって「受け取るもの」に過ぎませんでした。そのため、Yahoo!ニュースも日々流れてくるニュースをサイト上で提供しているだけでは、インターネットがなかった時代と同じ、一方通行の体験をユーザーに提供するだけのサービスで終わってしまいます。
ニュースを「見て終わり」ではなく、出会ったニュースに関する多様な価値観・解釈を共有しあうことで、ユーザーが考えを変えたり、共感したり、意見を述べたりといった、何らかのアクションを起こすきっかけを提供したい。こうした、民主主義社会を活性化する上で最も重要な環境を提供したい――。
そのような思いの中で生まれてきたものが「Yahoo!ニュース 意識調査」であり、そして「コメント機能」でした。
Yahoo!ニュースがコメント機能を続ける理由~1日投稿数14万件・健全な言論空間の創出に向けて~|Yahoo! newsHACK

一方的な情報発信ではなく、閲覧側も意見交換で民主主義社会を活性化。それがヤフコメでニュースとユーザーをつなぐ場。
要約するとこのような感じでしょうか。
『批判』の意義を理解していない
しかしながら、意見することと誹謗中傷することは別の話であり、意見できる場は2015年当時からツイッターなどのSNSがあるため、コメント欄がある理由としては弱いものです。
民主主義的な意見交換……とは言いますが、相手に落ち度や非に対し、攻撃的な言葉(ゴミ・クソ・死ね・ガ○ジなど)を並べたり、人格攻撃したり、推測で事実のように知ったかぶったり……
これでどうやって民主主義を活性させられるのかが疑問に思います。

ヤフコメは世論の意見そのもの。しっかりと意見を言っている。

ヤフコメ批判は自己主張できないから、そう言っているだけだ。
彼らはその姿勢で「正しい批判をしている」と本気で思っているのが悩ましく、ヤフコメで正しい批判をする人は1%もいません。
むしろ正しい批判ができる人はライターになるか、個人ブログやnoteで書くと思います。

『批判』は叩きでも悪口でもない


なんでヤフコメって、批判ばかり書かれているの?
Yahoo!の見解でも批判の意味を理解しておらず、ヤフコメに苦言する人も上記のように、『批判』を叩き・悪口といった悪い意味で使っています。
これもこれでかなり問題ですし、なぜここまで『批判』にうるさいかといえば、
- 【意見扱い】『批判』を正しく把握しないと、誹謗中傷でも「意見」として解釈される。
- 【かみ合わない】『批判』の目的がわかっていなければ、正しく論ずれない。
- 【非生産的】『批判』の意義を認知しないと、不毛な争いになる。
このような事態を招いてしまいます。つまり批判の意義・本質を間違える(理解していない)とは、建設的な議論が進まないということです。
ヤフコメなどで実際にそうなっているのは見ればわかるとおりで、批判の基本姿勢は「リテラシー・論理的思考・エビデンス(論拠)・思いやり」であり必須条件なんですね。
ヤフコメ利用者に「この4点をちゃんとやっているか」と言われ、やっていると答えられる人は一体どのぐらいいるだろう?


公式も一応認めている
……さて、話がずれましたが、Yahoo!側もモラルが低い投稿者がいるのは公式見解で認めていて、非表示機能やAI活用による通報・削除はあっても、結局いたちごっこなのが現状です。
また公式側も廃止しようとか 、正しい批判を学ぶ姿勢も見られません。
「広告収入が目的である」という可能性が高いのでは?

ゆえに廃止しない上記の理由が考えられると考察できるので、次から記載していきます。
人間心理をつくシステム


需要と供給が
成立している
Yahoo!ニュースのページをよく見ればわかるように、広告やスポンサー企業のPRバナーが至るところに貼られていますよね。
広告収入の発生には、アクセス数を稼ぎ閲覧数や広告クリック数を獲得する必要があります。
見出しはキャッチーな(ウケがいい)内容にするとして、どう常連を増やして固定化するかを考えると、定期的に覗きに来させる、回遊率を高める仕組みを閲覧者に提供すればいいわけです。
これらの目的と承認欲求を満たせて刺さる(アピールできる)形が、コメント欄という存在です。

ヤフコメを書く人(ヤフコメ民)の心理はどんなものか
「当時、ヤフコメは日課であり、ある種のいきがいのようなもの。仕事や社会に不満・ストレスを抱え、ヤフコメを書くことが発散になっていた」
「タイトルだけでコメントを書き、正直、記事の内容はどうでもよかった」
(要約)
ヤフコメ民が底辺と言われる理由【ヤフコメ民の正体は?】|カスカスブログ
と、このように語っています。
2015年に発表したYahoo!の独自統計によれば、ヤフコメを書く人(ヤフコメ民)の大半は男性であり、40代以上が多いとのことです。
それに充実した人生・生活を送る人は、誰かや何かに上から目線で攻撃的になったり、憎悪を振りまいたりしないんだよね。

ヤフコメ民が底辺と言われる理由【ヤフコメ民の正体は?】|カスカスブログ
なぜ人々はヤフコメだと上から目線なのか(有料記事)|プレジデントオンライン
Yahoo!ニュースがコメント機能を続ける理由~1日投稿数14万件・健全な言論空間の創出に向けて~|Yahoo! newsHACK
「ヤフコメはひどい」? 「Yahoo!ニュース」のコメント欄、投稿者は男性が80%以上、40代が突出|ITMedia NEWS
中毒性が高い「共感した(いいね)」ボタン
それに加え、ヤフコメには評価ボタンもあることから、共感される内容だとどんどん「共感した(いいね)」がつけられます。

俺の意見が評価された……もっと褒めてほしい、もっと高評価してほしい……
これは中毒性が高く依存性が高まるものです。
投稿者は承認欲求が満たされて「自分が認められる場」と錯覚・依存し、提供側も広告収入に必要な常連を獲得できると、需要と供給が成立します。
広告収入(アフィリエイト)自体は間違ったことではないにしろ、健全な広告収入でしょうか。
徹底的な姿勢をとらないのも、もしかしたら平和的空間を実現すると書き込む人が減る(=常連が離れて広告収入が減少する)から、あえてグレーの姿勢という可能性もありますよね。
こう考えるとヤフコメって、人間の弱いところ、卑(いや)しい心理をついたシステムだよね。

ヤフコメが原因の事件・逮捕者


恐れていたことが現実に
2021年にはヤフコメが原因で逮捕された人が話題になり、ヤフコメに感化されて被害妄想を肥大させたのが要因でした。
ヤフコメが要因で現実に犯罪が発生するという、最悪の形になったニュースなんですね。
信じたい意見ばかりを集って過激化するのは『エコーチェンバー現象』とよばれる状態です。

「ヤフコメ民をヒートアップさせたかった」在日コリアンを狙った22歳。ウトロ放火事件“ヘイトクライム”の動機とは|BuzzFeedNews
京都・ウトロ放火は「ヘイトクライムの可能性」 市民団体が根絶目指し声明|京都新聞(アーカイブ)
面会や手紙で「ヘイト」否定も 京都・ウトロ放火被告、記者に語ったことは|京都新聞(アーカイブ)
インターネット上での情報流通の特徴と言われているもの|総務省
エコーチェンバー現象とは・意味| IDEAS FOR GOOD
ウトロ放火事件に対するYahoo!の対応とその責任
こちらの記事にあるYahoo!の広報担当者の弁解は正直なところ、文面を見る限り誠実さを感じられなかったのは残念ですね。
Yahoo!はこういった事件が起きてしまい、しかも間接的な犯罪幇助(ほうじょ)になってしまった点を社内で認識し、コメント欄のありかたを再考してほしいと思います。
もちろん全文じゃないとは思うけど、すごく他人ごとというか、事務的というか……

在日コリアン狙ったヘイトクライム、ヤフーが被害者に「心よりお見舞い」動機に“ヤフコメ”その責任は|BuzzFeedNews
Yahoo!だけが悪いとは限らない


ネット・SNS全体の
問題でもある
とはいえ、「なぜひどいコメントを書くのか」はヤフコメ特有のものではなく、
- 【ブログ・掲示板問題】コメント欄や掲示板で口汚く攻撃的に書く人。
- 【レビュー問題】レビューで低品質なコメントを投稿・評論家気取りの人。
- 【SNS問題】ツイッターなどで相手を論破気取りであおる人。
- 【質問サイト問題】質問サイトで同意しか求めず、上から目線になる人。
このように、似たシステムがあるサイトやSNSでも抱える社会問題です。
ゆえに、ヤフコメ問題はYahoo!だけが一方的に悪いのではなく、ネット・SNS利用者一人ひとりのモラルやリテラシーにも問題・課題があるのは忘れてはいけません。
そこの認識が欠けている・理解できていない人が数多く集まる「釣り場」が、ヤフコメということですからね。2000年代の日本はGoogleよりもYahoo!の利用者が多かったのも要因でしょう。
検索エンジンの変遷。Google一強となったそのワケとは?【So-net25周年企画 そこにはいつもネットがあった#1】|So-net
ヤフコメの公式対策


対策はしている
そうですが…
上述のとおり、Yahoo!側もヤフコメのモラルは一応問題視しており、AIを活用したコメントの選別や、非表示にできるボタンも実装しています。
コメントの内容に対する注意書きも出るようで、その効果で誹謗中傷をするアカウントも13.5%減少したそうです。
とはいえ、上記記事や「なぜヤフコメが必要なのか」の公式表明を見ると、Yahoo!側の主張と利用者の実態が反比例している状態で、まだまだなのが正直なところです。
国・規模・価値観も違うことは前置きしつつも、海外では2014年、当時13歳の少女が開発した『Rethink』によって、93.4%が投稿を踏みとどませたという調査結果が発表されています。
対策をするなら、このぐらいの意識とプラットフォームの責任を持ってほしいですね。
13歳の女の子がつくったというのがスゴイよね。ちゃんと疑問を持てる着眼点も素晴らしい。

追 記
2023年にYahoo!は、電話番号登録の必須化で悪質ユーザーは56%、コメントも22%減ったと公表しました。ヤフコメの“パトロールAI”、NewsPicksなどに無償提供 不適切コメントを排除|ITMedia NEWS
Yahoo!ニュースにおけるAIを活用した投稿時注意メッセージの掲出効果について|Yahoo!(アーカイブ)
「送信」ボタンを押す前に──ネットいじめを元から絶つには?|TIME&SPACE(アーカイブ)
「ヤフコメ」不適切だと丸ごと非表示も 小室圭さん・眞子さん記事ほか100件超|J-CASTニュース
Yahoo!ニュース、コメント投稿における携帯電話番号設定の必須化後の効果を公表|Yahoo!(アーカイブ)
最後に:Yahoo!ニュースにこだわる必要はない


ほかにもいろいろあるよ
ヤフコメがなくならない理由は、広告収入があるのではという仮説で記事を書き進めました。
仮に広告収入目的が絡んでいるのであれば、コメント非表示機能はあっても、ヤフコメそのものの廃止・閉鎖はほぼ絶望的です。
またヤフコメ利用者は公式統計だと40代以上の男性が最も多く、「不満をはじめ、心の貧しい人が承認欲求を満たすために集う場所」であることが、ヤフコメ経験者の意見から察せます。
2000年代はGoogleよりもYahoo!が強かったため、その影響で今でもYahoo!ニュースを確認してヤフコメを書いているパターンもあるでしょう。
ここでヤフコメに対する需要と供給が成立しているんですね。

2021年に発生したウトロ放火事件は実際、ヤフコメの影響で発生した犯罪でした。
人間の攻撃的な本音・本性を見て精神的に疲れてしまったり、逆に感化されて誹謗中傷や事件を引き起こして、自分の人生を棒に振れば笑い話にもなりません。「百害あって一利なし」です。
ネットニュースはYahoo!だけが配信しているわけではないので、心を痛めている・見るべきではないと思うなら、見ない選択肢も必要です。
根本的解決にはならないとはいえ、相手を変えるより自分の意識を変えるほうが簡単ですからね。
1%も満たない建設的なヤフコメを探すより、客観的・建設的に知見を述べる人の記事を探すほうが、健全で時間節約にならない?




