2021.11.20 2023.08.13

【解説】安易なAdobe Webフォント使用はやめたほうがいい理由【Webデザイン】

雑記,Adobeフォント,WEBデザイナー,フロントエンド,WEBデザイン

ネット上やSNSの記事だと、

  • 「Webフォントを使いたいならAdobeフォントで決まり!」
  • 「AdobeフォントはWebフォントとしても使えて便利!」
  • 「AdobeフォントをWebフォントとして使う方法をまとめました」

と、Webデザイナーの人たちがAdobeのWebフォント(以下、Adobe Webフォント)推奨する記事が数多くあります。

しかし、コーダー目線や管理の側面から見ると、

AdobeフォントをWebフォントとして使うのはちょっと待ってほしい。

フキダシ2

となるんですが、これは安易にAdobeフォントをWebフォントに使うのは、規約に抵触する可能性があるからです。

なぜ安易に使うべきではないのか、コーダー目線で簡単に踏まえつつ、参考にしていただけますと幸いです。

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安易に使うべきではない理由とリスク

背景

確かに便利だけど…

なぜ安易にAdobe Webフォントを使ってはいけないのか。その理由を簡潔にまとめるならば、

  • JSで動く】日本語フォントは実装にJava Script(JS)が必要。
  • 管理が大変】抱える案件が増えれば管理コストがかかる。
  • 解約すると解除される】Adobe CCを解約すると一気に使えなくなる。
  • やりとりも大変】コーダーやディレクターの手間が増える。
  • 多くても2種類が限度】日本語Webフォントは重いデータの宝庫。
  • 規約変更】顧客のサイト制作の場合、顧客も使用料を支払わないといけない。

特に最後の規約変更が一番の理由で、

利用条件では、2019 年 12 月 31 日以降の再販は許可されていません。それ以降にフォントライセンスや web フォントホスティングが中断されないようにするには、クライアントの web サイトは、独自の Creative Cloud サブスクリプションから Adobe Fonts を読み込む必要があります。(中略)

クライアントは、web フォントプロジェクトを転送する前に Creative Cloud サブスクリプションを設定する必要があります。完全なフォントライブラリは、ほとんどの有料の Creative Cloud サブスクリプション(例外あり)に含まれています。

フォントのライセンス|Adobe

つまり、

CHECK!

Adobe Webフォントを使用する場合、顧客側もライセンス購入して、CCに加入してもらわなければならず、その旨を事前に説明しなければならない。

ということです。

ダイナミックサブセットと Web フォント提供|Adobe

ウェブフォントはGoogle Fontsに決まり!|コキャクル

Webフォントの利点と欠点

背景

Webフォントにも
欠点があるよ

Adobe Webフォントを安易に使うべきではないのは、規約の問題が一番大きな要因です。

ただそれだけではなく、SEO(特にUI・UXの部分)まで考えると、安易にポンポン使うような代物ではないことを、Webデザイナーは最低限知ってほしいところです。

次からは、Webフォントのメリット・デメリットをご紹介します。

Webフォントのメリット

Webフォントは「すべてのデバイスで同じフォントが表示される」が最大のメリットです。

よくある話で、Android端末では明朝体が入っていないため、もしサイト内で明朝体を使いたいのであれば、Webフォントは必要になります。

また游明朝・游ゴシックはMacやWindowsにはあっても、AndroidやiOSには入っていません。

スマホでサイトを見る人が8割以上の時代ですから、デザイン性や平等の表示のみならず、可読性(読みやすさ)の向上という意味でも、Webフォントは重宝されますね。

明朝を使うならWebフォントは絶対必要。

フキダシ2

Androidで明朝体フォントを表示させる方法|will style .

Webで游ゴシックをiPhoneやAndroidで表示できない?表示するには?|Qiita

インターネットの利用環境は「スマホのみ」が最多 60代はスマホ利用者が7割超に【LINE調査】|MarkeZine

Webフォントのデメリット

一方、Webフォント、特に日本語のフォントはデータ量が多く、重たい代物です。

サブセット化(使用する漢字や記号を減らし、内容を軽量化)されていない日本語Webフォントは、2種類だけでも読み込み・表示に1〜2秒増えることがあります。

読み込みに2.5秒以上かかるサイトは離脱率が急激に上がり、機会損失が大きいと言われています。

Webフォントはその2.5秒のうち、半分近くも占めるおそれがあるんですね。なお1〜2秒というのは、過去の当サイトをGoogleのページ計測した際のデータです。

Adobe Webフォントはライセンスの問題から、自前でサブセット作業をおこなうことは基本的にできません。

サブセット化されたフォントはあるものの、日本語フォントはダイナミックサブセットという仕様上、JavaScriptで動かす形式になってしまい、このあたりは融通がききにくいですね。

この読み込み時間の考えかた、最適化をWeb業界では『LCP』といいます。

フキダシ2

Webサイトの読み込み順がよくわからないので少し調べた話|Qiita

Webページの読み込み時間、3秒が限界か – 5秒になると直帰率激増|マイナビニュース

DTPデザインとWebデザインは違う

背景

DTP≠Webデザイン

DTP(チラシ・ポスターなどの印刷物)デザインとWebデザインはぜんぜん違うものですし、この違いを理解しないデザイナーは、結果としてチームにも迷惑をかけます。

DTPなら入稿ガイドラインを守れば、Adobeフォントなどを比較的自由に使えます。しかしWebサイトはコーディングの制限や、表示速度の問題なども考慮しないといけなくなります。

WebデザインとDTPはそれこそ緑茶と紅茶、焼きそばとカップ焼きそばぐらいに違います。原材料こそ一緒ですが、シチュエーションや使いどきがぜんぜん違うんですね。

できるWebデザイナーはDTPと同一視していないよ。

フキダシ2

最後に:絶対悪ではない

背景

使いどころが問題

ここまで、Adobe Webフォントを悪く言っている感じにはなっていますけれど、

  • 「Adobe Webフォントを使いたがるWebデザイナーは無能」
  • 「Adobe Webフォントは絶対悪だし、金輪際使うな!」

……と、言っているわけではありません。理解と使いどころの問題です。

  • Adobe Webフォントの仕様を理解
  • どの案件で使うのか?
  • 管理の問題も考慮しているか
  • 顧客側にも説明した上で使うのか

上記をしっかり考えていて、

  • 自社(EC)サイト
  • 趣味のホームページ

このような条件下であれば、Adobe Webフォントを使ってもいいと思いますし、

  • 顧客に納品するサイト
  • SEO重視のサイト

このような場合は、本当にAdobe Webフォントを使うべきなのかを、社内のみならず、顧客とも検討を重ねて考えるべきです。

「見栄えがいいから」「かっこいいから」という安易な考えだけでAdobe Webフォント使うのはよくないね。

フキダシ2

本当にここをデザイン段階で考えないと、自社やコーダーなどのみならず、顧客側にも迷惑がかかるリスクがあります。

WebサイトとDTPデザインは全く違うこと、Adobe Webフォントの性質・仕様を理解した上で、最終的に使用するかどうかを判断してください。

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プロフィール

    • フキダシ2
    • 赤竹ただきちTadakichi Akatake
  • あるお医者さんへ反ワクチン誹謗中傷していたのは、無職・生活保護・精神疾患持ちの中高年男性の加害者が多かったという話を公表し、

    「この医者は差別主義者だ」

    「差別の助長」

    「またアフィサイトのエサにされる」

    と反論していた人もまた、自称低所得・無職アカウントが目立った……という状態が、書き手と読み手の立ち位置にいろんな意味で考えさせられたね。

    弱者男性だからどうこうじゃなく、勉強・心に余裕がない人ほど文章が読めず、表面的な字面ばかりを見て極端な解釈をして攻撃的になりやすく、本質を見ることができないという一種の指標。

    主語ばかり見ないで、

    「その側面が判明したからこそ、書き手も言いかたは考えないといけないし、当事者たちは誹謗中傷加害者と同類に見られないよう気をつけていこう」

    上記をしないと、また同じことを繰り返すよ。

    だから書き手は語弊を減らす勉強を日々しないといけないんだけど……

    ……まあ、今回の統計公表はなかなかに闇が深い。

イラストレーター・コーダー+WEBデザイナー・ライターの京都生まれなウサギ好き。多様な絵柄を描け、外国人でも絵でわかるマンガ、ウサギと口内描写にこだわりを持つ。

コーディングとWebデザインは両方可能。案件によっては「デザインとコーディングの同時進行」の荒業もおこない、SEOを意識したマークアップも得意。

「自省・リテラシー向上・正しい批判」をライフワークとし、当サイト記事も「中学生でもわかりやすい、気づき・理解・学ぶ」を全体テーマとして執筆。

これは微力ながら閲覧者に考える・学ぶ助力のほか、自身も学ぶ目的も含み、実社会・ネット・SNSでも「わかりやすく参考になった」とご好評の声多数。

「下手でも自分の弱さを認め、自省し学び、その姿勢を相手への敬意として表すことも忘れない人」は、年齢・性別問わず好きなタイプ。

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