2021.11.20 2023.03.26

【解説】安易なAdobe Webフォント使用はやめたほうがいい理由【Webデザイン】

雑記,Adobeフォント,WEBデザイナー,フロントエンド,WEBデザイン

よくネット上やSNSの記事だと、

  • 「Webフォントを使いたいならAdobeフォントで決まり!」
  • 「AdobeフォントはWebフォントとしても使えて便利!」
  • 「AdobeフォントをWebフォントとして使う方法をまとめました」

と、Webデザイナーの人たちがAdobeのWebフォント(以下、Adobe Webフォント)推奨する記事が数多くあります。

しかし、コーダー目線や管理の側面から見ると、

AdobeフォントをWebフォントとして使うのはちょっと待ってほしい。

フキダシ2

となるんですが、これは安易にAdobeフォントをWebフォントに使うのは、規約に抵触する可能性があるからです。

なぜ安易に使うべきではないのか、コーダー目線で簡単に踏まえつつ、参考にしていただけますと幸いです。

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安易に使うべきではない理由とリスク

背景

確かに便利だけど…

なぜ安易にAdobe Webフォントを使ってはいけないのか。その理由を簡潔にまとめるならば、

  • JSで動く】日本語フォントは実装にJava Script(JS)が必要。
  • 管理が大変】抱える案件が増えれば管理コストがかかる。
  • 解約すると解除される】Adobe CCを解約すると一気に使えなくなる。
  • やりとりも大変】コーダーやディレクターの手間が増える。
  • 多くても2種類が限度】日本語Webフォントは重いデータの宝庫。
  • 規約変更】顧客のサイト制作の場合、顧客も使用料を支払わないといけない。

特に最後の規約変更が一番の理由で、

利用条件では、2019 年 12 月 31 日以降の再販は許可されていません。それ以降にフォントライセンスや web フォントホスティングが中断されないようにするには、クライアントの web サイトは、独自の Creative Cloud サブスクリプションから Adobe Fonts を読み込む必要があります。(中略)

クライアントは、web フォントプロジェクトを転送する前に Creative Cloud サブスクリプションを設定する必要があります。完全なフォントライブラリは、ほとんどの有料の Creative Cloud サブスクリプション(例外あり)に含まれています。

フォントのライセンス|Adobe

つまり、

CHECK!

Adobe Webフォントを使用する場合、顧客側もライセンス購入して、CCに加入してもらわなければならず、その旨を事前に説明しなければならない。

ということです。

ダイナミックサブセットと Web フォント提供|Adobe

ウェブフォントはGoogle Fontsに決まり!|コキャクル

Webフォントの利点と欠点

背景

Webフォントにも
欠点があるよ

Adobe Webフォントを安易に使うべきではないのは、規約の問題が一番大きな要因ですが、ほかにも知っていただきたいこととして、Webフォントのメリットとデメリットを理解する必要があります。

SEO(特にUI・UXの部分)まで考えると、安易にポンポン使うような代物ではないことを、Webデザイナーは最低限知ってほしいところです。

Webフォントのメリット

Webフォントは「すべてのデバイスで同じフォントが表示される」という点が最大のメリットです。

よくある話だと、Android端末では明朝体が入っていないため、もしサイト内で明朝体を使いたいのであれば、Webフォントは必要になります。

また、游明朝・游ゴシックはMacやWindowsには実装されていても、AndroidやiOSには入っていません。

今の時代、スマホでサイトを見る人が8割以上の時代ですから、デザイン性や平等の表示のみならず、可読性(読みやすさ)の向上という意味でも、Webフォントは重宝されますね。

明朝を使うならWebフォントは絶対必要。

フキダシ2

Androidで明朝体フォントを表示させる方法|will style .

Webで游ゴシックをiPhoneやAndroidで表示できない?表示するには?|Qiita

インターネットの利用環境は「スマホのみ」が最多 60代はスマホ利用者が7割超に【LINE調査】|MarkeZine

Webフォントのデメリット

一方、Webフォント、特に日本語のフォントはデータ量が多く、重たい代物です。

サブセット化(使用する漢字や記号を減らし、内容を軽量化)されていない日本語Webフォントは、2種類だけでも読み込み・表示に1〜2秒増えることがあります。

さらにJavaScriptで読み込むタイプだと、Webフォントの読み込みに影響が出てしまう可能性が拭いきれません。Adobeだと日本語フォント(ダイナミックサブセット)が該当します。

読み込みに2.5秒以上かかるサイトは離脱率が急激に上がり、機会損失が大きくなると言われています。

Webフォントはその2.5秒のうち、半分近くも占めるおそれがあるんですね。なお1〜2秒というのは、過去の当サイトをGoogleのページ計測した際のデータです。

Adobe Webフォントはライセンスの問題から、自前でサブセット作業をおこなうことは基本的にできません。

一応サブセット化されたフォントはあるものの、日本語フォントはダイナミックサブセットという仕様上、JavaScriptで動かす形式になってしまい、このあたりは融通がききにくいですね。

この読み込み時間の考えかた、最適化をWeb業界では『LCP』といいます。

フキダシ2

Webサイトの読み込み順がよくわからないので少し調べた話|Qiita

Webページの読み込み時間、3秒が限界か – 5秒になると直帰率激増|マイナビニュース

DTPデザインとWebデザインは違う

背景

DTP≠Webデザイン

とどのつまり、DTP(チラシ・ポスターなどの印刷物)デザインとWebデザインはぜんぜん違うものだということです。

DTPなら入稿ガイドラインを守れば、Adobeフォントなどを比較的自由に使えます。しかしWebサイトはコーディングの制限や、表示速度の問題なども考慮しないといけなくなります。

WebデザインとDTPはそれこそ緑茶と紅茶、焼きそばとカップ焼きそばぐらいに違います。原材料こそ一緒ですが、シチュエーションや使いどきがぜんぜん違うんですね。

できるWebデザイナーはDTPと同一視していないよ。

フキダシ2

最後に:絶対悪ではない

背景

使いどころが問題

ここまで、Adobe Webフォントを悪く言っている感じにはなっていますけれど、

  • 「Adobe Webフォントを使いたがるWebデザイナーは無能」
  • 「Adobe Webフォントは絶対悪だし、金輪際使うな!」

……と、言っているわけではありません。理解と使いどころの問題です。

  • 「どの案件で使うのか?」
  • 「管理の問題も考慮しているか」
  • 「顧客側にも説明した上で使うのか」

上記をしっかり考えていて、

  • 自社(EC)サイト
  • 趣味のホームページ

このような条件下であれば、Adobe Webフォントを使ってもいいと思いますし、

  • 顧客に納品するサイト
  • SEO重視のサイト

このような場合は、本当にAdobe Webフォントを使うべきなのかを、社内のみならず、顧客とも検討を重ねて考えるべきです。

「見栄えがいいから」「かっこいいから」という安易な考えだけでAdobe Webフォント使うのはよくないね。

フキダシ2

本当にここをデザイン段階で考えないと、自社やコーダーのみならず、顧客側にも迷惑がかかるリスクがあります。

WebサイトとDTPデザインは全く違うこと、Adobe Webフォントの性質を理解した上で、最終的に使用するかどうかを判断してください。

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プロフィール

    • フキダシ2
    • 赤竹ただきちTadakichi Akatake
  • 定期的に「ポーズマニアックスってトレスOK?」みたいな意見を見かけるけれど、「公式FAQに全部書いてあるじゃない」と言いたくなる……

    単に自分で調べる能力が低いのか、SNSの気軽な雰囲気で、調べる前に書いてしまうのか……こういう意見を見ると前者のほうに見てしまうのは、心が狭いのだろうかと自問自答。

    ちなみに公式見解ではトレスOKだよ(ただしポーズモデル素材を二次利用するのはNG)。

イラストレーター・コーダー+WEBデザイナー・ライターの京都生まれなウサギ好き。絵は多様な作風を描け、外国人でも絵でわかるマンガや、ウサギと口内描写にはこだわりを持つ。

コーディングとWebデザインは両方可能。案件によっては「デザインとコーディングの同時進行」の荒業もおこない、SEOを意識したマークアップも得意。

「自省・リテラシー向上・正しい批判」をライフワークとし、当サイト記事も「中学生でもわかりやすい、気づき・理解・学びを得る」を全体テーマとして執筆。

これは微力ながら閲覧者に考える・学ぶ助力のほか、自身も学ぶ目的も含み、「下手でも自分の弱さを認め、自省し学ぶことを忘れない人」は、年齢・性別問わず好きなタイプ。

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