R-15
レビュー, 版権絵

ソニック,映画ソニック,実写ソニック,SONIC,TeenSonic,SonicMovie,DrRobotnik,Eggman,ロボトニック博士,エッグマン

アメリカでは『名探偵ピカチュウ』を超えてゲーム原作の映画で歴代初動興行収入1位の座をせしめた という、『ソニック・ザ・ムービー(実写ソニック / 映画ソニック)』の吹き替え版感想です。コロナがなかったらもっと利益を上げていたと思うと悔やまれる……


特にメガドライブ時代のソニック(クラシックソニック)が好きなら是非観ておきたい映画だと、はじめに伝えておきます。

以下、ネタバレ注意!

以下の内容にはネタバレが含まれています。


ティーンソニックは宇宙人

この映画のソニック(海外ソーシャルゲーム版『ソニックフォース』だと「ティーンソニック」という通称があるので、中川ソニックと併せて表記します)は宇宙人で、リングの力で地球へとワープしてきたとされています。ロボトニック博士=エッグマンからも「エイリアン」呼ばわりされていますね。

本編やコミック版・アニメ版においても、

  • 元々地球出身である → メガドライブ時代や『ソニックアドベンチャー』など
  • 未来の地球(惑星モビウス・惑星フリーダム)人である → アニメ『ソニックOVA』やコミック版など
  • 別次元(パラレルワールド)の地球出身である → アニメ『ソニックX』など
  • 異世界の住人である → アニメ『ソニックトゥーン』『ソニックフォース』など

と、媒体(ばいたい)によって出自はコロコロ変わるので、違う惑星から来たと言われても驚きはしませんでした。育ての親がいたことには流石にビックリしましたが……

ティーンソニックの性格はゲームのような、少し生意気だけど心優しいポジティブなヒーローではなく、表面上は生意気だけど寂しさを抱え、その分友達を欲しがっているという年相応男子。アニメ『ソニックトゥーン』寄りの性格だと言えば、分かる人がいるかもしれません。

本作独自の設定

ティーンソニックの宇宙人設定やリングの能力のほか、「ソニックの体毛(トゲ)には莫大なエネルギーが貯蔵され、一気に開放すると広範囲で停電を起こさせるほどのエネルギーが暴発する」という本作独自の設定もつけられ、これが物語の根幹に関わってきます。

本気で走ると稲妻が体中を走るのは、まるで『メタルギアライジング』の雷電のようですが、劇中では「命を狙われる危険な能力」としか説明されていません。

走行中の運動エネルギーか、大気接触の膨大な静電気などによって蓄積され、それは兵器転用にもできるし強力な必殺技にもなるからでしょうね。実際、ロボトニック博士はたったトゲ一本で戦闘機を動かしていますから、相当なエネルギーが秘められているのをうかがえます。

トレードマークである赤い靴は元から履いていたものではなく、物語中盤でジョジョという女の子から譲り受けたものとされ、ソニックが素足でかつ足の指がある描写は、初期カートゥーンアニメ『ソニックアンダーグラウンド』のオマージュでしょうか?(あれはソニックチーム未関与作品だけれど

ちなみにゲーム内ではソニックが素足を晒すのは暗黙のご法度(はっと)。『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』でソニックメンバーが靴を脱がなかった理由とされています。例外で「ダークスパインソニック」に変身したときだけは、素足になりましたけどね(ただし足指の描写はされていない)。

ロボトニック博士も5つの博士号を持つ天才だと劇中で設定され、孤児であると本人が言っていましたが……後者は本当かどうか微妙なところ。アニメ『ソニックトゥーン』のエッグマンも、両親の話とか初めてつくったロボットの話も真偽不明(話に合わせているだけ疑惑)なので。

エッグマンという呼び名はこの映画だと、「卵型のドローンを使ってしつこく追ってくるから」が由来になっていますね(ゲームでは容姿が卵みたいな体型だから)。

映画の雰囲気は『ソニックX』+『ソニックトゥーン』

突如見知らぬ世界(地球の人間世界:ある意味では異世界転移)へ飛ぶのはアニメ『ソニックX』を彷彿とさせますし、『MIB(メン・イン・ブラック)』や『スターウォーズ』など、他作品のパロディやアメリカンジョークを交えるのはアニメ『ソニックトゥーン』のようです(前者のアニメも怪獣映画ネタとか色々やったけど)。

熱くなる、しんみりする場面はあるものの、終始ほとんどコメディです。ただ、本当にアメリカンジョークが多いので、そういったノリが苦手だと、中には鬱陶(うっとう)しく感じる人もいるでしょう。自分は割と好きなほうですが(でも『最後のジェダイ』序盤のような、シリアスの中に無理やり入れた茶番めいたアメリカンジョークは勘弁な)。

中川ソニックも結構好き

当初は本業声優ではない中川大志さんが起用されたことで、ファン(ソニック原理主義者)からあることないこと散々言われていたものの、自分はこれはこれで悪くないなと元々思っていました。

日本だとソニックの声は金丸淳一さんだと言われていますけど、『アドベンチャー』以前は様々な人がソニックの声を担当し、海外では今でもソニックの声(声優)は割と変わっていますからね。

中川ソニックは、アニメ『ソニックOVA』の菊池ソニック(菊池正美さん)と金丸ソニックを足して2で割った感じでかつ、孤独と悩みを抱える年相応の少年な性格を声でしっかり表現されていて上手かったですから、「中川ソニックも全然アリ」でむしろ好きになりました。

そもそもロボトニック博士の声だって、(ジム・キャリー氏だからか)中村浩太郎さんではなく山ちゃんですからね。

日本ネット・SNS上のソニックファンは変な人というか、節度がなかったり色々こじらせた頑固な人が目立つんですよね。全員ではもちろんないし善良な日本ファンも存在しますが、ここを語ると長くなるので、以下の記事に任せてご割愛(人によっては気分を害する記事なので注意)。



小ネタや彷彿させるもの

全部把握できたワケではないので、分かった部分や調べて判明した箇所だけ記載していきます。

序盤のロボトニック博士から逃げるシーン 『ソニックアドベンチャー2』のシティエスケープ。撮影場所も共通モデルであるサンフランシスコだった。
ティーンソニックが元々住んでいた島やシーンBGM 『初代ソニック』のグリーンヒルゾーンで、BGMは『ソニックマニア』のOP。
育ての親がフクロウ メガドライブ時代の書籍で「ソニックの育ての親はフクロウ」と言及されていたものがあった。
ベビー(幼少)ソニックの命を狙ってきた戦闘民族 あれはナックルズ族。パンフレットで飯塚プロデューサーが公言している。
リングの力でワープできる設定 メガドライブ時代のスペシャルステージの入り口。
不毛なキノコの惑星 『ソニック&ナックルズ』のマッシュルームヒルゾーンがモデル。
ティーンソニックが手にした宇宙地図 ゲームにおける7つのActやカオスエメラルドの数と同じ。
「青い悪魔」の似顔絵 海外ファンが大好きな「Sanic(サニック)」。『ソニックフォース』でも公式がネタにしていて、「青い悪魔(Blue Devil)」は『ソニックドリフト2』におけるメタルソニックの車名。
ティーンソニックがカンフー遊びをしていたときのハチマキ メガドライブ時代のタイトル画面で登場するエンブレム。
「グリーンヒルズ」という街 そのまま『初代ソニック』のグリーンヒルゾーンが由来。ティーンソニックの第二の故郷であるという暗喩(ゆ)?
周りが静止するほどにティーンソニックが相対的に速く動く アニメ『ソニックトゥーン』の大みそかの話?
夜に野球をするなどのティーンソニックの一人遊び アニメ『ソニックX』でも夜に野球をやっていた。アニメ『ソニックトゥーン』では結果的な一人遊びを割としている。
バーでチリドッグを食べる ソニックはチリドッグが大好物。
エッグマンのドローンとの戦いでリングの入った袋を落とす ゲーム内でソニックがダメージを受けてリングをばらまくのが由来。
万里の長城を走るシーン 『ワールドアドベンチャー』のチュンナン昼ステージ。
ロボトニック博士との最終決戦 一瞬だけ『大乱闘スマッシュブラザーズSP』のソニック立ち絵ポーズになる。
終盤に流れるピアノ曲 『初代ソニック』のグリーンヒルゾーンBGM。
ラストに出てきたテイルスの声 アニメやゲームと同じ広橋涼さん。ただしへリテイル(しっぽ飛行)はメガドライブ準拠。

もっと詳しい人なら、さらに見つけてくれそうです。




追記)ツイッターで「終盤に流れるピアノ曲」の楽曲元について教えてくれた方がいましたので、リンクを貼っておきます。


また、DCコミックヒーローの『フラッシュ』を主人公にした2014年のテレビドラマ『THE FLASH/フラッシュ』も参考にしていそうですね。稲妻を発しながら走るシーンや、相対的に速く動いてスローに見える部分、冒頭の主人公によるコミカルなあらすじなど、結構似通っている部分がありました。

気になったところ

本作について気になった箇所をいくつかと。

ロボトニック博士の性格
ゲームやアニメのエッグマンも天才なのにワガママで横暴な科学者でしたが、本作ではそういった感じではなく、奇行を繰り返す変人という印象が強め。なんというかエッグマンではなく、映画『マスク』のコメディシーンを観ているかのようです。

あの映画も同じくジム・キャリー氏主演で山ちゃん吹き替えですしね。

ロングクローのデザイン
ティーンソニックの育ての親「ロングクロー」のデザインが、擬人化表現があまりされておらずただのフクロウであるところ。

ただ、アニメ『ソニックOVA』に登場した大統領執事もまんまフクロウのデザインだったので、この映画だけがおかしいというワケではありません。しかしジェットを筆頭としたバビロン盗賊団や、アニメ『ソニックトゥーン』で登場したソアなど、鳥モチーフのソニックキャラクターは何人も登場していたので、その流れを汲(く)んでも良かったのではと。

助手のストーン
ロボトニック博士の助手である「ストーン」のキャラクターが、あまりにも薄い。

メイン登場人物たちがみんな個性的すぎるのもあるかもしれませんけど、いてもいなくても大して変わらないような存在でした(ロボトニック博士がそもそも人間嫌いなので、余計な感情を持たない人物を助手に選んだという解釈もできます)。

ゲームのオーボット&キューボットやアニメ『ソニックX』のデコー&ボコーのように、ただの従順ではなく、異常に敬愛しているとか、もっとロボトニック博士を裏でこきおろす言動を取り入れても良かったでしょうね。

エンディングの洋楽
一言で言えば、よくある洋画の洋楽。ソニックならば、アップテンポで爽快感のあるロックやビート系を流してくれるだろうと少し期待していただけに、ここは正直残念に思いました。

曲そのものは悪くないも、ソニックらしい楽曲かと言われると、そうでもないとしか言えない。

変更前デザインの未記載
パンフレットの話で、ティーンソニックのモデリング変更の経緯や元デザインが掲載されていないこと。

パンフレットの飯塚プロデューサーのインタビューでそれを匂わせる記載はあった程度で、個人的には初期デザインのベビーソニックはどうなっていたのかが見たかった。デザインの変革は結局ネット上のインタビューのみの言及で、事実上、完全に無かったことにされているのはもったいない。

異端者かもしれませんが、ブサイク顔の足マッチョソニックもあれもあれで好きでしたよ。ネタ的な意味で。

総評:色々騒動あったけどメガドラ世代ならぜひ観たい映画

公開前はモデリングから声の担当まで、散々言われていた(に加えて、ファンの苦言に挑発行為をしていた海外公式アカウントも含む)映画ソニックは、実際に観に行って、映画の本筋やストーリー自体はしっかりしていたことが分かりました。本当に初期モデリングが良くなかっただけだったんだなぁと。

エンディングクレジットでは飯塚プロデューサーの名前が記載されていましたけど、デザイン変更前から関わっていたのか、それとも騒動後にデザイン監修として配属されたのかは分かりませんけどね。

ともかく、最近のソニック作品(モダンソニック)世代よりも、メガドライブ(クラシックソニック)の世代の人のほうがより楽しめる映画です。上述したパロディもさることながら、エンディングもメガドライブリスペクト満載ですよ。

ラストシーンによる続編構想は微妙なところではあるものの(いわゆる続きを思わせて物語が終わる「クリフハンガー」的な表現なので)、もし本作の続編があるのなら期待したいですね。




追記)続編が2022年に公開されることが発表されました。






支援サイトにも原寸絵を上げました(無料記事・要無料会員登録)。



DCアメコミドラマ『フラッシュ』のシーズン4でシスコが「(フシギダネは)めちゃくちゃかわいいんだ!」と言っているの最高に好き。

シーズン2まで「幸せの肉」Tシャツとか、よく分からない日本語Tシャツを着ていて癒やし要素だったのに、物語の展開上仕方がなかったとはいえ、シーズン3前半までのバリー(フラッシュ)との険悪ムードや話が暗すぎたから、その反動もあるかもね。

確かにフシギダネは可愛い。

絵描き・物書き・Webデザイナー・HTML/CSSコーダーの京都生まれなウサギ好き。「ネチケット(ネットマナー)やネット・情報リテラシーの扱い」「批判と批難(非難)の混同・誤用」には少々シビアで、性別問わず好きなタイプは「反省と改善の努力を惜しまない人」。長文や理論を分析し、簡潔に分かりやすくまとめるのが得意なため、リアル・ネットを問わず、各所からご好評をいただいております。