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【レビュー】『ソニック・ザ・ムービー』感想【ソニック】

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アメリカでは『名探偵ピカチュウ』を超えてゲーム原作映画で歴代初動興行収入1位の座をせしめた という、『ソニック・ザ・ムービー(実写ソニック / 映画ソニック)』の吹き替え版感想です。コロナがなかったらもっと利益を上げたと思うと悔やまれる……

ソニック・ザ・ムービー|パラマウント・ピクチャーズ

『ソニック・ザ・ムービー』全米1位!ゲーム原作映画史上最高のヒット|シネマトゥデイ

特にメガドライブ時代のソニック(クラシックソニック)が好きならぜひ観ておきたい映画だと、はじめに伝えておきます。

ネタバレ注意 この記事にはネタバレが含まれています

ティーンソニックは宇宙人

ソニックは作品で
出自が変わる

この映画のソニック(海外ソーシャルゲーム版『ソニックフォース』だと「ティーンソニック」という通称があるので、中川ソニックと併〈あわ〉せて表記します)は宇宙人で、リングの力で地球へとワープしてきたとされています。

ロボトニック博士=エッグマンからも「エイリアン」呼ばわりされていますね。

各作品の出自

本編やコミック版・アニメ版においても、

  • 元々地球出身
    → メガドライブ時代や『ソニックアドベンチャー』など
  • 未来の地球(惑星モビウス・惑星フリーダム)人
    → アニメ『ソニックOVA』やコミック版など
  • 別次元(パラレルワールド)の地球出身
    → アニメ『ソニックX』など
  • 異世界の住人
    → アニメ『ソニックトゥーン』『ソニックフォース』など

と、媒体(ばいたい)によって出自はコロコロ変わるので、違う惑星から来たと言われても驚きはしませんでした。育ての親がいたことにはさすがにビックリしましたが……

ティーンソニックの性格はゲームのような、少し生意気だけど心優しいポジティブなヒーローではなく、表面上は生意気だけど寂しさを抱え、その分友達を欲しがっているという年相応男子。

アニメ『ソニックトゥーン』寄りの性格だと言えば、わかる人がいるかもしれません。

本作独自の設定

走ると稲妻が走る

ティーンソニックの宇宙人設定やリングの能力のほか、「ソニックの体毛(トゲ)には莫大なエネルギーが貯蔵され、一気に開放すると広範囲で停電を起こさせるほどのエネルギーが暴発する」という独自設定もつけられ、物語の根幹に関わってきます。

本気で走ると稲妻が体中を走るのは、まるで『メタルギアライジング』の雷電のようですが、劇中では「命を狙われる危険な能力」としか説明されていません。

走行中の運動エネルギーか、大気接触の膨大な静電気などによって蓄積され、それは兵器転用にもできるし強力な必殺技にもなるからでしょうね。

実際、ロボトニック博士はたったトゲ一本で戦闘機を動かしていますから、相当なエネルギーが秘められているのをうかがえます。

赤い靴は映画の後半から

トレードマークである赤い靴は元から履(は)いていたものではなく、物語中盤でジョジョという女の子から譲り受けたものとされ、予告編の映像はダミーで、実際の本編では話の後半からでしたね。

ソニックが素足でかつ足の指がある描写は、初期カートゥーンアニメ『ソニックアンダーグラウンド』のオマージュでしょうか?(あれはソニックチーム未関与作品だけれど

ちなみにゲーム内ではソニックが素足を晒(さら)すのは暗黙のご法度(はっと)。『マリオ&ソニック AT 東京2020オリンピック』でソニックメンバーが靴を脱がなかった理由とされています。

例外で「ダークスパインソニック」に変身したときだけは、素足になりましたけどね(ただし足指の描写はされていない)。

エッグマンの呼び名の由来

ロボトニック博士も5つの博士号を持つ天才だと劇中で設定され、様々な過去話を本人が言っていましたが……後者は本当かどうか微妙なところ。

アニメ『ソニックトゥーン』のエッグマンも、両親の話とか初めてつくったロボットの話も真偽不明(話に合わせているだけ疑惑)なので。

エッグマンという呼び名はこの映画だと、「卵型のドローンを使ってしつこく追ってくる、卵型の戦闘機に乗った親玉」が由来になっていますね(ゲームでは容姿が卵みたいな体型だから)。

映画の雰囲気は『ソニックX』+『ソニックトゥーン』

どっちのアニメも好き

突如見知らぬ世界(地球の人間世界:ある意味では異世界転移)へ飛ぶのはアニメ『ソニックX』を彷彿とさせますね。

また、『MIB(メン・イン・ブラック)』や『スターウォーズ』など、別作品のパロディやアメリカンジョークを交えるのはアニメ『ソニックトゥーン』のようです(前者のアニメも怪獣映画ネタとかいろいろやったけど)。

熱くなる、しんみりする場面はあるものの、終始ほとんどコメディです。

本当にアメリカンジョークが多いので、そういったノリが苦手だと、中には鬱陶(うっとう)しく感じる人もいるでしょう。

中川ソニックも結構好き

素晴らしい熱演だった

当初は本業声優ではない中川大志さんが起用されたことで、ファン(ソニック原理主義者)からあることないこと散々言われていたものの、自分はこれはこれで悪くないなと元々思っていました。

日本だとソニックの声は金丸淳一さんだと言われていますけど、『アドベンチャー』以前は様々な人がソニックの声を担当し、海外では今でもソニックの声(声優)は割と変わっていますからね。

中川ソニックは、アニメ『ソニックOVA』の菊池ソニック(菊池正美さん)と金丸ソニックを足して2で割った感じかつ、孤独と悩みを抱える年相応な性格を声で表現して上手かったですから、「中川ソニックも全然アリ」でむしろ好きになりました。

ロボトニック博士の声も、(ジム・キャリー氏だからか)中村浩太郎さんではなく山ちゃんですからね。

日本の一部ファンの態度はとても失礼

案の定というか、日本ネット・SNS上のソニックファンは変な人というか、節度がなくこじらせた頑固な人がいろいろ言っていたのは残念でしたね。

単に声の好みだけなら「個人の感じかた・感想」でいいんですけれど、

  • 「映画のソニックはパチモノ」
  • 「金丸さん以外のソニックは偽物」

このような言いかたは、「中川ソニックも好き」と考える鑑賞者も、中川さんにも、ソニックに対しても失礼です。

ただでさえ日本のソニックファンは少ない上に悪目立ちしていますから、ソニックを知らない人や興味を持った人から引かれてしまうんですよね。

かつてソニックチーム公式が一部ファンに対し、「あなたの嫌いは誰かの好きかもしれません」と苦言と忠告をしていたように、節度と敬意を持っていただきたいものです。

全員ではもちろんないし善良な日本ファンも存在しますが、ここを語ると長くなるので、以下の記事に任せてご割愛(人によっては気分を害する記事なので注意)。

小ネタや彷彿させるもの

メガドラ時代のネタが多い

全部把握できたわけではないので、わかった部分や調べて判明した箇所だけ記載していきます。

序盤のロボトニック博士から逃げるシーン『ソニックアドベンチャー2』のシティエスケープ。撮影場所も共通モデルであるサンフランシスコだった。
ティーンソニックが元々住んでいた島やBGM『初代ソニック』のグリーンヒルゾーンで、BGMは『ソニックマニア』のOP。
育ての親がフクロウメガドライブ時代の書籍で「ソニックの育ての親はフクロウ」と言及されていたものがあった。
ベビー(幼少)ソニックの命を狙った戦闘民族あれはナックルズ族。パンフレットで飯塚プロデューサーが公言している。
リングの力でワープできる設定メガドライブ時代のスペシャルステージの入り口。
不毛なキノコの惑星『ソニック&ナックルズ』のマッシュルームヒルゾーンがモデル。
ティーンソニックが手にした宇宙地図ゲームにおける7つのActやカオスエメラルドの数と同じ。
「青い悪魔」の似顔絵海外ファンが大好きな「Sanic(サニック)」。公式もネタにしていて、「青い悪魔(Blue Devil)」は『ソニックドリフト2』におけるメタルソニックの車名。
カンフー遊びをしていたときのハチマキメガドライブ時代のタイトル画面で登場するエンブレム。
「グリーンヒルズ」という街そのまま『初代ソニック』のグリーンヒルゾーンが由来。ティーンソニックの第二の故郷であるという暗喩(ゆ)?
周りが静止するほどにティーンソニックが相対的に速く動くアニメ『ソニックトゥーン』の大みそかの話?
夜に野球をするなどのティーンソニックの一人遊びアニメ『ソニックX』でも夜に野球をやっていた。アニメ『ソニックトゥーン』では結果的な一人遊びを割としている。
バーでチリドッグを食べるソニックはチリドッグが大好物。
リングの入った袋を落とすゲーム内でソニックがダメージを受けてリングをばらまくのが由来。
ミサイル攻撃の一時停止メガドラ時代の待機ポーズ。
万里の長城を走るシーン『ワールドアドベンチャー』のチュンナン昼ステージ。
ロボトニック博士との最終決戦一瞬だけ『大乱闘スマッシュブラザーズSP』のソニック立ち絵ポーズになる。
終盤に流れるピアノ曲『初代ソニック』のグリーンヒルゾーンBGM。
ラストのテイルスの声アニメやゲームと同じ広橋涼さん。ただしへリテイル(しっぽ飛行)はメガドライブ準拠。

もっと詳しい人なら、さらに見つけてくれそうですし、アメコミ作品に詳しい方が言うには、「アメコミキャラクターのオマージュ要素が多いが、それを面白く表現している」のだそうです。

追記

ツイッターで「終盤に流れるピアノ曲」の楽曲元について教えてくれた方がいましたので、リンクを貼っておきます。

『THE FLASH/フラッシュ』のオマージュも多い?

オマージュで言うと、DCコミックヒーローの『フラッシュ』を主人公にした2014年のテレビドラマ『THE FLASH/フラッシュ』も参考にしているんだなと、のちにドラマ版を視聴してそう感じましたね。

なお、海外ファンの間では昔から、「フラッシュとソニックはどっちが速い?」みたいな論争もあるそうです。海外の人ってこういったキャラクター比較好きだよね。

稲妻を発しながら走るシーン、相対的に速く動いてスローに見える部分、冒頭のコミカルなあらすじなどがそうで、劇中でもフラッシュのアメコミをソニックが読んでいますからね。

気になったところ

ここが惜しかった

本作について気になった箇所をいくつかと。

ロボトニック博士の性格

ゲームやアニメのエッグマンも天才なのにワガママで横暴な科学者でしたが、本作ではそういった感じではなく、奇行を繰り返す変人という印象が強め。なんというかエッグマンではなく、映画『マスク』のコメディシーンを観ているかのようです。

あの映画も同じくジム・キャリー氏主演で山ちゃん吹き替えですしね。

ロングクローのデザイン

ティーンソニックの育ての親「ロングクロー」のデザインが、擬人化表現があまりされておらずただのフクロウであるところ。

ただ、アニメ『ソニックOVA』に登場した大統領執事もまんまフクロウのデザインだったので、この映画だけがおかしいというわけではありません。

しかしジェットなどのバビロン盗賊団や、アニメ『ソニックトゥーン』で登場したソアなど、鳥モチーフのソニックキャラクターは何人もいるので、その流れを汲(く)んでもよかったのではと思いました。

助手のストーン

ロボトニック博士の助手である「ストーン」のキャラクターが、あまりにも薄い。

メイン登場人物たちがみんな個性的すぎるのもあるかもしれませんけど、いてもいなくても大して変わらないような存在でした。

ただ、ロボトニック博士がそもそも人間嫌いなので、余計な感情を持たない人物を助手に選んだという解釈もできます。

とはいえ、ゲームのオーボット&キューボットやアニメ『ソニックX』のデコー&ボコーのように、ただの従順ではなく、異常に敬愛しているとか、裏でこきおろす言動をとり入れてもよかったでしょうね。

エンディングの洋楽

一言で言えば、よくある洋画の洋楽。

ソニックならば、アップテンポで爽快感のあるロックやビート系を流してくれるだろうと少し期待していただけに、ここは正直残念に思いました。

曲そのものは悪くないも、ソニックらしい楽曲かと言われると、そうでもないとしか言えない。

変更前デザインの未記載

こんなのを見たがるのは自分だけでしょうが、パンフレットの話で、ティーンソニックのモデリング変更の経緯や元デザインが掲載されていないことですね。

パンフレットの飯塚プロデューサーのインタビューでそれを匂わせる記載はあった程度で、個人的には初期デザインのベビーソニックはどうなっていたのかが見たかった。

デザインの変革は結局ネット上のインタビューのみの言及で、事実上、完全になかったことにされているのはもったいない。

異端者かもしれませんが、ブサイク顔の足マッチョソニックもあれもあれで好きでしたよ。ネタ的な意味で。

総評:ソニックを知らなくても楽しめる映画

爽快なファミリー映画

公開前はモデリングから声の担当まで、散々言われていた(に加えて、ファンの苦言に挑発行為をしていた海外公式アカウントも含む)映画ソニックは、実際に観に行って、映画の本筋やストーリー自体はしっかりしていたことがわかりました。

本当に初期モデリングがよくなかっただけだったんだなぁと。

エンディングクレジットでは飯塚プロデューサーの名前が記載されていましたけど、デザイン変更前から関わっていたのか、それとも騒動後にデザイン監修として配属されたのかはわかりませんけどね。

メガドライブ世代にはたまらない

ソニックを知らなくても楽しめる映画ですが、知っている人に関しては、最近のソニック作品(モダンソニック)世代よりも、メガドライブ(クラシックソニック)の世代の人はより楽しめる映画です。

上述したパロディもさることながら、エンディングもメガドライブリスペクト満載ですよ。

ラストシーンはいわゆる、続きを思わせて物語が終わる「クリフハンガー」的な表現ですが、もし本作の続編があるのなら期待したいですね。

追記

続編が2022年に公開されることが発表されました。

『ソニック・ザ・ムービー』続編、2022年4月公開決定。黄色いアイツが活躍?|engadget日本版

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  • 赤竹ただきち  Tadakichi Akatake

以前書いた「正しい批判とはなにか」の記事が一部で反響をいただいて嬉しい限り。それだけ批判の意味が曖昧な人が多い一方、「正しい批判を知ろう」ということなんだろうと。

モラル・客観的・建設的な観点から世間の常識や風潮を疑い、自分から動いて、自分で考えるって大切なことなんだよね。

お金は卑しいものって風潮が、「国民を等しく貧しくさせる」という、江戸時代の経済思想が由来であるように、「世間の風潮や常識は、自身や現代社会に即しているのか」と考えてみるのは、自分を成長させる第一歩。

イラストレーター・ライター・フロントエンドエンジニア・WEBデザイナーの京都生まれなウサギ好き。性別問わず好きなタイプは「反省から学ぶ能動的な人」。物事を定義づけし、見解を交えてわかりやすく解説するのが得意なため、各所でご好評の声を頂いております。

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