
以下より『ソニック×シャドウジェネレーションズ』のSteam版をプレイした感想のほか、
- 作品の元ネタ解説
- ソニックのポリコレ化? 問題
- チャオ育成・チャオガーデンがない理由
- シャドウが銃火器を使わない事情
上記の内容も含めて述べていきます。本作の略称は長いタイトルに加えリマスター+α作品のため、公式・ファン名称がいくつかあるんですね。
- 『ソニックシャドウG』
- 『ソニシャG』
- 『白ジェネ・黒ジェネ』
- 『ソニジェネ・シャドジェネ』
そのため当記事ではソニックジェネレーションズ(リマスター版)を『ソニジェネ』、シャドウジェネレーションズ(完全新作)を『シャドジェネ』と呼称します。
ソニック×シャドウジェネレーションズ|SEGA

© 2024 SEGA, Studio Giggex
また今作の前日譚(たん)にあたる15分アニメ『闇の序章』もあわせて観ると、シャドウの心情やマリア・ルージュ・オメガたちとの関係をより深く知ることができます。
この闇の序章に登場したシーンの元ネタや場面解説は別記事にまとめています。シリーズをよく知らない人でもわかりやすく読めるようにしていますので、よろしければご一読ください。

ネタバレ注意
作品の内容・結末が記述されています
ソニックジェネレーションズについて

© 2011-2024 SEGA
ソニジェネは2011年に発売された作品のリマスターで、
- 残機の廃止(オプション設定可)
- ドロップダッシュの追加
- グラフィックの修正
- チャオレスキューの追加
- 60fps対応(スイッチ版は30fps)
このように公式発表はされていて、操作も2022年の『ソニックフロンティア』と同じものから、オリジナル版と同じレガシースタイル、PC版であればキーコンフィグも可能です。
それ以外にも次で説明するように、オリジナル版とは結構変わっているんですね。
『白の時空』というサブタイトルがつくのは、ニンテンドー3DSで『青の冒険』があったからです。

青の冒険はシャドジェネもあって文字どおり見る影もない。ソニック初の3DS作品で面白かったよ。

セリフやムービーの新録・差し替えがある

カラーズアルティメットなど、今までのリマスター作品と異なり、今作のソニジェネはイベントシーンのセリフやムービーが見直され、いくつか新録されています。
操作説明のオモチャオがそうですし、エッグマンも故・大塚周夫氏ではなく現在の中村浩太郎氏になっていたのはわかりやすいですね。
2011年当時はファミリー向け戦略の影響で字幕のひらがな率が高かったですが、今作は漢字の比率が増えています。
中村浩太郎氏は病気療養中のためか、少し滑舌が苦しそうな感じが否めなかったですね……

逆にジェラルドのような静かな声のトーンはハマっていて自然だったから、元気な人物の役は現在難しいのかもしれない。


© 2011-2024 SEGA
仲間救出後のイベントシーンだと、オリジナル版ではモダンソニックは無言の反応だったものの、今作ではちゃんとそれぞれのキャラクターに合わせ、一言セリフを返すようになっています。

ソニックジェネレーションズのほうは過去にプレイ済だし、リマスターだから見るところは特にないかなぁ。
そう思っている人がいれば、オリジナル版とのセリフ・ムービー比較を楽しんでみてもいいかもしれません。本当に結構変わっていて新鮮な気持ちでプレイできます。
逆にタイムイーター戦の戦いにくさやホーミング連呼は当時のままなので、ここはホーミング頻度を減らすなどで直してほしかった部分ですね。
今回のリマスターを内製にしたのは、外注のカラーズアルティメットが当初バグだらけだったせいかも……



ソニックがポリコレに屈した?

セリフのみならず、ジェネレーションズは10年以上前のゲームなのもあって時代に合わせてか、イベントムービーも修正されています。
たとえばオリジナル版だとソニックがエミーの顔面を押さえたり、エミーがナックルズを突き飛ばすシーンが今作では別の表現に直されていますね。

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このようにイベントシーンやキャラクターの表現も修正されているのを見た一部海外コミュニティのソニックファンが、

ソニックもポリコレ(多様性・中立的配慮)に屈してしまったのか!
と言っていましたが、
いまさら騒ぐことでもないし、そんなやり玉に挙げるレベル?

が、個人的な認識ですね。というのもソニックシリーズは時代の流れで、人物の口調や服装、修正・変更は何度もされています。
余談ですが、ポリコレの大枠として『DEI』という言葉もあります。ポリコレはDEIの一部です。

過去に変更された表現の一例

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- 「アドベンチャーからの日本語版モダンエミーはコギャル口調で話す」
→ ソニックXや新ソニ(ソニック2006)から、その口調設定は消滅。 - 「カラーズアルティメットで日本語版エッグマンのセリフ修正」
→ 「おネエ声か」が「ふざけおって」に差し替えられている。 - 「ソニックプライムでエミーとルージュの服装が変更」
→ エミーは背中が見えない服、ルージュも露出を抑えたデザインに変更。
闇の序章のルージュもゲーム本編のデザインに合わせられていて、普段は襟(えり)足と羽で背中が見えにくく、胸元も言われないと気にならないレベルです。

© 2024 SEGA, Studio Giggex
あえて言うなら、公式がセリフ・イベントシーンも変更したと一切言及していないように見受けられるので、それは良くなかったかもしれません。
ここは「公式がリマスターだって言ったのにウソをついた!」と感じる人がいるかもしれない。



一部コミュニティと情報発信者がいたずらに広げている印象
とはいえ、「ソニックがポリコレに屈した」と騒ぐ人は上記を見ればわかるように、
- ソニックの歴史を知らない・にわかの人
- 昨今のポリコレにノイローゼ気味な人
- 元のジェネレーションズが大好きすぎる人
- ろくに調べず理由をつけて騒ぎたいだけ
このような感じでしょうか。
海外のポリコレ疲れは日本の比じゃないので、過剰(かじょう)反応もわからなくはない。

自分なら「オリジナル版との変化」をむしろ楽しむ範囲で、ルージュも正面デザインはパッと見だと従来どおりですからね。
もし仮に、
- エミーの通常衣装でスカート廃止
- 女性キャラクターのまつげが消える
- 素肌と似た色のインナーで肌を隠す
百歩ゆずってこれだったら騒がれるのもまだわかります。
しかし描写がマイルドになりルージュの胸元・背中が少し見えないぐらいで、むしろルージュはデザイン修正に気づいて「極力崩さずセクシーなまま隠したな」と感心したほどです。
この件は一部の海外コミュニティと、それを面白がっている物書き・動画投稿者がいたずらに拡散して、騒ぎを大きくしている印象を受けます。
特に今作でジェネレーションズを初めて遊んだ人からすれば気にもしない範囲でしょう。
YouTubeでも「セガもポリコレに感染」とあおったまとめ動画を出した人がいましたね。

エミーを「エイミー」と何度も間違うあたり、ろくにソニックを知らない人の再生数稼ぎかと。


チャオ育成・チャオガーデンは実装されていない

アドベンチャーシリーズで登場したチャオ育成は、日本のみならず海外でも人気があるため、チャオレスキューの登場で今作の実装を期待している人もいるかもしれません。
しかし今作にチャオ育成・チャオガーデンはありませんし、開発者インタビューでも「無い」ことが強調されているほどです。
そもそもとして開発者たちのインタビューを見ても、チャオ育成・チャオガーデンを復活させること自体に消極的であるのが、過去に何度も示唆されています。
VGC:(チャオが登場するイベントシーン)画面の反応から、ファンは(チャオガーデンの)復活を望んでいると思います。将来的に復活させる予定はありますか?
飯塚:(チャオガーデンを)みなさんが欲しがっていることは知っています。いつも聞かれていますから、いつかは復活させるかもしれません。
(翻訳・意訳)
‘SHADOW DOESN’T NEED A GUN, HE IS A WEAPON’ – SONIC TEAM TALKS SHADOW GENERATIONS|VGC
(ソニック×シャドウジェネレーションズの)デモを試遊したあと、ソニックチーム代表の飯塚氏に話を聞いたところ、「もしチャオガーデンを復活させるなら、ソニックアドベンチャー3を出すときだけだろう」と答えました。
(翻訳・意訳)
HANDS-ON: Sonic X Shadow Generations is a welcome remaster of Sonic’s turning point|VGC
――ソニックの新要素「チャオレスキュー」で集めたチャオが,例えば「チャオガーデン」のような遊びに絡むことはあるのでしょうか。
中村氏:今回,チャオガーデンはないですね(笑)。まずは,チャオを集めることを楽しんでみてください。
「ソニック×シャドウ ジェネレーションズ」試遊レポ&開発者インタビュー。シリーズの歴史とシャドウの魅力を同時に味わえる1本だ|4Gamer
「ファンの声は理解しているけど復活は現段階で考えていない」形で、ソーシャルゲームでチャオ育成ゲームが出るリークも2024年にありましたが、「あるかもね」程度の認識が無難です。
チャオ育成は自分も好きだけど察してあげるのがいいかも。

飯塚氏は「アドベンチャーはハイスピードアクションとは異なる遊びを詰め込みすぎた」と過去に言及したこともあります。

シャドウジェネレーションズは『シャドゲ』の続編

© 2024 SEGA
完全新作のシャドジェネは、「ソニックたちがタイムイーターの事件に巻き込まれていたとき、シャドウは裏で何をしていたのか」と補完する内容になっていました。
しかしシャドジェネのゲーム内容・ストーリーともに完成度が非常に高いため、シャドジェネがメインディッシュでソニジェネは副菜になっているぐらいの存在感です。
アニメ闇の序章も一緒に鑑賞すれば、一本の映画を観たぐらいの満足感がある……

ロゴで「SHADOW」の「O」がブラックアームズのシンボルであることからもわかるように、シャドジェネは『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ(シャドゲ:2005)』の正統続編です。
グラフィック部分はフォースやフロンティアと同じヘッジホッグエンジン2を採用しているため、ソニジェネ以上に美しいグラフィックが特徴とのことです。
ソニジェネは当時のヘッジホッグエンジン1改良版が使われていて、本作は初期型PS3のように、PS3部分とPS2部分が同居しているような構造だそうです。


ブラックドゥーム復活は2021年に示唆されていた?
今作の敵「ブラックドゥーム」は、シャドゲで人類を含めた地球生物すべてを家畜にしようと侵略し、シャドウに倒されたものの、時空異常の影響で復活したかたちになります。
ちなみに2021年ごろにシャドウを含めたソニックたちのアンサー動画があり、
「昨日ドゥームズアイと夕食に行った。僕とジンジャーエールを頼んでいる」
Sonic Twitter Takeover #5 – All Answersより翻訳・意訳
こう答えていて、海外では「これ伏線だったのでは?」と語った人がいましたね。まあ可能性は低いとはいえ、過去にシャドウが公式でそう言っていた意味では面白いつながりです。
海外公式のシャドウはたまにはっちゃけるよね。シャドゲのときは「アクション映画を観るのが好きだ」って答えていたし……

今作でシャドウが銃などを使わない理由

© 2005 SEGA
シャドゲでは銃火器を振り回して人間相手にも撃てたほどでしたが、今作ではドゥームパワーを使用するため、銃火器を扱いません。

© 2024 SEGA
バイクだったらコレクションルームで乗れるね。バイクの台座周りが中二ロマンあふれる。

Robloxで配信中のソニックスピードシミュレータなら、バイクに乗って動かすこともできます。

これについては飯塚プロデューサーが海外インタビューで答えていて、
加えて飯塚氏は、今作のシャドウが銃を使わない理由について、「シャドウはめちゃくちゃ強いから(he’s also extremely powerful)」と述べた。
シャドウ自身が非常に強力で、「彼(シャドウ)自身が武器である(he is a weapon)」ため、必要がない限り銃を使うことはないとのこと。
そのため『シャドウ ジェネレーションズ』でも銃が必要になる場面はないと答えたかたちだ。
ソニック新作『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』では、シャドウは銃を使わないと開発者が回答。なぜならめちゃくちゃ強いから|AUTOMATON
このように語っているとはいえ、メタ的なことを言えば「ゲームのレーティング規制(CERO・ESRBなど)が上がるから」の可能性が高いです。
シャドウが銃火器で暴れまわった2005年当時、日本だと作品のCEROは「全年齢対象」として販売されていました。しかしその後、ゲームの規制が厳しくなったんですね。
もしシャドウが銃火器を使うとレーティングが上がるので、若い世代もターゲットにしているセガとしては都合が悪いかと思います。
「シャドウの物語」でもGUN兵士は銃を持たないか、見えにくくしている。今の時代、子供に銃を向ける描写も厳しく見られるみたい。

闇の序章のゲーム収録版も同様で、マリアがGUN兵士に撃たれるシーンがカットされる自主規制がされていました。


© 2005 SEGA
「モンハンはCERO:Cだけど小学生も遊んでる」はごもっとも。でも大人の都合は留意したい。

ソニックは海外だとマリオやポケモンと同じぐらい人気です。だからより気にするんでしょうね。



ステージ・ボスの元ネタ

ソニジェネの場合は1991年〜2010年の作品でまとめられていたのに対し、シャドジェネは2001年〜2022年の作品でまとめられています。
スペースコロニー・アーク | ソニックアドベンチャー2(2001) |
---|---|
レールキャニオン | ソニックヒーローズ(2003) |
キングダムバレー | ソニック・ザ・ヘッジホッグ(2006) |
サンセットハイツ | ソニックフォース(2017) |
カオス島 | ソニックフロンティア(2022) |
ラジカルハイウェイ | ソニックアドベンチャー2(2001) |
「カオス島になぜシャドウがいるのか」と疑問だったものの、ジェラルドから「未来で経験する可能性がある」という見解はあれど、ストーリー上では特に言及されることはなかったですね。
ソニジェネは「エッグマンが過去の敗北の歴史を書き換えるため」で、シャドジェネは「ブラックトゥームがシャドウを育てる養殖場」のような感じですから、目的が違います。
その点を考えると、今作より未来時間軸にあたるフォースやフロンティアのステージがあっても不思議ではないかもしれません。
次からはボスの元ネタを解説していきます。
カオス島のスプリングやジャンプ台をフロンティア仕様にしているのも細かいよね。


バイオリザードについて

アドベンチャー2のラストエピソードでシャドウに立ちふさがったバイオリザードは、サンショウオを参考に不老不死研究で創られた実験体のプロトタイプ(試作品)です。
ブラックドゥームへ接触する前に創られたもので、屈強な皮膚・生命力こそあれど満足できる成果とはならず、やむを得ず背中に生命維持装置を埋め込んだ形なんですね。
そこからブラックドゥームと取引をして彼の細胞を入手し、バイオリザードで得た知見もあわせて完成形にしたのがシャドウでした。
バイオリザードはカオスコントロールを使っていたから、どこかのタイミングでブラックドゥームの細胞を入れたのかも。


© 2001 SEGA
オリジナル版の「生命として未成熟なトカゲ」な感じと比較すると、シャドジェネは口の中に歯が生えていたり挙動に迫力があって、成長した印象を受けましたね。
飯塚プロデューサーのインタビューによれば、シャドウはバイオリザードを特になんとも思っておらず、シンパシーのようなものはないそうです。
シャドウも「みにくいサンプル」と吐き捨てているからね。

メタルオーバーロードについて

ヒーローズのラスボスだったメタルオーバーロードの正体は、AIチップの高性能化によって自我が暴走したメタルソニックです。
「ソニックを倒すべく造られた」のにソニックには一度も勝てなかったことから、自分で自分の体を改造し、相手の力をコピー・廃材から兵器を造る能力を習得しました。
ソニックに勝ちたいから体を改造してバケモノに成り下がった、悲しいキャラクターなんだよね。


© 2003-2019 SEGA
このメタルオーバーロードに至るまでには3形態が存在し、
- メタルソニック
- ネオメタルソニック
- メタルマッドネス
- メタルオーバーロード
このように進化した形で、個人的にネオメタルソニックは本作で見たかったですね。直近でネオメタルソニックが活躍したのは、スピードシミュレータとIDWアメコミ版ぐらいでしょうか。
BGM『What I’m Made Of…』はオリジナル版の原曲を使っていると思われるでしょうが、よく聞くとギターの響きが微妙に違う新録版です。
自分自身を「真のソニック」と言っているのは、ソニックを超えることに異様な執着心があるから。

カオスコントロールが通用しないのは、シャドウの能力をコピーしているからです。


IDW版ではスーパー化した「スーパーネオメタルソニック」、マスターエメラルドをとり込んだ「マスターオーバーロード」も登場しています。
スーパーネオメタルソニックはちょっとドラゴンボールAF感があって好き。公式作品だけど。

メフィレスについて


© 2024 SEGA
新ソニ(ソニック2006)で登場したメフィレスは、シャドウの影をコピーしたことで彼と似たような姿・口調になっています。
正史作品だと1作しか出ていないシリアスな悪役にも関わらず、その容姿や「実に残念だァ!」などの独特な言い回しと渋い声で、日本どころか世界中でカルト的な人気があります。
知らない人にドラゴンボールでたとえるなら、「ソニック界の旧作ブロリー」みたいなもの。

それだけではなくメフィレスは正史作品でただひとり、「ソニックを本当に殺したことがある悪役」でもあるんですね。

© 2006 SEGA

大勢のファンはメフィレスがソニックを殺したと言うけど、実際には殺してない。あくまで意識不明にしただけだ。
一部ではこのように語る人がいますけど、その可能性は以下の理由で低いと考えます。
- 後述の理由から、レーザーではなく結晶の槍でソニックの胸元を串刺しにした。
- 串刺しにされる瞬間、画面が白黒になって「死」を暗示している。
- ラストステージは時空間消滅の影響でソニックの魂がとどまっていた。
- メフィレスがそんな生ぬるいことをしないし、ソニックを生かす理由もない。
てっきりレーザーのようなもので背後から殺したと思っていたのですが、今作でレーザーではなく結晶の槍であったことが判明したので、よりソニックへの殺意を感じさせましたね。
特に4が一番の理由。ストーリーを見ればソニックを生かそうだとか、メフィレスがそんな温情な人物なワケがないかと。

元の作品では仲間たちの尽力でソニックは生き返り歴史改変をしたことで、新ソニの出来事がすべて無かったことになり、メフィレスは誕生せず存在しない世界になっています。
そのため、シャドウは彼のことを覚えていません。

ところどころでパロディネタ

元ネタでいえば、ソニックシリーズ恒例のパロディは随所で見られ、たとえばブラックドゥームの空間にある建物の表現は『ドクター・ストレンジ』っぽさがあります。
メフィレス戦でカオスコントロール+ドゥームスピア、ラスボスで相手のカオスコントロールを自分のカオスコントロールで上書きするなどは、ジョジョ3部の承太郎vsDIOネタでしょうね。
ライダーキックのような動作もあるため、王道マンガ・特撮のパロディを探すのも面白いかもしれません。

異世界おじさんのプレイ動画だと、中の人つながりでDIOネタをやっていましたね。

メイベル役の悠木碧さんは重度のソニックオタク+自著に書くほどシャドウ推(お)しだから、テンション上がってそう。


意図的かどうかは不明ながら、シャドジェネのカオスコントロール表現はアニメ『サイバーパンク エッジランナーズ』のサンデヴィスタン発動シーンを思い出させます。
ジェラルドとマリアが深く掘り下げられている

ジェラルドには2人の息子がいたことは、2024年の韓国ファンイベントQ&Aで明かされていたものの、どのような容姿・人物だったのかが今作の手記でわかりましたね。
マリアの両親は50年前の時点だと健在で、地球にいたころはスパゴニアへ家族旅行に行ったことや、実の妹がいたことも明かされました。
スパゴニアはワールドアドベンチャーで登場した芸術の国。ソニジェネのオレンジルーフス=スパゴニア。

追 記
当初「シャドウ」の名前の由来は今作だと記載しましたが、正しくは2016年のソニックコミック版が初出だったので訂正いたします。
Act:006 影の来し方|ソニックチャンネル
ジェラルドの手記は過去作と新設定の入れ込みが見事

ジェラルドの手記にはジェラルドの息子(エッグマンの父親)についての言及があったり、彼が精神崩壊する前からマッドサイエンティストなフシがあるなど、読み物として面白いです。
手記の中盤は日本未発売の『ソニックライバルズ2』、後半は『ソニックバトル』のジェラルドの日記がベースになっているのも、なかなか興味深い構成になっていますね。
アドベンチャー2ではGUNのデータベースに保管されたデジタルデータでしたけど、おそらくGUNがアナログの手記をデジタル化してアーカイブ保存したのかもしれません。
ライバルズとバトルは正史作品にカウントされていることが明確にわかるね。

有料DLCステージ『[Extra]トウキョウ』について

2024年12月には映画『ソニック×シャドウ Tokyo Mission』との連動で、実写映画版シャドウを操作して東京の街を駆け回るステージ『[Extra]トウキョウ』が有料配信されています。
映画の邦題では「トーキョー」だけどDLCでは「トウキョウ」表記。

音声は日本語(いわゆる森川シャドウ)は収録されておらず、英語音声のキアヌシャドウと日本語字幕で進行します。
ステージはしっかりと日本人スタッフが作っていますから、ビルのディスプレイ表示が現実の警報と同じなので、安心感がありますね。
インタビューでは取材して作成したと明かされているものの、ステージの描写密度と制作期間を考えると、マリオ&ソニックや龍が如くの素材も活用していそうな感じがします。
フロンティアとは違って有料のダウンロードコンテンツであるため、気になる方はデジタルデラックスパックを事前に導入しておきましょう。
ステージ曲の元ネタはシャドゲの『ウエストポリス』だよ。


ステージ背景の元ネタ(一部)

ステージをよく見ると、看板や広告にはセガ・ソニックネタが数多く存在しています。量が膨大ですから一部をピックアップすると……

© 2022-2024 SEGA, Paramount Pictures

© 1993-2024 SEGA, DIC Entertainment

© 1991-2024 SEGA, Paramount Pictures
速音トモコです!|ソニックチャンネル
- 『車のナンバープレート「大崎」「せ」』
→ セガ大崎オフィス - 『Needle Mart』
→ ソニック・ザ・ヘッジホッグ - 『カオス銀行』
→ カオス(もしくはカオスエメラルド) - 『テイルスホームズ』
→ テイルス(マイルス・パウアー) - 『針土竜』
→ ナックルズ・ザ・エキドゥナ - 『ばら歯科』
→ エミー・ローズ - 『マリンヤ』
→ マリン・ザ・ラクーン - 『ROUGE TB』
→ ルージュ・ザ・バット - 『ベクターコーヒー』
→ ベクター・ザ・クロコダイル - 『カメレオン書房』
→ エスピオ・ザ・カメレオン - 『ジェット BABYLON』
→ ジェット・ザ・ホーク+バビロン盗賊団 - 『WAVE』
→ ウェーブ・ザ・スワロー - 『ストーム商事』『アルバトロスクリニック』
→ ストーム・ザ・アルバトロス - 『CAFE EGGS』
→ ドクター・エッグマン
このようにゲーム本編のみならず、実写ソニックのネタや初期カートゥーンなど、ソニックの歴史を知っていると面白い内容になっています。
ポスター探しのついでに渋谷の街をゆっくり散策するのも面白いかもしれません。

© 2024 SEGA, Paramount Pictures

『鵠沼水産』『関東観音寺福祉大学』は不明だった。検索でも出てこないし架空かもしれない。

海外人気が強かったテリオスのスキン

デジタルデラックスパックを導入するともらえる「テリオススキン」は、シャドウの初期デザイン案を3Dモデル化したものです。
海外ではテリオスも根強い人気があり、スーパースターズで初期案のラビットを導入したのもあって、テリオススキンがつくられたとのことです。
『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』は、ソニック初心者の“最初の1本”になる作りに。キアヌ・リーブスがボイスを担当するDLCの開発エピソードも聞いた【TGS2024】|ファミ通.com

気になった部分

© 2024 SEGA
アクションステージ部分の作りや不満は特にないものの、ホワイトスペースの仕様を中心に気になった点がいくつかあります。
宝箱・部品集めが大変

フロンティアであればマッピングしたり、アイコンが細かく探しやすいのですけれど、シャドジェネはマッピングが打てないし地図も自由移動ができず、場所も非常にわかりにくいです。
地図の見方を間違えているのかもしれないことは前置きしつつ、部品集めにいたっては地図に記載がなくノーヒントです。フロンティアの利便性を今作でも活用してほしかったですね。
コレクションキーもノーヒント

ソニジェネならレッドスターリングのヒントを仲間たちに聞けるものの、シャドジェネはノーヒントで探さないといけません。
中盤までであれば容易に探せるのですが、後半ステージやラジカルハイウェイは何周も探索しても見つからないことがままありました。
ドゥームモーフが難しい

シャドウがタコのような姿に変形するドゥームモーフは、2D視点の真上ジャンプだと位置がズレてダッシュリングをくぐれなかったり、反動をつけて飛ぶ挙動にかなりのクセがあります。
まったく操作できないというわけではありませんが、他のドゥームパワーと比べて慣れるまでが非常に大変でした。
インフィニットの出番なし

© 2017 SEGA
シャドウと因縁があるインフィニットは、シャドウヒストリーでインフィニットとシャドウとの対決が記載されているだけで出番はありません。
海外の公式設定上ではインフィニットは死亡しているだけに、メフィレスのように歴史改変で復活してシャドウに一矢報いてほしかったですね。
だからインフィニットの活躍(?)が見られるのは、スピードバトルのような非正史作品ぐらい。


最後に:作品間のかけ合わせが非常に秀逸

© 2024 SEGA
ソニジェネとシャドジェネは「スピードラン・やりこみ」が前提の作品であるため、ストーリー目当てだと両作品を合わせても、合計8時間ほどのプレイ時間でクリアが可能です。
シャドジェネに関しては短いながらもストーリーの密度がかなり濃く、シャドウを深く理解しないと作れないぐらいに凝縮されていますから、大満足の内容でした。
両作品のつながりも事前に用意したのかと思うぐらい自然で、かつテイルスのフェイクエメラルドを登場させるなど、ストーリーが秀逸(しゅういつ)なんですね。
とはいえホワイトスペースでのシャドウとソニックの再会で、シャドウのセリフ内容が真逆で違うのは気にする人はいるかもしれません。
ラスボス曲が『All Hail Shadow(シャドウ万歳)』のアレンジなのもいいね。文字どおり「深く頭を下げシャドウ万歳」だよ。

「シャドウの物語」でシャドウというキャラクターを大まかなあらすじで説明し、知らない人でも彼を知ることができるので事前準備不要です。
しいて言うなら、アニメ闇の序章は観ておいたほうがいいかもしれません。YouTubeで無料公開されていますし、プレステユーザーならボーナスコンテンツで閲覧可能です。
ただしプレステ収録版はレーティングの影響で、ジェラルドの拘束・マリアがGUNに撃たれるシーンはカットされているため注意です。
どちらを遊ぶかは自由に選択できますが、シャドジェネのほうが遊びやすく作られています。

中村プロデューサーの汚名を返上した作品でもあるかと。前回のフォースは賛否両論でファンが満足できなかったからね。


ポリコレ疑惑は一部が大騒ぎしているだけ
ソニジェネはごく一部でポリコレ問題だと騒がれているものの、正直言って過剰反応のレベルで、それを物書きや動画投稿者が面白がって拡散している感じです。
むしろ自分はオリジナル版からの変化を楽しんでいるし、ソニジェネをはじめて遊んだ人からすれば気にもしないレベルなんですね。
ゆえに初めて遊ぶ人は過度に騒ぐ人たちに惑わされず、安心していただければと思います。
過去作品・メディアでも、時代の流れでセリフ・デザイン変更は何度も経験済。なんで今作で騒ぐ人がいるのかが不思議。

シャドウとマリアの愛は美しい

今作でもっとも価値があるのは、「シャドウとマリアの関係をかなり踏み込んで描いたこと」です。恋愛ではない家族・姉弟愛を、アニメ版もあわせてしっかり掘り下げているんですね。
なおホワイトスペースでマリアに話しかけると、「シャドウの飲食はコーヒーを飲んでいるところしか見たことがない」と劇中で言っています。
シャドウの好物はブラックコーヒー?
これは公式設定で、アニメエキスポ2024で飯塚プロデューサーが「シャドウの好物はブラックコーヒー」だと明かしています。
よく言われるようになった「シャドウはむしろコーヒー豆を直接食べるのが好き」は、おそらく2017年の海外のアンサー動画が元ネタだと思われます。
このころは一種のジョークのように扱われていましたが、公式設定化した感じでしょうか。
ほかにも2005年の1up.comにあったシャドゲ発売の本人直撃インタビューだと、携帯できるジャンクフードが好きらしいのですが……
こちらはソニックチームのジョークか公式設定でいいのかは微妙ではあるものの、『チームソニックレーシング』のアニメではポップコーンを食べるシーンはありますね。

© 2019 SEGA, Neko Productions
チームソニックレーシング オーバードライブ|YouTube
シャドウがギャグオチ担当をしている貴重な公式アニメ。


シリーズ入門用ソニック

開発者は「今作はソニック初心者がシリーズを知ってもらう入門用」と言っていますし、やりこみを無視してストーリー目的で進めたら、8時間ほどで両作をクリアできます。
お手軽だけど「濃い」ので、なぜソニックやシャドウが世界中で大人気なのか、その理由を知るきっかけになるかもしれません。
シルバージェネレーションズはまだ先かなぁ。新ソニとライバルズぐらいしかないし……


『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』は、ソニック初心者の“最初の1本”になる作りに。キアヌ・リーブスがボイスを担当するDLCの開発エピソードも聞いた【TGS2024】|ファミ通.com

