
アームストロング上院議員はユニークなキャラクター性や曲も相まって、メタルギアシリーズの敵の中で一番好きで、ここまで印象を奪われるようなセリフが多いのも魅力的ですね。
以下からMGRを難易度ノーマルクリア感想と、低評価への疑問点を交えて述べていきます。
ネタバレ注意
作品の内容・結末が記述されています
メタルギアではないクソゲー?

本作は主にステルスやストーリー面で叩かれている場合が多く、低評価の理由が大体これです。
海外レビューでも不満を言う人がいるのは事実ですが、それを上回るほど、自由切断のアクション性で完成度が高いゲームだと高評価なんですね。
今作はMGSではなくMGRであり、「ライトニングボルトアクション」であって「タクティカルエスピオナージアクション」ではありません。
小島監督もほとんど関わっておらず、スピンオフの外伝なのは公式でも言及済です。
- メタルギア「ソリッド」(MG“S”)
- タクティカルエスピオナージアクション
- 小島秀夫ゲーム(A HIDEO KOJIMA GAME)
もし上記があるなら別ですが、ソリッドではない外伝スピンオフと発売前から言われていたのに、正統続編と思い込むのかが不思議ですね。
「メタルギアという名前じゃなかったら~」というのも、マリオだってレース・パズル・RPG・テニス・ダンスゲームなどがあり、外伝で操作性などが変わる作品は山ほど存在します。
ステルス要素自体は存在しますが、MGS4の雷電ですらアクション要素満載でしたからね。
「小島監督が関わっていないから」を言い換えているだけで、「メタルギアが好き」ではなく「監督の作るものが好きなだけ」だと思いますね。
正史という意味の勘違い


正史=小島監督関与作品

MGRって正史じゃないパラレル作品じゃないの?
それは大間違い。正史と公式で紹介されているのは、「小島秀夫監督が完全関与した作品」のみ。

この意見については、メタルギアにおける正史の定義を勘違いしていると思います。
公式サイトをよく見ればわかるように、「正史の扱いをされるのは小島秀夫監督が完全関与した作品のみ」という前提条件がつけられています。
過去に『メタルギアソリッド ポータブルオプス(MPO)』が正史の分類から外れて国内外で賛否が起こりましたが、これも「小島監督が完全監修していないから外した」にすぎません。
それを言ったらMGS2のオセロットの発言や、カズヒラ・ミラーの経歴も変わっているし……

整理がされる前のMGS4ではMPOは正史の扱いを受け、結果的には「正史でもMPOとよく似た出来事があった」で落ち着きましたね。
ゴーストバベルやアシッドのように、明確にパラレルだと公言されておらず、外伝=パラレルと考えるのは違うのではないでしょうか。
今作に関しては「正史と言っても差し支えないストーリーと内容だった」と言っていいです。
この言葉を忘れていない?


MGS4で予言されていた

愛国者達が消滅してハッピーエンド。ライジングは雷電の幸せやスネークたちの行動を無駄にした。
いやいや、少年マンガじゃないんだから……

「愛国者達を倒しても戦争が撲滅されたわけじゃないし、誰もが幸せになれるユートピアが訪れたわけでもない」
「だがな、久しぶりにサニーに会って、やはり愛国者達を倒すことができてよかったと思う」
雷電|メタルギアライジング リベンジェンス, シャバッザバード基地のボリスとの無線会話より
「これからだ、スネーク。アメリカの秩序は失われ、社会は西部開拓期の無秩序へと還る。この鬼火は世界中に拡がるだろう」
「誰しもが戦いの中で充足を得る世界。親父の、ビッグボスの意思。天国から見放された世界(アウターヘブン)はついに完成した」
リキッド・オセロット|2008, メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット, アウターヘイブン艦上の決戦後の会話
MGS4の話は「ひとつの時代が終わった(終わらせた)」だけで戦争や悪人は消えておらず、新たな火種や問題が出ても不思議ではありません。
そもそもスネークたちの目的は、「FOXDIEやリキッド(オセロット)の脅威を止めること」で、「愛国者達を倒す」は結果論でしたからね。
スネークたちの目的の過程でさまざまな人物の思惑が重なった結果が、「愛国者達の消滅」です。
本作のストーリーはリキッド・オセロットの死に際の予言が完全実現される過程の物語ですね。
「MGS4の行動はなんだったのか」と言っている人は、MGS4の話も理解していないと思う。

MGSRからMGRになった不満と気持ちはわかる


確かにやってみたかった
とはいえ当初のMGS2〜MGS4間の話(MGSR)構想がなくなり、路線変更になったのは事実です。
そこだけ見るなら、ライジングは改悪になったと言われるのはわかりますし、サニー救出と雷電がサイボーグ化する経緯のミッシングリンクが期待されていたことの裏返しでしょう。
しかし何度も重ねますが、これはMGSRではなくMGRなんですよ。
百歩ゆずって苦情を言いたいのであれば、次世代任せにして関わらなかった監督や、若手スタッフの技量不足で進めた小島プロダクション(コジプロ)やコナミに言うほうがまだスジでしょう。
ストーリーやシステムの路線変更をプラチナゲームズのせいにするのはお門違いなんですね。
むしろ自分は、ここまで迷走した作品をストーリーやキャラクターを膨らませ、商品として蘇らせた部分も併(あわ)せて評価したいですね。
ムービーが短いのは、開発期間が短かったのが理由のひとつと言われているそうです。
膨大かつ濃密な無線の数々


MGS3に迫るぐらい
無線量が豊富
- 【MGS2リスペクト】ミームの概念など、MGS2を意識した要素。
- 【デリケートな問題】ストリートチルドレン・児童労働・虐待問題。
- 【SF無線】ドクトルやウルフのリアリティ重視な科学技術・心理学講座。
- 【スネーク自慢】スネークが雷電の人生にどれほど影響を与えたか。
- 【過去作のあらすじ】MGS4の簡単なあらすじ、愛国者達の正体を解説。
- 【MGS4からMGRまで】MGS4後、職探しの雷電の苦労とサイボーグ差別。
- 【MGS4後の世界】MGS4後の世界、現在のオタコン、世論の愛国者達の扱い。
- 【雷電はいい父親】雷電の息子愛が過ぎる親バカや恐妻家(?)の一面。
- 【MGS2要素】民間人の服を切って裸にすると、怒られたり同情される。
MGS過去作の要素・小ネタ・答え・後日談・解説まで収録され、ちゃんとMGSを理解していないと作れないような知識と内容です。
今作のシナリオや無線の脚本を書いたのはコジプロの人(玉利越氏をはじめとした、MGSシリーズでも脚本補佐として関わった面々)ですね。
小島監督の補佐をしてきた人たちだから、MGSのストーリーの大筋をしっかり汲んでいるんですね。

特にドクトルやウルフの無線はリアリティ重視のSF好きにはたまらない内容で、雷電がビッグボス(ネイキッド)のマネをし、MGS2に登場した発狂大佐のグパヤマの話題もあります。
ネット上にはMGRの無線集がありますが、あれでも一部です。特定の装備・場所・条件でしか聞けないような細かい無線も数多いですからね。
今作の史実ネタ・世相ネタ


メタルギア世界にも
9.11があった
MGSには史実ネタ・世相の反映が入っているように、今作でもその血を受け継いでいます。
たとえばアニメ雑誌で「Kawaii(海外版では「Oh Hikari-Chan! So Kawaii」)」とニヤニヤする警備員、「パキスタン政府がテロリストを匿っていた件」というコメントなど……
今作は現実のネットやサブカルチャーの世相を反映した印象を受けますね。
情勢で言えば、メタルギア世界でも9.11テロが起きていて、いまだに続く不況で国民があえぎ苦しんでいるなどが挙げられます。
9.11ネタってサウスパークぐらいしかネタにしてはいけないタブー話題かと思えば、10年以上たった今では少し緩和されたのでしょうか?
本作の後半では『FATA(パキスタンにおける連邦直轄部族地域)』の単語が幾度も登場する一方、史実では本作と同じ2018年(本作発売時は2013年)には消滅しているそうです。
9.11を言及したのは、本作をやっていて一番驚いた部分かも。

連邦直轄部族地域|Wikipedia
本作の気になる点


主に操作面
- 【カメラワーク】通常戦闘のカメラワークが微妙(理不尽)。
- 【ゲームシステム面】斬奪モードのロックオンカーソルに自動補正がかからない。
- 【利便性】ユニーク武器のクイック着脱がなく、無線は3の早送り並に速くできない。
- 【出番や共闘】サニーの出番が少なく、ウルフとの共闘ができない。
- 【不安定】エクセルサス戦において、ブレード攻撃のニンジャラン避け動作が不安定。
- 【やりこみ要素】2週目はプレイング上達が中心(腕収集などないわけではない)。
- 【不親切要素】追加コマンド購入時にボタンの入力方法が書かれていない。
- 【サンダウナーの扱い】サンダウナーおじさんが不憫(ふびん)で後半の小物感。
大まかにまとめると上記が気になりました。
アクションのカメラワーク、クイック着脱はプログラマー泣かせなのは知っていますが、8方向から敵に襲われるゲームなので気になりました。
ウルフとの共闘はぜひやってみたかったし、サンダウナーはサムのように2度戦わせるなど、もっと掘り下げてもよかったですね。これだとハンマーヘッド(戦闘ヘリ)のオマケです。
いろいろ言われるQTE(ムービー中のコマンド入力)は別段不満はありませんでしたね。
QTEのあるゲームはいろいろやったけど、その中でも上位に来るぐらい調和性があったゲーム。

「俺の闘争を続けさせてもらう」の解釈


雷電は
ダークヒーローになった

雷電はMGS4で幸せをつかんだのに、こんな終わりかたは腑(ふ)に落ちないんだけど?
雷電は「ダークヒーロー」になったということです。日本的ではなく、アメコミ的な感じですね。

「愛国者達から取り戻したアメリカを……暴力が支配する混沌の地にはさせない」
「そんな顔をするな。君は笑顔でいてくれ、サニー」
雷電|メタルギアライジング リベンジェンス, アームストロング戦のサニーとの無線会話より
ラストの雷電は賛否が分かれ、MGS4の後であの発言をされると困惑する気持ちはわかります。
しかし人斬りの楽しさはあれど、悪人や殺人鬼になったわけではなく、アームストロング戦で雷電がサニーに語った無線からも伝わります。
モンスーン戦後のコートニーとの無線でも、「快楽のために意味もなく人を殺すような人間じゃない」と言われ、雷電の声が震えますからね。
本当の殺人鬼なら、そんなことを言われないし動揺しません。雷電が他者を思いやれる優しい人物で、本質は変わっていないとわかります。
妻のローズが臨床心理学を学んでいようとも、幼少期のトラウマ払拭は難しいということです。

前述のとおり、雷電はMGS4後の就活中にサイボーグ差別をされてマヴェリック社に拾われた経緯があり、彼自身はすごく家族思いで「家族のために仕事をしている」と無線で語っています。
MGS4を踏まえた内容かつ、一般的ではないものの、過去と向き合い幸せは掴んでいるんですね。
それにボリスたちとも縁が切れたワケではないため、マヴェリック社のコネで仕事を回してもらったり、かつてのサムのように裏社会のボディガードやトラブル処理を請け負えますよね。
これしか言っていない人は…


本当に今作を遊んだ?
- 「メタルギアじゃない」
→ 外伝の意味を理解してる? - 「ステルスじゃない」
→ そもそもステルスメインではない。 - 「どうせ同人ゲー」
→『同人』の意味を調べるべきでは? - 「ストーリーが短い(薄っぺらい)」
→ 無線を聞いていないんだね。 - 「MGS4のラストを台無しにしている」
→ ちゃんと無線会話を聞いてた? - 「この雷電ではスネークも泣いている」
→ むしろスネークは尊重するよ?
ほとんどこれ「だけ」しか言ってない場合、未プレイで動画で遊んだ気になるエアプレイ・動画評論家か、熱狂的な小島監督ファンでしょう。
今作のストーリー内容を否定するのは、正史作品でもストーリーや無線を補佐担当したコジプロスタッフも否定するようなものです。
現に今作を(無線を無視した)ストーリー面で酷評する人のブログやX(ツイッター)を見ると、小島監督やMGSシリーズをほめちぎっていたり、小島信者を自称するケースが多いです。
正直彼らはメタルギアよりも、「監督の作るもの」が好きなだけにしか思えません。
メタルギアが好きなら無線は確認しますし、無線を聞けばストーリーは薄くないしMGS4からしっかり整合性があるとわかるんですけどね。
まだストーリーに触れつつも、カメラワークや操作性、ゲームバランス構成に評価の重きを置くレビューのほうが信頼できます。
メタルギアに限らず、自分から信者を名乗る人にろくな人間はいないんじゃないかと。

総評:無線も聞けばちゃんとメタルギアをやっている


本作をメタルギアじゃない、ストーリーが薄いと言う人がいますが、どうなんですか?
内容が濃い無線を聞けばちゃんとメタルギア。彼らはメタルギアが好きなんじゃなくて、「小島監督が作るもの」が好きなんだよ。

評判を気にして購入を控えてしまうなら、非常にもったいないぐらいゲームで、斬奪の爽快感、魅力あるボスキャラクター、スタイリッシュなボーカル曲、豊富な無線は聴き応えがあります。
斬奪は同じくプラチナゲームズが出したWiiでただひとつのZ指定ゲーム『MAD WORLD』の自由度をさらに上げた感じかもしれません。

©2009 プラチナゲームズ
一方でネット・SNSで今作を全否定する人は、動画を見て遊んだ気になる人か、小島監督の熱狂的ファンによる食わず嫌いがほとんどです。
メタルギアが好きなのに無線を確認しないあたり、「メタルギアが好きなんじゃなくて、監督の作るものが好きなだけだよね?」な人たちなんですね。
自分はメタルギアが好きなのであって、小島監督や小島作品が好きというわけじゃないし、同一視していては正しい評価なんてできません。
しかし2週目の配慮の甘さが気になる方や、MGSではなくMGRであると割り切れない人には苦痛でしょうし、メタルギア=ステルスだと固執(こしつ)する人にもオススメしません。
繰り返しますがMGRはメタルギア「ソリッド」(MG“S”)ではなく、外伝のスピンオフです。
ラスボスはイケメンじゃないと無理という人もそう。非イケメンがいるから物語が面白いのにね。

当時はいろいろ言われたけど愛されている

『日清食品カップヌードル「さらに殴るおじさん」篇』
©2013 KONAMI, プラチナゲームズ
©2025 NISSIN FOODS HOLDINGS

発売から10年以上たったのに海外では今でもMGRは人気ですね。
動画配信向きの内容とボリュームだったり、ミームとしてかなり使いやすいみたいね。

MGSVで一応シリーズが完結してからは、好意的な再評価をする声も大きくなっています。ボリュームが動画配信向きでちょうどよく、ミーム(ネット流行)として使いやすいようです。
一例として、2017年にトランプ大統領になった際、テクムセ作戦がトランプ氏の政策であったため、上院議員のコラ画像がミームになりました。
2022年には、「センシティブなシーンで上院議員がタックルで邪魔をする(Revengeance Status)」というミームが盛り上がりも見せました。
さらに2025年だと、日清が公式パロディとしてカップヌードルCMを作っていましたね。
このように発売から10年以上たっても愛されるメタルギア作品であり、海外では配信されているPC Steam版がいまだ配信されていないので、日本では現状PS3でしか遊べないソフトですね。
個人的にメタルギアシリーズで一番好きなのはMGR。日本では過小評価されすぎだったと思う。

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