2022.06.11 2022.06.12

【解説】「人それぞれ」は逃げ・思考停止だと嫌われる原因【考察】

雑記

何かの問題や苦言をするときの言い返しにおいて、「人それぞれ」という言葉で締めてしまうケースは、ネット・SNSでも実生活でもままあります。

一見するとポジティブで正論のように見える言葉ではありますが、安易に使うのはよろしくなく、反感を買われがちです。

  • 「なぜ反感を買われるのか」
  • 「どう使うべきなのか」

「人それぞれ」を使いがちな人、その言葉を聞いただけで拒否反応が出る人は、この記事をひとつの参考にしていただけると幸いです。

  • 個人の見解です

    ほかの方の意見もご参照ください

「人それぞれ」の定義

背景

「人それぞれ」って何?

「人それぞれ」という言葉の定義・意味は、

「人によってさまざまな異なる性質があるという意味の表現」

「人にはそれぞれ個性があるということ」

人それぞれの類語・言い換え・同義語|weblio

一見すると別に間違った意見ではないですし、正論だと思う言葉です。

多種多様な価値観・ジェンダー(性の問題)を受け入れるグローバルな現代社会においてなら、なおさらそう思いますよね。

「人それぞれ」に不快感・違和感を感じる根本的原因

背景

なぜ嫌われてしまうのか

  • 「『人それぞれ』はただの逃げ言葉」
  • 「『人それぞれ』は思考停止した綺麗事」
  • 「『人それぞれ』って言葉は大嫌い」
  • 「『人それぞれ』は未経験だから言える」

一方で「人それぞれ」の言葉に不愉快に思われてしまうことが少なくなく、使う側からすれば、なぜ嫌悪感を感じるのかと不思議に思うかもしれません。

ただ、「人それぞれ」をつかって違和感を感じないケースもあるため、言葉自体の問題ではなく、文脈や相手とのコミュニケーションの問題だと思うんですね。

そのあたりは次から説明します。

コラム:「人それぞれ」の一言で話を止める人たち|ML weekly

「人それぞれ」という言葉が嫌いな人の理由・四字熟語・名言|tap-biz

「人それぞれ」は前提の言葉

「人それぞれ」を使って反感を買う人、買われない人の違いを調べるとわかったのは、「人それぞれ」を前提にしているか、結論に使っているかの差です。

以下の文章を並べてみるとわかりやすく、

  • 前提に使う場合
    「もちろん、人それぞれな部分はあるにしても、傾向がまったくないと否定できません。実際、統計やデータがありますし、考えていかないといけませんよね」
  • 結論に使う場合
    「それは人それぞれでしょ。いろんな人間がいるし、そういう人はどの世代にも昔からいます。個人の問題を全体の問題にすりかえるのはよくありません」

どちらの内容に違和感がなく説得力があって、聞き上手で問題を考えている姿勢が伝わるかと言われれば、前者のほうが軍配に上がるのではないでしょうか。

CHECK!

「人それぞれ」という言葉が逃げの思考停止に見えてしまうのは、結論目的で使っているから。

上記の文章を見ればわかるように、「人それぞれ」を前提に使う人は問題分析と根拠を提示し、仮説・妥協案・解決策を考える傾向があります。

裏を返せば、結論目的で「人それぞれ」を使う人は意見を考えることを放棄していて、問題解決能力があまり高くないとも言えますね。

社会人に必須の問題解決能力を鍛える3つの方法|グロービスキャリアノート

背景を考えているのかどうか

背景

相手の意図を
くみ取っているか

  • なぜ中高年のクレーマーはひどいのか
    → 「もちろん、いい中高年もいることは知っている」
  • なぜ障害者は言い訳ばかりするのか
    → 「必死に頑張る障害者までも否定するつもりはない」
  • なぜ日本人は議論が下手くそなのか
    → 「ちゃんと議論ができる日本人もいるのはわかっている」
  • なぜ男性は論理的・女性は感情的なのか
    → 「感情的な男性・論理的な女性もいるのは理解している」

疑問・質問を言う人はそもそも、「人それぞれ」の部分は前提として、わかりきった上で聞いています。

もちろん言う側も、クッション言葉を使い、疑問・質問の意図を事前に述べることは必要ですし、中には単に知見が浅く、偏見(へんけん)やバッシング目的で語る人もいることは否定しません。

とはいえ、「それは人それぞれでしょ」と諭そうとする人は、疑問・質問をする人の背景を特に考えず、表面的に判断しているんですね。

意図や真意を理解しているのか

その意図や真意をくみ取らず、

  • 「そんなのは人それぞれです」
  • 「昔からそういう人はいるでしょ」
  • 「たまたまその人が悪いだけ」
  • 「性別関係ないし、どの世代にもいる」
  • 「もっと世の中を知りなよ」

と、わかりきったことを人生の先輩風を吹かせるように、「人それぞれ」やそれに準ずる言葉を上から目線で言われても、反感しか買われませんよね。

「細かい事情を聞いてから答えるべきだ」と言っているのではなく、

CHECK!

どういった背景があるのか、なにかしらの原因や傾向など、思いやりを持ち、根拠(エビデンス)や仮説を述べる論理的思考が必要。

ここを理解しているかしていないかで、意見の質は変わるものです。

デキる人に備わる「本質を見抜く力」。見えない部分まで見るスキルを鍛える日常習慣3選|STUDY HACKER

言葉狩りをしたいのではない

背景

言葉ではなく
使いかたが問題

「人それぞれ」の言葉の是非を述べていますけれど、この記事では決して「『人それぞれ』という言葉を絶対に使うな」と、言葉狩りをしたいわけではありません。

問題なのは「人それぞれ」の使いかたであって、嫌われがちなこの言葉も、ちゃんと前提の言葉として活用し、思いやりと建設的な知見を述べれば、反感を買われることはほぼないものです。

「『人それぞれ』という言葉は嫌いだ」という人もまた、言葉の上っ面に惑わされず、「なぜ違和感を感じてしまうのだろうか」と、再考する必要があります。

言葉にとらわれていては、くもった目で見てしまいますからね。

最後に:「人それぞれ」をどう使っているかが問題

背景

あくまでも前提の言葉

「人それぞれ」という言葉を、逃げの思考停止だと思われたり嫌われてしまうのは、結論として使っているからなんですね。

見てきた限り、結論目的で「人それぞれ」を使う人は、問題解決能力が低く、自分の意見をあまり出さない傾向に感じられました。

あくまでも「人それぞれ」という言葉は、意見の前提で使うものであり、結論の目的で使うものではありません。

「『人それぞれ』という言葉が嫌い」という人もまた、その気持ちは十分理解できるとはいえ、あたかも言葉狩りのように、表面的な文言を見て嫌うというのもよろしくありません。

「言葉ではなく本質で考える」は大切です。自分も未熟ではありますが、くもった目で見ないよう、自己研鑽(けんさん)していきたいものです。

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プロフィール

    • フキダシ2
    • 赤竹ただきちTadakichi Akatake
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    記事の内容に責任放棄というわけではなく、自分は聖人君主でもなんでもないので、間違っている可能性は大いにあるし、何より相手を叩くことに使うのではなく、見識を深める目的で使ってほしいなぁと。

    とはいえ、記事に関心を持っていただけている自体は嬉しいんだけどね。複雑な気持ち。

イラストレーター・コーダー+WEBデザイナー・ライターの京都生まれなウサギ好き。

絵は多様な作風を描くことを強みにし、外国人でも絵でわかるマンガや、ウサギと口内描写にはこだわりを持つ。

コーディングとWebデザインは両方可能。案件によっては「デザインしつつコーディング」の荒業もおこない、SEOを意識したマークアップも得意。

「自省・リテラシー向上・正しい批判」をライフワークとし、当サイト記事も「中学生でもわかりやすい、気づき・理解・学びを得る」を全体テーマとして執筆。

これは微力ながら閲覧者に考える・学ぶ助力のほか、自身も学ぶ目的も含み、「下手でも自省し学ぶことを忘れない人」は、年齢・性別問わず好きなタイプ。

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