
ネット・SNSでの不労所得、特にメディアに取り上げられて問題になるのが、商品を買い占めして高額転売をする『転売ヤー』の存在だと思います。
彼らの言い分は言ってしまえば、
転売ヤーはモラル的な問題が多い。自分さえよければ相手や販売元に迷惑をかけてもいいって、自己中心的ではなかろうか。

ここは自分もそう思いますが、一方で苦言や反論、一方的に「転売ヤーは悪」と称する人たちに対しても懸念(けねん)点があります。
この記事は、
- 転売ヤーの主張から感じる違和感
- 健全な転売との違い
- 苦言側も気をつけてほしいこと
これらの内容を述べた記事になります。
悪質な転売行為に対して建設的に述べていますが、だからといって、「転売ヤーはクズで悪」と暴言を吐きたいわけでも、転売ヤーを擁護(ようご)する意図もありません。
この記事の内容を極端に判断しないよう、お願いいたします。
この記事を「転売ヤー擁護(ようご)」だと述べる人がいましたね。

どう読んでそう解釈したかは疑問だけど、物事を短絡的・極端に考えて本質を探れるワケがない。

個人の見解です
ほかの意見もご参照ください
転売ヤーの主張


法律は知っている
ようだけど…?

法律違反していないから問題ない。文句言ってるのは買えなかった連中の逆(さか)恨み。

感情論ばかり。転売ヤーが悪なら小売業も悪でしょ。

転売は小売の基本。何で悪だと騒いでいるのか意味わからん。言っているのはどうせ頭の悪い暇人のニートかオタクばかりだろ。
と、当事者のみならず、彼らを支持する人の主張を見ても、このような文言が多く並んでいるのを見かけると思います。
「法律を守る」と「何をしてもいい」は違う
彼らの主張を見ると共通しているのが、

法律は守っているんだから何をしてもいい。
に行きつくんですね。
しかしながら、法律を守るのは当たり前のことで、問題はその先にあることですし、「法律を守ること」と「法律を守れば何をしてもいい」は違います。

ちゃんと店側にお金を払っている。転売の何が悪い。
こういった反論も、商売の目線で考えると軽率な主張ですし、こちらについてもあわせて、次項から述べていきます。
商売の基本と本質


商売の本質を見よう

不当な転売行為は正当な流通の阻害であり、消費者の機会損失が発生している。
そう言われますが、まず商売の基本はなんなのかを考えてみましょう。
もちろん「お金を稼ぐこと」「利益を出すこと」は大切です。しかし商売でもっとも重要なのは、「信頼を獲得して築くこと」ではないでしょうか。
勤めている会社の社長からも常々言われていることで、世の中の有能な社長や経営者も口をそろえて、こう言っていると思います。

商売は信頼が大切で、お金はあとから来るものだ。

信頼がなければ長続きしない。信頼はお金より価値のあるもの。
自分はビジネスを立ち上げたことはないので偉そうなことは言えませんけれど、これは商売の本質なんだろうなと実感させられます。
つまり転売ヤーは、ビジネスの基本・本質が理解できない、目先の金しか見ない人たちということ。

転売ヤーの中には店側を恐喝したり、売り子を使って大量購入するケースもあります。これで信頼なんてできませんよね。

信用・信頼は商売の基本|note
成功する人は、「お金」より「信頼」を大事にする。ただし、相手が「○○」を逸脱したら見限る。|ダイヤモンド・オンライン
商売で本当に大事なのは「売上・利益」より「信頼」|元もじぴったんプロデューサーの生の知恵ブログ
お客様の信用や信頼は「勝ち取る」のではなく「積み重なる」もの|インパクトマーケティング
違和感の正体


違和感の原因はこれ
自分が転売ヤー・彼ら支持する人、そして苦言する人に違和感を覚えてしまうのが、
CHECK!
ほぼ誰ひとりも、「商売は信頼だ」と考える・言っている人がいなかった。ここなんですね。
ネット・SNSでは、転売行為の法的観点・主張はよく見ますが、どの立場の人も、ここを考えられない(述べていない)人が意外にいることに驚きです。
小売店の商売も転売行為です。転売ヤーとの大きな違いは卸売(おろしうり)やメーカー・消費者と信頼を築いていることです。

「店にお金を払えば問題ない」の大きな盲点
先ほど「店にお金を払ったんだから問題ない」という転売ヤーの弁解は軽率だと述べましたが、
- 商品が転売ヤーに買い占められた
- 本当は買えたはずなのに買えなかった
- 転売対策がされていない店だと思われる
- お客さん側との信頼関係が崩れる
- 客足や売上が落ちる・機会損失になる
- 買えない状況が続けば興味まで薄れる
お店側からすれば、こういった不利益をもたらしています。実際、これを苦言している店員さんがネット・SNS上に何人もいましたからね。
これで信頼なんて築けるワケがないんだよね。

それで適正に買えない状況が続いてしまい、消費者が商品の興味まで薄れてしまえば、メーカー側だって損失を被(こうむ)ります。
「商売の本質である『信頼』をないがしろにし、目先の利益しか見ていない」から、転売ヤーは消費者や店・メーカーから嫌われてしまうんですね。
転売ヤー・支持者との話し合いが平行線になるのは、ここの認識が違うからです。

健全な転売と転売ヤーの違い
健全な転売と転売ヤーの大きな違いを要約すれば、
CHECK!
お客さんや業者と信頼を築く努力を大切にしているか、していないか。ここに大きな違いがあります。
人間はまず、感情で考えがちな生き物ですから、健全な転売をする人はここの「感情」の部分もあわせて考えようとします。そのための自己研鑽(けんさん)も欠かしません。
一方で転売ヤーは、法律や利益の話ばかりで、論理や理屈のみの極端な行動をしています。他責的だったり、海外の話を持ち出して国のせいにしたりと、自己保身の言動が目立ちます。
どちらが息の長い商売ができるのかは一目瞭然(りょうぜん)であり、理屈のみで転売ヤービジネスができる人は運がいいのか、人間を操るのが上手い相当なキレ者でしょう。
商売はただお金を稼げばいいというわけではなく、信頼も必要です。信頼は周りも考えること(=思いやり)も大切です。

苦言する側に対する懸念点


なくならない理由も
考えよう
一方で転売ヤーに対して、

転売ヤーはマジで滅びろ。法規制して一掃すべきだ。

うざいから消えてほしい。本当なら適正価格で買えるのに余計なことすんな。これだから自分のことしか考えない転売ヤーは……
と、怒りと悲しみの声はまま聞かれるものです。
もちろん、「本来なら買えるはずだった」ものが不当に買えなくなる機会損失が発生し、その転売価格も「明らかに異様」なわけですし、そう言いたくなる気持ちは十分わかります。
しかしそのような言動は界隈(かいわい)の心証悪化になりかねず、転売ヤーがなくならない根本的原因は、買う人が一定数いるからです。
転売ヤーに強い言葉を使い攻撃をすることで、

〇〇のファンってこんなに攻撃的なの?
そう言われてしまうのは避けたい事態であり、そんなことは誰も望んでいないでしょう。怒りを覚える気持ちはわかりますが、その配慮を忘れないでほしいなと思います。
転売ヤーの思うつぼ

嫌だけど転売価格で買った。

転売ヤーをさらします。
このように報告する人は、転売ヤーの思うつぼであり逆効果であるのを理解すべきですね。
本当の意味で転売ヤーをなくしたいなら、暴言を吐いたりさらすより節度を持って、

適正価格で平等に手に入れるためにも、転売ヤーから買わないようにしましょう!
こう呼びかけるほうがまだ現実的な近道でしょう。法整備はまだ時間がかかりそうですし、境界線が複雑みたいですからね。
転売で捕まることってある?違法になるケースについて、弁護士に聞いてみた!|アソベン
転売は犯罪? 転売禁止法はあるの? 違法となりうるケースとは|ベリーベスト法律事務所金沢オフィス
最後に:転売・不労所得自体は悪ではない


健全な転売
不労所得とは何か
ここまで転売ヤーの問題点を書きましたが、法律やガイドライン、そしてモラルと信頼を第一に考えて行動しているのなら、転売や不労所得そのものは悪ではありません。
しかし屁理屈を並び立てて開き直ったり恐喝行為など、消費者・店舗・メーカーに迷惑を働く悪質な転売ヤーは、毅然(きぜん)な態度で対応すべきです。
転売・不労所得も本来であれば健全なビジネスですし、小売業もやっていることは転売です。

でも転売ヤーと違うのは、卸売元・メーカーや消費者と信頼関係があること。つまり転売ヤーは商売の本質を理解していない。

転売ヤーは人として問題だけど
一部のネット・SNS上では、

転売など、不労所得自体が悪だ!
こう称する人がいますが、こういった人にも注意が必要です。彼らもマネーリテラシーが低いため、0か100かで極端に語るのは問題です。
転売ヤーの対策は確かに必要ですが、マネーリテラシーの低さも考えものです。
不労所得そのものを悪だと思うのは日本人ぐらいであり、精神論を美徳とする日本の悪習。

転売ヤーの行為は確かに問題ですが、0か100で極端に語っては、本質を見定めることができません。

日本人を貧しくするお金に対する邪魔な思い込み|東洋経済オンライン
不労所得はズルいお金なのか? お金持ちのイメージが悪い日本人|Pen Online
法律よりもモラル(信頼)の問題
何度も言うように、健全な転売行為と転売ヤーの明確な違いは、「商売は金よりも信頼」という商売の本質を理解しているか、理解していないかです。
法律を守ることは大切ですが、「法律を守れば何をしてもいい」にはなりません。これは転売ヤーのみならず、広告アフィリエイトブログ・YouTubeの収益化でも同じことが言えます。
転売ヤーも悪質アフィリエイトも、法律の問題よりモラルの問題。心に余裕のない人が増えたのか、現代の闇とも言えるのか。

一方で、このようなモラルに反する悪質な不労所得がなくならないのは、それを求めてしまっているリテラシーの低い層(消費者)がいるからで、需要と供給が成立してしまっています。
転売ヤーが許せないからと、暴力的で強い言葉を使ったり相手をさらす行為は、ファン全体のモラルを下げるだけではなく、知らない人から見たら悪印象になります。
「転売するガ○ジをさらす!」の人も立場が違うだけで転売ヤーと同じタイプ。ガ◯ジみたいな品性を疑う言葉を使うのもそう。

知らない人からすれば、作品ファン全体の心証も悪くなります。その行動で周りにどう思われるかに欠く意味では同じですね。

ただただ法整備を待つよりも、まずは一人ひとりのマネー・情報リテラシーを高め、毅然な態度で彼らの利益にさせないことが、現段階における悪質な転売ヤーを減らす一番の近道です。
「転売ヤー」の増殖を誰も止められない事情|東洋経済オンライン
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