Steamで『ソニックスーパースターズ』、Appleアーケードで『ソニックドリームチーム』を一度エンディングまでプレイしましたので、その簡単な感想と解説をまとめました。
ネタバレ注意
作品の内容・結末が記述されています
ソニックスーパースターズをプレイした感想・評価
重ねるようにスーパースターズはSteam版で遊びまして、個人的な話になるものの、2番目に遊んだSteamゲームになりますね。
最初に遊んだのは『ソニック殺人事件』だった。
アニメシーンは久しぶりに日本の制作会社(テレコムアニメーション)が担当していることもあり、オリジンズとはまた違った、懐かしくも新しい90年代風日本アニメOPでした。
ソニックスーパースターズ|SEGA
「ソニックスーパースターズ」開発者インタビュー|GAME Watch
制作はアーゼスト担当
制作は初代ソニックを手がけた大島直人氏で、ファミ通の特集やインタビュー動画によれば、ソニックたちの挙動はドット絵を忠実再現し、アイデアもかなり詰め込んだ意欲作と明かしています。
ゲームユーザー的にはアーゼストというと、『バランワンダーワールド』や『ヨッシーNewアイランド』などの作品を制作していて、どちらもあまり評判が芳(かんば)しくないですが……
今作はフロンティアと同様、実験的な部分や荒削りな箇所はあったとはいえ、ゲームとしては面白いと感じています。
協力プレイがオフライン限定になっている理由
対戦こそオンライン対応ですが、通常ステージがオフライン専用ゲームなのはソニックのゲーム性が原因だと思われます。
ソニックが詳しい人なら常識かもしれない話で、ソニックはコースじゃないところ、ひいてはバグのすり抜けも使うぐらいショートカットしてナンボのゲームなんですね。
意図しないすりぬけも「ショートカットとしてOK」と、公式すらも認定しているぐらいです。
ゆえにオンライン対応をしてしまうと、ショートカットやすり抜けだらけで協力プレイとしては成立しないため、あえて身近な友達・家族とワイワイ楽しめる方向にしたのでしょう。
ここの解決は非常に難しく、考えられるのは、
- マッチング・ランク制の導入
- ハンディキャップ制限をつける
……ぐらいしか思いつきませんし、上記の実装も相当な試行錯誤になってしまうことは想像に難(かた)くないでしょう。
マリオやカービィとはワケが違いますからね。
スーパースターズの協力プレイがオンライン対応していないのは、上手い人がどんどん先に進むヤムチャ状態を防ぐためなんだろうと😅#ソニック は「最短・最速」を突き詰めるゲームだけに格差がひどくなるから、オフラインにしてワイワイ楽しむ選択をとったんだろうね。
— 赤竹ただきち / Tadakichi Akatake (@MyutaUsagi) October 30, 2023
協力プレイの今後の課題。… pic.twitter.com/SDNqqc0HlP
エメラルドパワーについて
本作の特徴であるエメラルドパワーは、カラーズのカラーパワーと似ている部分はあるものの、
- カオスエメラルド集めが必須
- チェックポイントを通過すれば回復
このような感じの仕様になっていて、利便性はカラーパワーよりも向上し、ただのごほうび要素だったカオスエメラルドを積極的に集める動機としてよくできています。
一方でカラーパワーと比べると遊びの幅が狭く、ビジョンは限定的な場所でしか使えないなど、カラーパワーのような自由度はない印象を受けます。
アバターは救済システムとして優秀だから、「エメラルドパワー=困ったらアバター」状態になってしまうんだよね。
なぜエメラルドパワーが使えるのか
長年ソニックを遊んでいる人からすれば、こんな疑問を抱くのではないでしょうか?
なんでエメラルドパワーは他作品で今まで出てこなかったの?
ここは本編中だと詳しく明かされなかったとはいえ、海外公式のユーザーの質問に答える動画(日本の『音速一問一答』のようなもの)でテイルスが言及しています。
「エメラルドパワーは、ノーススター諸島をとりまく不思議な力と、カオスエメラルドのエネルギーが合わさってできた能力のようなんだ」
TikTok英語公式動画より意訳
たとえるなら、シャドウのカオスコントロールやカオススピアを誰でも使えるようにしたもの。
難易度が高く難しいのは協力プレイありき?
後半になると従来のシリーズと同様、かなり難易度が跳ね上がるんですけれど、これはおそらく「協力プレイ前提の難易度」じゃないかと思います。
ただ後半のボスは待たせる時間が多くスローテンポであるのは、このゲームで一番気になったポイントです。リトライするたびに待たされるわけですから、ストレスに感じましたね。
ボスに関しては難易度の問題よりもゲームテンポの問題が大きい。協力プレイならともかく1人だとね……
ステージ選択画面もいちいち移動しなければならず、直接選択もできません。
総評:面白いけど協力プレイは実験的
協力プレイの実験的作品という側面が強かったものの、1人プレイでも最後まで進めることができます。ただ1人プレイだと難易度が難しく感じるかもしれません。
後半のボスは待たされる展開が多いためテンポが悪く、各ステージもスキップ選択できないなど、これらはどうしようもない部分であり、不便かつストレスを感じます。
とはいえ、ステージの遊び心やギミックの多様さはやっていて面白く、特に最終ステージの壮大なギミックには驚かされましたね。
ブロックノイズが入るだけにフロンティアっぽかった。
シューティングは1986年のアーケードゲーム『ファンタジーゾーン』ネタが仕込まれていたりするなど、異世界おじさんばりにセガ愛が深い人ならわかるコネタも見つかるかもしれません。
ちなみにWebアニメ版の英語版タイトルも、1994年にゲームギアで発売された『ソニック&テイルス2』の英語版タイトルが元ネタで、ファングを知っている人からするとニヤニヤものです。
マニアへの対抗意識?
それから思ったのは、ところどころ『マニア』の音源や演出が使われているのは、公式同人ゲームだったマニアに負けたくないと、公言しているわけではないものの感じましたね。
とはいえ、インタビューでマニアをかなり意識していることは統括プロデューサーの飯塚氏は明かしているよ。
クラシックソニックも今後どのように変わっていくのか、協力プレイはどう進化していくのか、今後が気になる次第です。
ソニックドリームチームをプレイした感想・評価
次にソニックドリームチームのプレイ感想・評価を述べていきます。
ソニックドリームチーム(英語)|SEGA
Appleアーケード限定ゲーム
ソニックドリームチームは2023年現在、Appleアーケードでのみ遊べるゲームです。Appleの端末ならなんでもいいので、MacやiPadでも遊べます。
自分はMac Miniで遊んだ感じ。ある意味Appleユーザーだったのは幸運。
Appleアーケード限定はなぜ?
海外では配信前、Appleアーケード限定と発表されて阿鼻叫喚(あびきょうかん)状態でした。
これはAppleの協力で作られているからで、ソニックダッシュ+やソニックレーシング(チームソニックレーシングのローチェンジ版)での縁があったからが理由だそうです。
とはいえAppleアーケードからコンシューマーに移植した作品(ファンタジアンなど)はあり、好評の声が大きければ移植の可能性もあるでしょうね。
SNSでApple独占にキレてクレクレしていた人がいたけど、日本でも遊べる(おま国じゃない)だけありがたいと思うけどね。ソニックはおま国が割と多い。
『ファンタジアン』完成記念! 「これが最後の作品となったとしても恥ずかしくない」と坂口博信氏・植松伸夫氏が語った、開発メンバーによるスペシャルインタビュー|ファミ通.com
日本語ボイスは未収録
今作では日本語ボイスは実装されておらず、英語音声の日本語字幕で物語は進行します。日本だと大して宣伝していないし日本公式サイトもないので、ある程度察しはつきましたが……
ただしっかり監修されているので、不自然な日本語表記は少なく、キャラクターのセリフもしっかり日本語版に合わせています。
「パワハラ」や「自意識高い系」という単語が出てくるのは驚くかもしれません。
しいて言うなら、エッグマンがクリームを「ガキ」呼びしたのは少し違和感あった。「小娘」か「子ウサギ」って言いそう。
ヒーローズではエミーたちを「ガキんちょ」と呼ぶシーンはありますが、「んちょ」がつくだけでも結構違いますよね。
まああれは本物のエッグマンではなかったけども。
本作の制作会社
ゲーム制作はHardlight社という、『ソニックダッシュ(ほぼ日本未配信)』シリーズを長年手がけている会社で、OPアニメーションはアメリカのPower Houseスタジオですね。
Power Houseスタジオは、フロンティアのナックルズが主人公のアニメ『ソニックフロンティア プロローグ:分岐』や、オリジンズのOP・イベントムービーなども担当しています。
作画はフロンティア プロローグに近いけど、かなり日本アニメに近づけた作風って感じ。
スーパースターズのアニメーションは日本のテレコムアニメーションなので別です。ソニックXのアニメも担当していましたね。
どちらも海外ソニック界隈(かいわい)から高い評価を受けている会社ですし、安定と信頼の布陣といったところでしょうか。
脚本はイアン・フリン氏も参加
今作も脚本にはイアン・フリン氏が関与していて、フロンティアのように過去作用語がバンバン出てくる感じではなく、ソニックを知らなくても問題がない感じになっています。
クリームがキーキャラクターになっているのは珍しくて新鮮。ルージュとナッコの漫才やりとりも久しぶり。
また、本作はイアン氏本人から「正史である」と公表されています。
これはつまり、アリエムも今後シリーズ作品やコミックなどで、言及か再登場するかもしれない可能性が示唆されています。
レヴァリーの創造主など、もしかしたら今後出される予定のDLCで回収される可能性はあるとはいえ、本編未回収の設定もありますからね。
#KnowingSmile revealed!!
— Ian Flynn (@IanFlynnBKC) November 1, 2023
I was on the writing team for this game too.
I hope you enjoy! https://t.co/y7JkNY8p7Y
Off the top of my head? Yes, I think so.
— Ian Flynn (@IanFlynnBKC) November 2, 2023
Sonic Dream Teams To Receive Post-Launch DLC|Retro DODO
ソニックはあだ名で呼ぶ相手を信頼している
今作の設定で驚いたのは、「ソニックは信頼する相手にはあだ名で呼ぶ」という情報をエミーがアリエムに話すシーンがあるんですね。
日本版だと「そうだっけ…?」な感じはあるものの、考えてみれば、英語版のソニックはナックルズを「ナックス」と呼ぶし、そもそもテイルスの名前もあだ名ですからね。
ソニックアドベンチャーの日本語版も、ナックルズのことを「ナッコーズ」と呼んでいましたが、ある意味あだ名ですね。
エッグマンもソニックがつけたあだ名。ある意味ソニックはエッグマンに悪態はつくけど信頼しているということ。
操作はアドベンチャー寄りのワールドアドベンチャー
ブースト系列で操作こそワールドアドベンチャーながら、カメラを動かせたり、地形をぐるっと確認しながら進むのはアドベンチャーな構成です。
本作は両作品のいいとこどりをしてカジュアルに遊びやすくした感じに仕上がり、スピードも「そこまで速くないけど爽快感がある」にとどめた、いい塩梅な構成です。
フロンティアの「超・完全決戦」しかり、ブーストをソニック固有の能力にしなかったのは英断。
多少手間に感じるとはいえ、操作中にキャラクターを切り替えることも可能で、
- ライトダッシュができるスピード系
- 空が飛べるフライ系
- 壁登りと滑空ができるパワー系
好きなキャラクター1人だけで進めることもできれば、切り替えて探索もできるため、フロンティアが「ステージ選択画面の革新」であれば、今作は「アクションステージの革新」ともいえます。
総ステージ数は4ステージだけと少ないものの、そのぶんステージの作り込みが丁寧ですし、この路線は今後も活かしてほしいですね。
見方によっては、「ロストワールドはこんな感じにしたかった」というのもあるかもしれない。重力無視ステージも多いだけに、世界観はロストワールドっぽい。
総評:Appleアーケードだけにとどめるにはもったいないゲーム
ソニックドリームチームを少しだけ遊んだまとめ。ご検討にどうぞ🙇♂️
— 赤竹ただきち / Tadakichi Akatake (@MyutaUsagi) December 5, 2023
✅ 日本語ボイスはなし
✅ 日本語字幕はちゃんとしてる
✅ 脚本はイアン氏参加(正史らしい)
✅ クリームが重要キャラなのは珍しい
✅ 操作はワールドアドベンチャー寄り
✅ カメラ操作できる
✅ ステージ構成はソニアド系列
✅… pic.twitter.com/24R4NC8wPf
Appleアーケードだけでしか配信されないというのは非常にもったいないぐらい、丁寧な作り込みで遊びやすく、楽しい作品でした。
記事では触れていなかったものの、曲や効果音は正直カートゥーン系洋ゲーにありがちな感じですが、OPとラスボス戦は非常にソニックらしいロックなBGMでしたね。
ブーストの速さは従来のソニックよりはありません。かといって遅すぎるわけでもなく、すごくいい塩梅に収まっていて遊びやすかったです。
珍しくクリームがキーキャラクターでもあるので、クリーム好きにもオススメしたいですね。
ラストが『モンスターズ・インク』っぽいって海外ファンが言っていたけど、言われてみれば確かに……
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