ワンドロシェフ絵。なお今回の配信にシェフ登場回は一切ありません(後述)。
まさか日本で再び上陸するとは思いもよらなかったですが、2019年10月15日よりNetflixでサウスパークが配信開始されましたので、その感想です。
追 記
2024年現在、Netflixの配信は契約満了で終了し、Amazon Primeに移行しています。
サウスパーク|Netflixサウスパーク|Amazon Prime
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サウスパークを簡単に説明
サウスパークに
行こうぜ!
『サウスパーク』はトレイ・パーカー氏、マット・ストーン氏が手掛ける切り絵風アニメです。
パイロット版を経て1997年から放映され、放映当初は本当に切り絵を動かしたストップモーションアニメでしたが、今では3Dソフト描写によるデジタル作画に移行しています。
2000年前後には映画化、ゲーム版は現在でも新作が出ています。
初期シーズンでは時事ネタに軽く触れながら物語が進行する単発・数話完結が多く、16シーズン以降は時事ネタを主軸に、登場人物にそれぞれの役割を担わせる連続話パターンが多くなりました。
最近のシーズンほど、アメリカを中心とした時事問題をマイナーネタ・メジャーネタまでを知っていないと楽しめないものが多いです。
調べるのが大変なんだよね。トランプ大統領ネタみたいに、日本でも報道されているパターンならわかるんだけど。
R-15指定アニメ(チビッコは観ちゃダメ!)
サウスパークを語る上で特筆すべきが、「見た目は可愛いのに、強烈な社会風刺や下ネタ・性描写・グロ表現・差別・ブラックジョーク満載のR-15アニメ」であるということです。
人はよく殺されるし人体の肉片・内臓は飛び散り、実在著名人をけなして殺害も当たり前で、実際に何度もネタにされた著名人が、肖像権侵害として何度も訴えられています。
それだけではなく、宗教や神などのタブーにも触れるので、過去には訴訟や殺害予告も来たほどです。現在でも視聴不可エピソードがあり、2019年には中国から発禁扱いされました。
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トム・クルーズ、サウスパークを訴える|言論の自由についての討論
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登場人物の一部は、死体損壊や人肉食(カニバリズム)までやったからね。シーズンを重ねるごとにリアルになるのもまた……
日本ネタが割と多い
作者たちが親日家で日本もネタにされているので、その過激ぶりの一端を上げるならば、
- 【チンポコモン】ポケモンがパロディのチンポコモン(天皇陛下も登場)。
- 【日本首相】鳩山由紀夫元首相が中指をつきたてる(後に安倍首相も出演)。
- 【BLネタ】日本のボーイズラブ(BL)二次創作をネタにする。
- 【日本語の歌】「素晴らしいチンチンもの」「メカ・バーブラの歌」など。
- 【戦時ネタ】「ブダーイ!」 → ゼロ戦に乗りながら漁船にカミカゼ特攻。
- 【真面目解説】アメリカのアニメで広島・長崎原爆の惨状を真面目解説。
- 【中国対立ネタ】「日本人は中国南京で大虐殺!」「日本の自殺率超高ーい!」
これでも日本は優遇されているほうで描写もマシな部類です。
かなり人を選ぶアニメであり、ネタ・フィクションに対して本気で受けとったり怒ってしまう人は視聴に不向きでしょう。
劇中のカニエ・ウェスト(ゲイフィッシュ)氏のようにね。
かつての日本語吹き替え版
かつて日本でも吹き替え版が上陸していて、
- 【WOWOW版】第1シーズン〜第7シーズンの吹き替え。
- 【FOX版】第8シーズンのみの吹き替え(グロ描写はカット・黒塗り)。
- 【関西弁・名古屋弁版】お笑い芸人による映画吹き替え版。
があります。
LiLiCoカートマンがあまりにもハマり役だったため、日本で吹き替えといえばWOWOW版をさす場合が多く、FOX版や方言版はかなり賛否が分かれるものとなっています。
字幕はWOWOW版が準拠になっていますからね。
しかし上述のように過激な内容を多く含むので、これらの日本語吹き替えは単発限りか放送を打ち切られ、WOWOW版もチンポコモンの話などは放送拒否されています。
シーズンを重ねるにつれ描写が過激になりましたから、日本地上波やケーブルテレビでの吹き替え放映は絶望的でした。
Netflix版の新日本語吹き替え
まさに奇跡
その中だからこそ、今回サウスパークが日本に再上陸したのは驚きでした。
しかしながら、Netflix配信版は15シーズンから21シーズン(2019年10月現在)までとなります、当初は字幕版のみでしたが、吹き替え版も約半年後に配信されました。
記事冒頭で描いたシェフは現状出ていないことに……(シェフの最期の出演は第10シーズン)。
日本語版のキャストはWOWOW版とFOX版でまた異なった配役ですが、WOWOW版と原語版を混ぜた感じで、カイルやテレンス&フィリップといった一部例外を除けば親しみやすいですね。
ただネット配信なので放送禁止用語のピー音が存在せず、これは笑いにもつながっていたので物足りなさを感じるかもしれません。
さすがに「ま○こ」は「まんちょ」になっていた。
「声優が変わり困惑」記事は大げさ
一部サイトで「従来の吹き替えとかけ離れているのでファンは困惑した」という記載がありましたが、正直誇張表現です。
確かに声優陣はほとんど変わっていますけど、極力WOWOW版に近づけ、FOX版と比べても全然よくなっています。
声でいちいち騒いでるのは声優オタクだと思う。吹き替え再開自体が奇跡なのに、なぜありがたみを持てないのか。
日本語配信でも驚きなのに、カートマンの声はWOWOW版と同じLiLiCoさんで、LiLiCoさんもカートマンを再び演じるとは思ってもみなかったでしょう。
とはいえ、正直言うと主人公組はWOWOWと同じキャストで続投してほしかった気持ちは確かにありますけれど、吹き替え配信自体がスゴいことなので贅沢は言いません。
新吹き替え版で文句言っている人は、その背景を考えてから言ってほしいものですね。
15日から配信開始しました
— 佐藤せつじ (@setsujisato) October 18, 2019
新録ネトフリ版サウスパーク
情報解禁らしいので
とりあえず吹き替えメンバーを。
LiLiCoさん
須田祐介さん
金子沙希さん
佐藤せつじ
川井田夏海さん
竹森千人さん
佐藤愁貴さん
落合弘治さん
多田野曜平さん
寺依沙織さん
魚建さん
駒谷昌男さん#サウスパーク
過去シリーズは削除される
なお過去シーズンの扱いは不明ですが、15シーズンは2020年1月以降に配信終了にされていて、古いシーズンは削除していく方針なのかもしれません。
しかしBD・DVD化の話もないので、日本ユーザーが損する形になりますね。そのあたりの対応も気になるところです。
字幕版について
WOWOW版
準拠で嬉しい
日本語字幕はWOWOW版準拠で、カートマンの一人称が「オイラ」、CityFokが『金鳳軒(チンポー軒)』になっているのは、ファンとしては嬉しいところです。
ただ完全・忠実再現というわけではなく、
- オープニング歌詞がWOWOW版とは異なる(原語版に近い?)
- 「プロフェッサーカオス」
→「カオス教授」 - 「なんてこった! ケニーが殺されちゃった!」
→「ケニーが死んじゃった!」 - 「この人でなし!」
→「あいつら!(人殺し!)」
特に「この人でなし!」はFateのランサーネタでもパロディとして使われるほど有名なフレーズだから、改変して欲しくなかった部分ですね。
「この人でなし!」をFateのランサーネタだと思っている勘違いさん多すぎないかな? 調べないことが不思議でならない。
吹き替え版ではOP歌詞がWOWOW版と同じなど、さらに忠実で「この人でなし!」も健在です。とはいえ「外出禁止」を「自宅謹慎(きんしん)」にしたのは気になりますけどね。
また第15シーズン6話『City Sushi(金峰寿司開店)』に登場する日本人は「ジュンイチ・タキヤマ」が「ジュンイチ・タ“カ”ヤマ」と、少々気になる箇所がありました。
贅沢は言わないも、サブタイトルはWOWOW版のようにセンスある邦題が見たかったですね。「Osama bin Laden Has Farty Pants」を「爆笑短小ビンビンラディン」にしたように。
Junichi Takiyama|South Park Archives
最後に:日本再上陸に感謝
レビューは書かないけど
ちゃんと観ている
翻訳や声優、全シーズン配信ではないといった不満はある人はいるでしょうが、それはそれとして、日本再上陸をしていただけたことに、まずは感謝の心を持つのが先だと思います。
文句を言う人は再上陸がいかにスゴいことかを理解されたほうがいい。それを理解した上で意見を言うべきだね。
ちなみに当サイトでも以前、以前リアルタイムにシーズンを追いかけ、アニメ感想を書いていた時期がありました。マイナーな時事ネタが多すぎて下調べが大変でしたからね。
ただ、後任で有志字幕してた方の訳が適当すぎたりと、いろいろな要素が重なり離れていました。
今回、Netflixで観られるようになり、特に吹き替え版は元ネタを知らなくてもある程度は楽しめる翻訳ですから、再び観直して楽しんでいます。
リアルタイムの各話レビューはしんどいし、当時は時間に余裕があったからね。もう今は書く予定ないよ。
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