『ソニックロストワールド』のWiiU版とニンテンドー3DS版両方のプレイ感想・評価です。
ネット・SNS上ではWiiU版の難易度が相当難しい、鬼畜だとの意見はあるものの、
そんなにWiiU版って難しいのか?
が個人的意見です。
操作練習や簡単なテクニックを覚えれば進められ、ダッシュボタンを要所要所で離して最低速度で動けば大体クリアでき、スピードランはクリアしてから研究すればいいと思うのですが……
そこも含めて、以下から述べていきますが、まずは本作の評価姿勢についてファンのモラルが問われるものが多々あったため、まずはそこから記載していきます。
ネタバレ注意
作品の内容・結末が記述されています
ネットで見かけたソニックファンのモラル問題
ファン以前に
人として問題
特に3DS版の内容の書き込み・ツイートで見られたのは、ゲームが難しい、性格が違うなどの理由で、ソフトや開発会社に暴言を吐く内容が数多くあったことですね。
難しいと思うのはいいにしても、暴言を吐くのは敬意に欠いた問題行動ですし、中には、自分が下手なのを全部ゲームのせいにする人もいました。
これって、ファン全体のモラルを下げる行為ですよね。なぜそれに疑問を抱かないのでしょう?
3DS版なら素直にラジコン使ったほうがいいのに、使いたくない理由でもあるのか……?
ソニックの性格が違う?
性格が違うという意見も、大方は『ソニックドアドベンチャー』を基準に語る人が目立っていて、クラシックソニック時代、海外展開も知っている人からすれば、
ソニックの性格は「生意気だけど優しい」以外の部分は結構変わるでしょ? OVA版やアメコミ版、カートゥーン版や海外のテレビCMを見たことがないの?
別に「本作のソニックたちはよかった」とは擁護(ようご)しませんが、そう言うと思いますよ。
カートゥーン版や一部コミック版はソニックチーム未監修ではあるとはいえ、海外だとミーム(ネット流行)化するぐらい根強い人気があります。
ソニックを語るならそこも踏まえていただきたいものです。
意見することと暴言を吐くことは違う
彼らの言う「好きだからこそ批判は必要」は大きな勘違いで、批判とは罵詈(ばり)雑言・誹謗中傷の同義語ではありません。
批判とは「お互いに成長できる論理的な批評行為・機会」であり、叩き・悪口は『批難』にあたります。
批判を称するなら、まず批判の意味を辞書で調べて、そこから人として最低限の礼節や、ロジカルシンキング(論理的思考)をまず学ぶべきですね。
気に入らなければ、顔が見えなければ何言ってもいいという理屈は、誹謗(ひぼう)中傷の加害者と本質は同じです。
モラルの低い人が目立つのが気になった
本作を擁護したいだとか、知識自慢をしたいとかそういうことではなく、ただ純粋にファンのモラルが目に余り、残念な気持ちになりました。
本当にシリーズのことを考えているのであれば、正しい批判をしていただきたい。その態度で開発者のため、新規ファン獲得のためになると思っていたら大間違い。
……さて、ネガティブな話題からはじまって失礼しましたが、ここから両作品のレビューになります。
『ソニックロストワールド(WiiU版)』の感想・評価
WiiU版について
WiiU版最大の特徴と言えば60フレームで、ヌルヌル動きます。ヌルヌル動くんですが、全然酔うことはありませんでした。
まあゲームで酔ったこと自体あまりないのだけれど……
難易度は賛否両論ではあるものの、自分は先述したように、そこまで難しくは感じませんでした。
賛否はあるでしょうが、何度もミスすれば救済として難所をスキップするアイテムが出現しますし、完全な攻略はクリアしてからじっくりやりこめばいいだけの話です。
「初心者向け」の定義
一応今作は「ソニック初心者向け」という触れ込みになっていて、ここの内容とひもづけて「初心者向けの難易度?」となっている論調でしょうか。
ただ、自分が思う初心者向けとは、
ソニックはあまりやったことないけど、アクションゲームはできる人。
このような定義で考えています。
初心者向けの定義を「アクションゲームがそこまで得意ではない、ライト層の人」にすると、確かに「WiiU版は初心者向けだよ」とは言いがたいですね。
フローズンファクトリーの挙動
フローズンファクトリーでの挙動については、加速するとシャドウのようなスケート走行になり、ホーミングアタックもスピンダッシュも二段ジャンプもできません。
もしゾーンの攻略やジーナ戦で苦労しているならば、一度RZボタンを離してみてください。ニュートラルの状態にすれば、ちゃんと従来どおりの操作が可能になります。
ゾーンのバリエーション
ゾーンそれぞれの遊びやバリエーションはかなり豊富で、ほかにもステージ画面に『ゾーン?(クエスチョン)』や、レッドスターリングを集めるとサーカスミニゲームが出現します。
一言で言えば、どちらもゲーム進行にはやる必要のなく、任意でおこなうミニゾーンです。
サーカスはプレイ動画を見るだけでは動物たちがジャマでソニックたちが見えず、混乱しそうと思われる方もいるかもですが、ズームされたパッド画面を見ながらの操作なので言うほど混乱しません。
またさまざまなバリエーションが用意され、大砲で打ち出すタイプやシーソーの要領でボールを打ち出すタイプがありました。
WiiU版はステージを進むのに動物の数が必要で、サーカスは多くの動物たちを確保できますし、数が足りないときの調整に使うのでしょう。
WiiU版スーパーソニックについて
3DS版では常時スピードアップ・曲が変わる・ラスボスで使うとかなり盛り上がるスーパーソニックは、WiiU版だといろいろ制約がありました。
高速(自動)走行中はリング50枚あっても発動しない
『デザートルーインズ ゾーン2』のような高速ステージで使うことはできません。
ですから3DS版のように、ラスボス戦をスーパーソニックになって挑むことがWiiU版では不可能のようです(前者は一応ゾモン戦になれば発動可能になります)。
スピードアップアイテムと併用できない
3DS版の場合、スーパーソニック+スピードアップアイテムの併用が可能でさらに速くなりますが、WiiU版ではできないみたいです。
Lトリガーを押し続けたブースト状態は「溜め動作の要らないスピンダッシュ」で、速さは通常のスピンダッシュと大して変わらなかったですね。
併用してみたかった……
ヒドゥンワールドではスーパーソニックになれない
そもそもヒドゥンワールドではカオスエメラルドのアイコン自体が表示されません。ゾーン3は奥へと進む通常ステージでリングも多いだけあって、使ってみたかったものです。
WiiU版のマイナス評価
WiiU版のマイナス点を述べていきますと、
カラーパワーの問題
カラーパワーやアイテムですが、マゼンタ・リズムのカラーパワーの必要性が疑問。
過去作のカラーパワーはスピードアクションの延長線上なのに、リズムは完全によくあるアクションゲームの要素。まだ3DS版のカラーパワーのほうがカラーズの流れを汲(く)んでいます。
ウィスプのカプセルも、3DS版と違って攻撃しないと取れないのが不便で、カラーパワー使用前後の一時停止をなくせればよかったですし、カラーパワーの強制はしないで欲しかったですね。
パワーアップアイテムもフィールド上には存在せず、カバンから取り出して使う形です。任意で使用できるメリットはあるにしても、フィールドにないのはさみしいですね。
カメラワークの問題
今作は引き気味のアングルが多くて距離感がすぐわかってしまい、障害物を突き抜けるスピード感や爽快感の演出が今ひとつで、大きいテレビじゃないとソニックがどこにいるのか、少々わかりにくいですね。
処理を低減させたシンプルなステージデザインや、よくも悪くもメガドライブ時代のソニックリスペクトが、爽快感の少なさに拍車をかけている状態です。
アクションや遊びの楽しさの軍配はWiiU版にありますが、スピード感はあまり楽しめません。3DS版のほうが圧倒的にスピード体験を楽しめます。
ステージ構成の問題
最後にステージの構成についてです。
ルート選びが多様なのが今作の魅力……なのですが、それを謳(うた)う割にはルート分岐が少なく、ただの曲面がかったステージ構成ばかりです。
言うなれば、いかに無駄で蛇足なルートを選ばず、一本だけの正解ルートを見つけるゲームになっています。
後半のステージほどここが生かされていないから、アイデア倒れになっている部分が否めない。
せっかく独特の地形を採用しているのですから、もっと探す楽しみを出してほしかったですね。
その点でいえば、『デザートルーインズ Zone3』や『フローズンファクトリー Zone1』の序盤ルート探しは楽しく、ああいうステージが多ければWiiU版の評価が高くなったかもしれません。
『ソニックロストワールド(3DS版)』の感想・評価
3DS版について
3DS版におけるルートの選択肢は縦に広がるのが特徴で、ディンプス製ソニックだと最早恒例ですね。
システム面もモダンソニックに近く、テクニック次第で相当の爽快感が味わえます。
リザルト画面のランク評価で、ソニックが喋ってくれるのは3DS版だけです(タイムアタックならWiiU版もランク表示あり)。
WiiU版はタイムアタック以外でランク評価もないし、一切喋らないからね。
青の冒険からの進化
ゲームの内容は『ソニックジェネレーションズ 青の冒険』から進化していて、ステージのボリュームが多くなり、中盤以降のステージになると初見では10分以上かかってしまうほどです。
ボリュームがあるだけではなく、先述したように難易度もトロピカルコーストあたりから急に高くなります。やりこみ度が高いのが、3DS版の魅力です。
ラジコンを使うことが前提
インタビューによると3DS版はラジコンの使用が前提の作品だそうです。
難しいと感じた人は素直にラジコンを使うのが吉。使ったところでペナルティはありませんし、使えるものは使っていきましょう。
逆に慣れた人はラジコン縛りをすることで、相当の歯ごたえがあるゲームに化けるよ。
スペシャルステージについて
主にジャイロ操作で操作するスペシャルステージは、後半になるにつれてどんどんいやらしい仕掛けが増えていきます。
いっそジャイロじゃなくスティックで操作できたら……と思うぐらいに難しいです。あせらずに取り逃せば一からやりなおす根気と、回転イスを使えば攻略しやすくなります。
ハードモードについて
ストーリーをクリアするとハードモードが新たに出現し、ステージの色合いが悪夢っぽくなり、リングはほとんど出てこない上、ギミックもよりシビアなものになります。
タイムやスコアは、通常モードとは別モノの扱いになっています。
『スーパーマリオ3Dランド』のスペシャルワールドに近く、通常モードのゾーンでは登場しなかった新たなコースが追加される場合もありますが、その内容はハードモードの名に恥じないコース設計です。
このハードモードをクリアすると、通常モードとは倍に近いマテリアルが手に入るみたいですね。
レッドスターリングの場所
3DS版のレッドスターリングの場所はかなり見つけにくいため、以下のYouTubeチャンネルに紹介動画を参考に探してみましょう。
ちなみにWiiU版にはレッドスターリングの場所を教えてくれるアイテムとして登場します。
3DS版でも一応、オモチャオを使えば勝手に近くのレッドスターリングを回収するみたいですね。
お恥ずかしながら、オモチャオの仕様はすべて集めた後に気づいた……
3DS版のマイナス評価
難しいながらもゲームの完成度が高く爽快感もあり、正直WiiU版よりも好きですが、3DS版にも惜しい点はいくつか見られました。
ムービーの画質
ムービーの画質が非常に悪く、3DS版の主な欠点がこれです。
2Dのムービーを無理やり3Dにしているのが原因でしょうし、おそらくプロジェクトの偉い誰かが、「3DSだからムービーも3Dにしろ!」と言われた可能性が考えられますね。
さらに一部のムービーは3DS版に入っていませんでした。話の展開が違うからでしょう。
ソニックの影について
ゲーム画面では、なぜかソニックやアイテムの影が貫通してるんですね。
空中の足場やデザートルーインズの動く足場を見ると、影が二重に表示されるのが気になりました。ただ、気になる人は気になるレベルで、気にしなければ問題ありません。
オモチャオラジコンを作る方法が難しい
テイルスラボでオモチャオを生産する方法ですが、なんでもいいのでWiiU版にラジコンを送る必要があります。
ただ、WiiU画面の「2P協力プレイ」を選択しないと出ないため、非常にわかりにくいですね。
総評:3DS版のほうが好き
ここまで述べましたが、両ソフトの利点を箇条書きにすると……
- 初めてソニックを遊ばれる方
→ WiiU版 - ソニックシリーズ経験者
→ 3DS版 - 難易度の高さ
→ 3DS版 - 2D面の爽快感と速さ
→ 3DS版 - ゾーンの多さとバリエーション
→ WiiU版 - ゲームのテンポのよさ
→ 3DS版 - カラーパワーの使いやすさ
→ 3DS版 - ムービーの質を楽しみたい
→ WiiU版 - ボリューム
→ 3DS版のハードモードを含めればどちらも - ゾーン攻略の達成感
→ 3DS版 - レッドスターリングの発見率
→ WiiU版 - ソニックの挙動の可愛さ
→ WiiU版
このような感じでしょうか。
両方やった上でどちらが面白く満足度が高かったかといえば、個人的に3DS版でしたね。WiiU版は速さに制限がかけられているため、爽快感は得られにくいです。
説明不足な部分が目立つ
WiiU版・3DS版ともに共通するのは、ストーリーの説明不足感ですね。
- カラーズで帰ったウィスプがいる理由
- 六鬼衆の設定
このあたりが特に語られておらず、ストーリーにはこだわらないとはいえ、匂わす要素をさせる割には伏線を回収しきれておらず、まだカラーズのほうが後腐れないです。
ウィスプがいる理由は『ソニックランナーズ』で明かされ、「カラーズの後、一部のウィスプはソニックたちの星を気に入って残り、静かに暮らしている」と理由づけはされています。
ただ、ここは作品内で説明してもらいたかった。
性格が変わるのはよくあること
また飯塚プロデューサーいわく、「人間臭いストーリーです」とは言っていましたが、人間臭いというよりも、人間関係の嫌な部分を全面的に押している感じですね。
全体的にギスギスしていて、大人の人ほど心が痛む……
「子供でもわかりやすいストーリーにして、海外向けにする」という方針が『カラーズ』の開発者インタビューから察せますし、マーケティング戦略として理解を示します。
ゲーム制作は慈善事業じゃないからね。人気がなく全然売れない日本より、人気があってそれなりに売れる海外にシフトするのは当然。
一方で、シリアスな作風でもないのに全体的にギスギスしていて説明不足……
ソニックたちの性格は(軸こそあれど)作品やメディアでころころ変わるからいいにしても、「はたして子供が見て喜ぶ内容だろうか」という部分は否めないですね。
挑戦は評価したい
『SONIC X-Treme』という発売中止作品と似たコンセプト、クラシックソニックと『ソニック4』を合わせたようなゲーム性で、かなり異質な作品です。
ロストワールドってソニック版マリオギャラクシーだよね?
本作の評価の際にこう言われることもありますが、実は2001年発売の『ソニックアドベンチャー2』でも『マッドスペース』という、本作っぽいステージはあったりするんですよね。
ただ、マリオギャラクシーと世界観が似ていることは飯塚氏も海外インタビューで認めています。
脚本やゲーム性は賛否両論あると思いますけれど、挑戦という意味では評価したい作品ですね。
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赤竹ただきちTadakichi Akatake
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個人的に興味深かったのが、kotobagari(言葉狩り)も日本語読みで表記するらしい。海外だとPC(ポリコレ)だろうけども、漢字・ひらがなの表記にこだわるから、kotobagariなんだろうなと。
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フリーランスとの進行ディレクション・指示や、面接担当の経験が幾度もあり、プロ・趣味問わず、絵描きを含めたクリエイティブの姿勢には少々シビア。
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