



25周年記念セットを購入したので、パッケージ版の『ソニックトゥーン ファイアー&アイス』のプレイ感想・評価です。
ひととおりエンディングは済ませ、収集作業とタイムアタックをやっている状態です。アニメ版の要素が結構反映されていますから、そこも踏まえて書いていこうかと。
前作の比較は『アイランドアドベンチャー』のみになりますのでご了承。

なお、一部ソニックファンによる『ソニックトゥーン』のブランド評価に対する問題点・疑問点を述べた記事もあります。
少し厳しめに書いていますが、正しく評価するという観点をもとに書いていますので、興味がございましたらあわせてご参照ください。
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ネタバレ注意
記事にネタバレがあります
プラス評価・期待点


本作の良かったところ
本作を遊んで好意的に感じた部分は以下になります。
ある意味アニメ版の日本語吹き替え先行公開
一部プリレンダムービー(ゲームグラフィックではない映像)が使用されていて、アニメ版と同じです。ある意味、アニメの日本語版がようやく観られたといっても差し支えないかもしれません。
アニメ版準拠のせいか、結構ナックルズのテンションが高い。アニメ版のトゥーンナックルズ(マッスルズ)は本当におバカかわいいから好き。

アニメ版を知っているとより楽しめる
完全オリジナル要素だった前作とは違い、今作はアニメの世界観の延長線上にあります。
オーボット&キューボットや卵のロボット(バーンボットなど)が登場し、設定資料にもアニメ版に関するものばかり。

たとえばアニメの第1シーズン1話でテイルスが大ケガを負って目覚める間のシーンに登場した、テイルスとソニックの写真はアニメ用CGテスト画像だったことが判明します。
また第2シーズンに登場するメカが、先行でお披露目されていたり……
など、アニメ観てると楽しめる資料ばかりなので、アニメは観ることをオススメします。個人的には設定資料ギャラリーの枚数が少なく感じたので、もっと欲しいところですね。
というか、ソニックトゥーンを語るならアニメ版を観ていることが大前提。ゲームだけでは話にならない。

ゲーム版もスティックスが可愛い
中の人の演技もあるでしょうが、今作はゲーム版でもスティックスがアニメ版に負けず劣らず可愛くて面白いですね。
前作におけるブースト時のかけ声が「はっ!」が、今作では「うんにゃー!」に変わっています。
本作のスティックスはアニメのように奇行や奇声をあげないせいか、不思議ちゃんレベルにとどまっている。

ロック調のステージ曲が多い
ロック調のステージ曲が今作には多いおかげで、前作以上にソニックっぽさがあります。
公式のインタビュー記事によると、『ソニックR』や『オールスターレーシング』など、歴代ソニックシリーズの曲を作った人が『太古の秘宝』に引き続き今作にも関わっていたのは驚きました。
メインテーマ曲は正直前作のほうが好きだけど、ステージ曲は今作のほうが好き。

『ファイアー&アイス』の音楽聴いてみた。|大谷智哉のKEEP ON RUNNING★
操作とゲームのテンポが大幅に改善
前作ののっぺりとした操作性、ステージ切り替えはギミックを挟むテンポの悪さは、今作では本家ソニックシリーズを思わせるスピーディな内容に仕上がっています。
ソニックチームが1年延期をしてまでブラッシュアップしたおかげで、一部を除きソニックだけでゴール可能、スプリング移動でスムーズになりました。
ステージ中に十字キーの左右のみでキャラクターを切り替えられるようになり、前作は十字キーすべてに割り当てられていたので、直感性という面では弱かったですからね。
前作はソニックたちを使った探索ゲームだったからね。

数々のギミックが楽しい
氷のギミックや大砲や爆弾など、爽快感を損なわせないソニックらしいギミックの多さは、『ソニックラッシュ』までのディンプス製ソニックを彷彿とさせます。
爆弾は後半になると導火線がふたつになるなど、少しテンポが悪くなりますが、操作を極めればそこまで問題になるレベルでもありません。
ディンプスはまたソニックを作ってほしい……

今作は「スピンダッシュ」のソニック
前作は存在意義が不明だったスピンダッシュが、今作ではあまりにも便利になっています。常時ダッシュ状態になるので、ブーストよりもはるかに速いです。
従来のソニックとは違い、Xボタンのホールド(押し続け)でチャージし、それに加えて、硬直時間がなくなり連続使用可能になったエアーダッシュと同じボタンです。
Xボタンをいかに使いこなせるかが重要で、下に押せば実質ストンピングになります。スピンダッシュを体験すると、Yボタンのブーストの存在意義がなくなるほど便利です。
ブーストよりもスピンダッシュが速いという珍しい作品。

後半のエリアが面白い
特に面白いのが、終盤エリアの『ゴシック・ガーデン』です。
曲も全体的にカッコいいですし、ギミックや地形がメガドライブ時代を彷彿とさせるものが多いので、やっていてすごく楽しく、リピート性が高いですね。
ゴシック・ガーデンだけソニックチームが作ったんじゃないの? と感じさせるぐらいに完成度が高い。

海外評価も前作とは打って変わって……
海外の評価で言えばソニックにやたら厳しいIGNも、今作をファイアー&アイス(Fire & ice)ならぬ「ファイアー&ナイス(Fire & Nice)」と表記するほど評価しています。
すごく高評価……というわけではありませんが、前作における、

悪くはないが面白くもない、ソニックとして落第点。
と評されたのが、本作でようやく面白いゲーム、ソニックらしくなってスタートが切れたと評価されたのは感慨深いですね。
キャラクターグラフィックは、前作同様に64時代のレア社を思わせる好みが分かれる造形ですが、ゲームサイト全体でいえば、今作を高く評価する傾向が見受けられました。
一部では辛辣(しんらつ)評価もありましたが、これも一理ある内容だったので後述します。
マイナスからゼロになった感じ。

『ソニックトゥーン ファイアー&アイス』海外レビュー(リンク切れ)|choke point
スタッフロールについて
黒背景にスタッフロールがスクロールするだけですが、個人的にこのシンプルさでいいですね。
前作はソニックのゲームではなく、「これサンザルゲームズのスタッフロールだよね?」……って思わせる感じだっただけに、シンプルこそ素晴らしいですね。
本当に前作のスタッフロールは自己主張が激しすぎて、ソニックのゲームとはあまり思えなかった……

マイナス評価・疑問点


本作の惜しいところ
ここからはマイナス評価や疑問点になります。
説明不足の多さとわかりにくさ
たとえばソニック・コレクションは「ギャラリーコンテンツ」ですが、前作には下画面にしっかり説明があったのに、今作ではなぜか省かれています。
それらしき説明はロード中のヒント解説ぐらい。

ステージごとに選択できる要素が追加されているものの、ステージ名が毎回凝った名前にされているので、これはアクションのステージなのか、ミニゲームのステージなのかがわかりにくいです。
エミーのハンマーもゲームを進めると変えられるんですが、それぞれどう違うのか、能力すら書かれていません。
全体的に説明不足かなぁと。

決定ボタンの配置
なぜかこのゲームって、ステージリザルト画面ではAボタンがリトライ(やり直す)、Bボタンで閉じる(次に進む)……なんですよね。
海外では日本と真逆で、Bボタンが決定、Aボタンがキャンセルの文化なのは知っていますし、XBOXのゲームなどの洋ゲーではよくあることですが……
しかし、ステージリザルト以外のボタン配置が日本のゲームと同じAが決定、Bがキャンセルという仕様。確か前作でもそんな感じだったと思いますが、なぜ統一させないのでしょうね。
まだ下画面の右下に閉じるボタンがあるので、マシではある。

アンロック方法について
今回は手持ちのラグニウム鉱石でアンロック(実質上の買い物)ができます。設定上はラグニウムで開発しているのでしょうけれど、正直リングでしたかったですね。
アンロック場所がバラバラに点在しているので、何かしらのショップを作ってそこで買い物をする形式をしてほしいなと、やっていて感じました。
ひとつに集約してもらえると助かる。

ボス戦について
ボス戦自体は楽しく、メガドライブ時代の雰囲気をリスペクトした感じが好きですが、イントロムービーはスキップ不可です。
またボス戦における、ストーリー上の盛り上がり演出に欠ける部分は気になりました。
というのも、今回のボスはソニックとほかの仲間ひとりの組み合わせの数だけで、全員が力を合わせて立ち向かうボスが存在せず、ラスボスらしいラスボス、展開が今作にはいないんですよね。
まだ前作のラスボスのほうがそれっぽかった。アニメ版では大体全員と力を合わせて戦っているのに……

一度クリアするともう遊べない
ステージ内にあるミッションステージは結構歯ごたえがある内容なので、一度クリアしたらもう入れなくなるのはもったいないですね。
何かしらミッションステージだけでタイムアタックができて、再び遊べるコンテンツやエリアがあれば……
また遊ぶには最初からプレイするしかない。

改善されなかった要素
アクションステージ部分は同じエリア内でも背景が異なるステージが多いので見てて飽きませんが、ミニゲーム系やボットレースはすべて同じ背景なので飽きてしまいます。
前作でもただ障害物とシビア性を多くしただけで、背景が全く同じの使い回しでしたが、今作でも改善されませんでした。
トンネルミニゲームは炎と氷のギミックとドラゴンリングでワンパターン化はそこそこ低減されたけど……

たとえばボットレースやホバーミニゲームなら、背景を夕方とか夜にしてもいいんじゃないかと。それだけで同じ背景でも違う表情が見られ、飽きっぽさを低減させられたと思います。
改善されなかったといえば、ブースト攻撃が今作でもスキルを入手しない限りできないんですよね。今作はスピンダッシュのソニックだと書いたのは、これも理由のひとつです。
そしてスピードアクションに致命的な、すれ違い通信をすると一瞬フリーズする部分も直っていません。
一瞬フリーズは本当に直してほしかった。

UI(表示画面)の古臭さ
改善されていない……とは少し違いますが、この作品のUI(画面表示)って、まるで1、20年前のゲームのような、立体感のあるアイコン表示が目立ちます。
そこから昨今のトレンドである、フラットデザイン(立体感をつけず、シンプルな色や図形で表記する)の要素も少し入れているので、とても中途半端な印象を受けます。
よく言えば64ゲームのような懐かしさ、悪く言えば時代遅れのセンス。

ソニックは確かに速いけど…
スピンダッシュはソニック固有の能力なので、ソニック以外のキャラクターで爽快感とタイムアタックを極めることは結構厳しいです。
そもそもほかの仲間は足の止まるアクションですからね。
アニメ版の設定準拠で、スピンダッシュがソニック固有能力なのはわかるにしても、メガドライブのソニックや『ソニックアドバンス』のように、どのキャラクターでも使いたかったですね。
ファイアー&アイス能力を共有できるなら、スピンダッシュもお願いできません?

ミスが許されない
テンポは早くなりましたが、ミスすれば戻される仕様は今作にもあります。
結構戻されますしタイムアタックには痛手で、ゲームオーバーやコンテニューがないとはいえ、リングどころかラグニウム鉱石もリセットされてしまうのは痛いです。
ある意味ミスが許されない点は、本家ソニックよりも鬼。

ストーリーの評価について
先ほど海外レビューで辛辣な評価があったと書きましたが、
- 「ストーリーが単調」
- 「ギャグのセンスが微妙で大味」
これらが挙げられていましたね。
確かにストーリーはアニメ版の延長として作られているのか短く、イメージ的には『ソニックロストワールド』を思わせるあっさり感で、おそらくは同じ脚本の人が作っているからでしょうね。
ムービーは合計30分ほどで、アニメ版は一話10分前後。前後編と考えれば妥当かも。

まあソニックは基本的にストーリーは後付けで、ゲームの遊びを重視するシリーズですからね。
ファイアー&アイスの能力は詳しく説明されないまま、いつの間にか裂け目の問題の話になり、ドラゴンリングの設定はないようなものです。
ギャグ部分も結構アメリカンな、露骨なコメディ動作が多く、特にリアルタイムムービーが顕著(けんちょ)です。
アニメでも言い回しがアメリカンジョーク満載ですが、動作はまだ日本人にもなじめる、違和感がそれほどないレベルです。
字幕が表示されたりされなかったりしたり、一回の字幕量がとんでもなく多いのも気になった。

総評:マイナスからゼロになった


本作を遊ぶなら
アニメ視聴はほぼ必須
一言でいえば、今作によってゲーム版ソニックトゥーンはマイナスからゼロになった感じです。
前作がかすんで見えるほど面白いゲームですが、ミニゲームの使い回しや説明不足感など、まだ改善点が多々あるゲームだと思います。
重ねて言うように、マイナスからゼロになった再出発のゲームですね。
もしかしたら次回作にはメタルソニックも出すかもしれない…らしいけど、次回作があるかどうかは微妙なところ。


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